スペインの首都マドリッドの中心地にあるティッセン・ボルネミッサ美術館。
プラド美術館、ソフィア王妃芸術センター(レイナ・ソフィア)と並び称される、マドリッド有数の美術館です。
この記事ではティッセン・ボルネミッサ美術館の見どころや作品をご紹介します。
ティッセン・ボルネミッサ美術館作品紹介!見どころは近代絵画から中世までの絵画-スペイン マドリッド
数あるスペインの美術館の中でも、近現代絵画から中世の絵画までを一挙に鑑賞することができるのがティッセン・ボルネミッサ美術館です。
マドリッドにはプラド美術館やソフィア王妃芸術センターなど有名な美術館がありますが、中でもこのティッセン・ボルネミッサ美術館は幅広いジャンルそしてスペイン以外の各国の作品を多く展示しているという点で見ごたえがある美術館です。
圧巻の近現代美術コレクション
ティッセン・ボルネミッサ美術館は、0階が20世紀以降の近現代美術、1階が17世紀から20世紀までの美術品、2階が18世紀までの美術品を展示しています。(スペインの0階は日本の1階)
パブロ・ピカソ
まず始めに訪れることになるのは0階の近現代美術の展示スペースです。このエリアで特に見逃すことができないのがピカソ。
ピカソは言わずと知れたスペインの巨匠。レイナ・ソフィアに保管されているゲルニカの作者として有名な画家。
対象を三次元で観察し、作品に落とし込む、キュビズムの創始者の1人です。
※スペインゆかりの画家はこちら
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シャガール
続いてシャガールの作品。幻想的な雰囲気が印象的なシャガールですが、ティッセン・ボルネミッサ美術館の作品もシャガールの独特な雰囲気を纏っています。
シャガールは現在のベラルーシ出身の画家。作品は愛と祈りをテーマに描かれています。
ジョアン・ミロ
スペインの近代絵画で外すことのできない絵画がミロの作品。ミロはスペインのカタルーニャ地方出身の画家です。
ミロは絵画の他にもモニュメントなども制作しており、アメリカのヒューストンやシカゴなどで鑑賞することができます。
サルバドール・ダリ
続いて、スペインの巨匠ダリ。この作品は「眼を覚ます1秒前、ザクロの回りのミツバチのばたつきによって見た夢」と言うタイトルの作品です。
ダリと言えばシュルレアリスムの画家として有名で、時計がクニャリと曲がった絵画などで知られています。
ロイ・リヒテンシュタイン
他にも近代絵画のコーナーには面白い作品が沢山あります。
最後にご紹介するのはロイ・リヒテンシュタインの「入浴中の女」という1963年の作品。
近代絵画独特のポップな雰囲気ぐ印象的な作品でした。
各国の有名な画家を楽しむ
1階部分では各国の有名画家の作品を一挙に楽しむことができます。
フランシスコ・デ・ゴヤ
まず、スペインのゴヤ。ゴヤはスペイン王室に40代の頃から宮廷画家として使えました。
スペイン独立戦争でのフランス軍による市民虐殺を描いた「マドリード、1808年5月3日」や、当時のタブーをすり抜ける為に工夫を凝らした「着衣のマハ」と「裸のマハ」などの作品で世界的に知られています。
こちらはゴヤが仕えたフェルナンド7世。
ゴヤに「カルロス4世とその家族」を描かせたカルロス4世の長男です。
※フェルナンド7世についてはこちら
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フラゴナール
こちらはフラゴナールの作品。甘美な画風でロココ画家として1700年代に活躍しました。
エドガー・ドガ
続いてドガ。エトワールで有名なフランスの画家ですが、こちらは婦人たちの日常を描いた作品です。
ベルト・モリゾ
モリゾはマネのモデルとしても活躍した女性印象派画家。
印象派としても活躍しましたが、フランスの権権威あるサロンへの出展も認められていた、実力派の画家でした。
モリゾはマネのモデルとしても活躍した女性印象派画家。印象派としても活躍しましたが、フランスの権権威あるサロンへの出展も認められていた、実力派の画家でした。
オーギュスト・ルノワール
印象派といえば、甘美な画風が特徴的なルノワールも忘れてはいけません。こちらはルノワールの風景画「小麦畑」。
クロード・モネ
続いてモネ。モネと言えば睡蓮が特に有名ですが、こちらの絵画も可愛らしくて素敵です。
※印象派についてはこちら
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中世絵画に物語を見る
印象派台頭以前の絵画は歴史画と呼ばれるジャンルが一番評価されるものでした。
歴史画は宗教画や神話画など、鑑賞者に一定の教養があることが前提で描かれており、当時のヨーロッパでその教養を身につけることができたの限られた人々だったのです。
ソロモンの審判(旧約聖書)
こちらは「ソロモンの審判」という作品。旧約聖書の中の物語で、ソロモンが子どもを剣で切り裂けと命令している場面です。
ソロモンは古代イスラエルの王で、そのソロモン王のもとに2人の女性が現れます。女性はどちらも母親ですが、一方女性の子どもが死んでしまい、その亡くなった赤ちゃんの母親がこの絵の子どもを自分の子だと主張するようになったのが事の発端。
2人の母親はこの子を自分の子だと言い張り、ソロモンに審判を仰ぎました。ソロモンはどちらが本当のことを言っているのかを考える為、先の、子どもを切るという命令を下しました。
すると、一方の母親は「その女性に与えるくらいなら子どもを殺して」と、もう一方の母親は「その女性に子どもを渡しても良いから子どもの命だけは助けて」と懇願しました。ソロモンは子どもの命を案じている母親が本当の母親だと判断し、事を収めることができました。
※聖書を知るための本はこちら
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受胎告知(新約聖書)
続いて、エル・グレコの「受胎告知」。受胎告知は新約聖書の一説で、未婚のマリアに大天使ガブリエルがイエスを受胎した(身ごもった)という告知を行なっている場面。
エル・グレコの宗教画はドラマティックで神秘的なところが特徴的で、宗教画とは思えない見応えのある作品を多く残しました。グレコはギリシャ人ながらスペインのトレドに居住し、多くの宗教画を残しました。グレコの縦に引き伸ばしたような画風はマヌエリスムと呼ばれています。
皆さんも美術館では色々な受胎告知を探してみてください。
同じ受胎告知でも描く画家や時代によって雰囲気が全く異なるのも宗教画の面白いところ。こちらは典型的な宗教画の雰囲気が漂う作品です。
アダムとイブ(旧約聖書)
こちらは「アダムとイブ」。アダムとイブの物語は日本人にも馴染み深い旧約聖書の物語です。
エデンの園という楽園に生まれたアダムは神様から善悪の知識の実は食べてはいけないと命令されていました。しかしある日、蛇に唆されたイブが善悪の知識の実を食べてしまい、アダムも神様の言いつけに背いて食べてしまいます。この出来事により、羞恥の概念を知った二人は裸でいるのが恥ずかしくなり、イチジクの葉で腰を隠すようになったそうです。
神はアダムが言いつけに背いたことに怒り、二人は楽園を追放され、労働や出産によって命をつないでいくこととなったのです。
※聖書と絵画についてはこちらをご覧ください
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ヘンリー8世の肖像画
最後にご紹介するのは、歴史画ではなく、肖像画。ヘンリー8世の肖像画です。
ヘンリー8世は、イングランドの国王で、イギリス国教会を創始した人物。生涯で6人の妻を娶りました。
初めはスペイン出身の女性、キャサリン・オブ・アラゴン。そのキャサリン・オブ・アラゴンとの関係が上手くいかなくなり、侍女であるアン・ブーリン(エリザベス1世の母)との結婚を成立させる為、ヘンリー8世は意外な決断をしました。それがカトリックからの脱退と上からの宗教改革です。
この宗教改革はドイツでルターが起こしたカトリックの腐敗に対するものではなく、単純に自分が離婚したいから離婚を禁止するカトリックから抜け出すというヘンリー8世が自分のために行った改革だったのです。そしてイギリス国教会が誕生しました。
※ヘンリー8世に翻弄された女性、アン・オブ・クレーヴズの物語はこちら
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おまけ
最後におまけですが、こちらは和服を着た女性がモデルの作品。個人的にとても惹かれた作品でした。
落ち着いた雰囲気で作品を楽しむ
ティッセン・ボルネミッサ美術館は大きすぎず小さすぎない美術館で、じっくりと作品を鑑賞するのに最適な美術館です。
近現代アートのコーナーでは全体的に明るい雰囲気の展示がされていました。
1階はオレンジ基調で落ち着いており、充実の作品群を楽しむことができました。
ティッセン・ボルネミッサ美術館、とてもお勧めです。
アクセス
ティッセン・ボルネミッサ美術館は、マドリードの中央駅「アトーチャ駅」から徒歩10分。プラド美術館から徒歩3分の位置にあります。
おわりに
今回はスペインの首都マドリッドのティッセン・ボルネミッサ美術館をご紹介しました。
幅広い作品群が印象的な美術館で、充実した時間を過ごすことができました。
皆さんもマドリッドへのご旅行の際は是非、ティッセン・ボルネミッサ美術館を訪れてみてください。
※プラド美術館はこちら
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※ソフィア王妃芸術センターはこちら
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