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卒業論文の書き方を文系の例を用いて解説-テーマ決め, 先行研究, 構成(章立て), 事例研究と統計的研究の違いなど卒論の基礎を紹介

大学を卒業する際に最後の難関として突破しなければならないのが卒業論文です。

一方で、いざ卒業論文を書こうと思っても、どのように書けば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では卒業論文の書き方について、筆者が執筆した修士論文(大学院の卒論)を例に解説します。

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卒業論文の書き方を文系の例を用いて解説-テーマ決め, 先行研究, 構成(章立て), 事例研究と統計的研究の違いなど卒論の基礎を紹介

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大学4年生になり卒業論文を書くときに知っておきたいのが卒業論文の書き方。

卒業論文を書く場合に始めに行うことはテーマ決めです。最初はなんとなくでも良いのでテーマを考え、テーマに沿った文献の収集と先行研究(文献を読む)を行います。

書くことが纏まってきたら構成(章立て)を考え、卒論の執筆開始となります。

論文を書くときの研究方法として大きく「事例研究」と「統計学的研究」があり、卒論では事例研究を行うのがおすすめです。

この記事では、卒論を書く時の流れと、2つの分析方法である事例研究と統計学的研究についても解説していきたいと思います。

 

テーマ決め-卒論執筆の最初の一歩

卒業論文を書くときのはじめの一歩が「テーマ決め」。

先ずは自分が興味のあることやこれまで学んで楽しいと思ったことからテーマを選定します。

テーマを選んだら、そのテーマに沿って先行研究や文献を集めることとなります。

このテーマは始めはあまりしっかりとしたものでなくてもよく、まずはどんな文献を集めるかという視点でテーマを選定するといいです。

先行研究を進めるうちに、自分の中でテーマが具体的なものになっていくので、その時にしっかりとした題名を決めると良いと思います。

例えば最初は「発展途上国の貧困」というテーマを考えて、研究を進めていくうちに「ウルグアイの左派政権による貧困政策とその評価」といった具体的なテーマとなっていくイメージです。

ちなみに、この「ウルグアイの左派政権による貧困政策とその評価」は私の大学の卒論のテーマ。このテーマの雰囲気は下の記事のような感じです。

 

※卒論のテーマの決め方の詳しい説明はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

 

先行研究のレビュー-巨人の肩の上に立つ

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テーマが決まったらテーマに沿った文献や論文を集めて先行研究のレビューを行います。

論文と言うのは「巨人の肩の上に立つ」作業だと言われています。

意味合いとしては、先人たちが行ってきた巨人のように膨大な研究と理論をレビューし、その上に少しだけ自分の研究成果を追加する、というものです。

新しい新理論を打ち立てるというのは、一流研究者でも難しく、それこそノーベル賞級の研究を行って初めて実現できるものです。

ですから、卒論では「既に膨大に研究されているものに自分の理論を少し上乗せする」という気持ちで先行研究のレビューを行いましょう。

言い換えると、先行研究のレビューの良し悪しが卒論の良し悪しを左右するということでもあるので、先行研究のレビューをじっくりと行うのが卒論執筆の鍵となります。

 

先行研究リストを作成する

先行研究を行っている際に意識したいのが、先行研究リストを作成すること。

卒論の最後には参考文献を一覧化することが必要なため、先行研究を集めるの時点でリストを作っておくと後で時間をかけて情報を探す必要がなくなるのでおすすめ。

また、本の概要をまとめておくことで、卒論執筆時に参照し易くなります。

・本や論文の場合、「本のタイトル、著者、出版社、発行年月日、本の概要」

・ホームページの場合、「HPのタイトル、URL、閲覧年月日、HPの内容」

をExcelやWordを使って一覧化しておきましょう。

 

※先行研究の集め方についてはこちらをご参照ください

sumikuni.hatenablog.com

 

卒業論文の構成(章立て)

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テーマを考え、先行研究がある程度進み卒論の全体図が見えてきたら、卒論の構成(章立て)を考えます。

卒論の構成は4部構成(はじめに+3章)で考えると良いと思います。また、章・節・項という構成が基本で、「章」の中に「節」が、「節」の中に「項」という更に小さな見出しをつけていくイメージです。

この記事では、一番大きな「章」の編成方法を詳しく説明していきます。

 

題名

①はじめに(序論・問題提起など)

②第一章( 先行研究と分析視座)

③第二章(本論・自分の研究のメイン)

④第三章(結論)

という4部の構成を土台として、分量が多ければ第二章の本論を2つに割って四章(5部)編成とするなど、工夫することも可能です。

各章には必要に応じて「節」を、各節には「項」という更に小さな見出しをつけます。

 

題名

私の場合、題名は最後に最終的な題名をつけていましたが、仮の題名は最初からつけて取り組んでいました。

はじめの段階で仮題名をつけることで、論点がぼやけるのを避けることができます。

また、「一考察」のようなタイトルは避け、題名は一目で何を書いているのかが分かる題名とするのが望ましいです。

 

はじめに-序論・問題提起・研究方法

題名の次に来るのが「はじめに」。問題提起をする章です。問題提起は自分がテーマとした内容について、どういう問題意識を持ってそのテーマとしたのかを説明します。

それを踏まえた上でどのような手法を用いて分析するのか、誰の理論を元に分析するのかと言った研究方法を書きます。

 

第一章-先行研究の分析

続いて第一章では自分の持った問題意識について書かれている先行研究を参照し、先行研究の理論や主張を深めます。

また、先行研究を踏まえてその問題に対して自分はどのようなアプローチを採るのかという分析視座を記述します。

 

第二章-本論(事実に基づいた自分の分析)

先行研究の主張をサポートする、もしくは反対の見解を提示するために、様々なデータや事例を使って事実に基づいた分析を行います。

この章では、自分の問題意識、先行研究の主張、実際のデータや事例研究、と論理を展開し、客観的な分析を行うことが大切です。

また、その分析を誰が行ったのかを明確に記すことがとても大切です。自分でインタビューやアンケート調査を行った結果なのか、データバンクなどのデータなのか、第三者が著書や論文で展開している主張なのかをしっかりと分けて自分の分析を行います。

 

第三章-結論・自分の考察・今後への課題

はじめにで問題意識、第一章で先行研究のレビュー、第二章で事実の分析を終えたら、第三章ではこれまでの分析を踏まえて結論を導き出します。

また、結論へは自分の考察を入れ込んでも良いですが、あくまで客観的データを踏まえての考察としてください。

また、最後に今後への課題を記すのもいいかと思います。

 

参考文献

そして最後に参考文献リストを大学の要綱に沿って作成します。

 

※見出しと目次の解説と作り方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

卒論執筆-筆者の修士論文を例に解説

卒業論文執筆時の流れと構成についてご紹介してきました。ここからは実際に筆者が作成した修士論文(大学院の卒論)を例に、卒論の書き方をご紹介します。

 

題名

まずこの論文のテーマとなる題名ですが、私の論文では、

「企業の長寿戦略-○○の事例」

というタイトルで、経営学の長寿戦略の理論について実際の長寿企業を事例として分析ました。

 

はじめに-序論・問題提起

まず、「はじめに」から。問題提起です。

私の論文の「はじめに」を要約すると、

企業を長く存在させるというのは、多くの人々が関心を示す事柄で、これまで様々な研究がされている。

代表例としてルメルトの多角化戦略(ラインナップと市場を広げる)と三品の転地(売れなくなる前に別の産業へ移動する)があるが、両者の戦略を採用することができるのは資金力のある大企業だけであり、日本に多く存在する中小規模の長寿企業の説明ができない

この論文では規模が大きくない長寿企業がどのような生存戦略を採ってきたのかを、実際に市場を多角化させて生き延びている○○社の事例を元に分析する

 というものです。

最初の段落で「一般的に企業を長く存在させる方法が研究されている」ことが書かれており、次の段落で「先行研究の例とその問題点」、そして最後の段落で「別戦略を採っている事例を元に先行研究への批判的考察をする」ことが書かれているのが分かるかと思います。

 

※「はじめに」の書き方の解説こちら

sumikuni.hatenablog.com

 

第一章-先行研究と分析視座

続いて第一章は先行研究と分析視座。

章をより具体的に表したのが「節」の部分で、

①戦略論の諸研究(経営学の分野の理論の紹介)

②Rumeltの企業戦略(経営学の権威ルメルトの企業戦略理論)

③三品の長寿戦略(長寿戦略を研究する三品氏の理論を紹介)

④本研究での視座

⑤研究方法

の5節としました。

①では戦略論の歴史的変遷の一般的な部分を紹介。所謂その分野の概要です。

この論文は経営学の分野なので、戦略論が軍事分野で生み出された言葉で、その後アンゾフ、ルメルト、プラハラートとハメル、ストークJr.と、様々な研究者によって多くの理論が生み出されていったことを記しました。

②は更に絞ってその中からルメルトの理論を整理しています。

③では三品の理論の整理。

④は分析視座なのですが、分析視座というは、先行研究を整理した上で、この論文が何を解き明かしたいのかを説明することです。私の論文の分析視座は下記の通り。

(前略)

二つの先行研究を概観すると、 Rumelt(1974) では企業がどの程度多角化しているかという、企業の状態に着目しているのに対し、三品 (2007) では企業がどの様に生き延びれば良いのかという手法に着目しているという違いがあることがわかる。

一方、 Rumelt(1974) 、三品 (2007)のどちらの戦略も新しい技術と新しい市場を同時に変化させること で企業が長く生き延びることができるという、自社技術の変化を前提とした結論を出している。

企業の状態と手法という差異がある両者の理論ではあるが、企業が生き延びるためには自社技術の変化が必要という点は類似した理論と考えられる。しかし、この自社技術の変化という点において、 規模の小さな企業では本業を変更するという行為がリスクとなり、採用が難しい戦略といえる。

本稿では、規模の大きくない企業 でも採り得る戦略という観点から、自社の技術は維持しながら市場を拡大していくという、市場の多様化 と
いう視点を提示する

この最後の黄色の部分が分析視座です。先行研究の問題点を指摘し、自分が解き明かしたい新たな理論について分析することが書かれています。

⑤第一章の最後の項目は研究方法です。

研究方法は、私の研究の場合、ルメルトと三品の論文を主として参考とすること、事例研究として○○社の事例を取り上げること、事例研究のため、インタビューなどを行うこと、などが明記してあります。

 

第二章-本論(事実に基づいた自分の分析)

本論は論文のメインとなる部分。この論文では○○社の事例研究がメインとなるので、この第二章を丸々事例研究に使いました。

第二章も5節で構成しており、具体的には

①○○社が所属する業界について

②○○社について

③○○社の特徴

④○○社の歴史(どういう戦略を採ってきたか)

⑤事例のまとめ

となっています。

この部分は事例について詳しく解説する部分ですので、自分が調べてきたことを分かりやすく整理していくことが大切です。

 

第三章-結論・自分の考察・今後への課題

そして第三章は結論です。私の論文では「第三章-事例の解釈」という題名にしました。

ここまで事例の○○社について詳しく解説してきたので、この事例を3つの節に分けて解釈し、第4節で結論を述べています。

①ルメルトの視点での解釈(多角化すれば生き残れる)

②三品の視点での解釈(転地をすれば生き残れる)

③本稿の視座での解釈(市場を多角化することで生き残れる)

の3つの視座で解釈し、最終的にルメルトの視点でも、三品の視点でもなく、③の自分の仮説が正しかった、と結んでいます。

そして最後に

④ディスカッション

として、ルメルトの多角化戦略、三品の転地はどちらも大企業だからこそできる戦略で、そもそも製品ラインナップを拡大したり、今の事業とは別の事業に主戦場を移すというのは規模が小さい企業だと難しく、そのような企業が採るべき戦略として、「市場を多角化させること」が有効なのではないか、そしてこの「市場を多角化させること」を「準多角化」として、この両者の理論に付け加えたい

と、自分の研究で新しく提唱した「市場を多角化させること」を「準多角化」と命名し、「巨人の肩の上」にすこし付け加えるという論文の意義を示して、結んでいます。

  

※結論の書き方についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

事例研究と統計的研究の違い

卒論の書き方が分かったところで、論文の主な分析方法である事例研究と統計的研究の違いを簡単にご紹介します。

 

事例研究とは

事例研究と言うのはその名の通り、実際にある事例を研究して、現在ある理論などが正しいのかどうかを検証する研究方法です。

上記でご紹介した私の研究もこの事例研究です。

事例と言うのはある特定の集団や固体などを指し(全国調査ではなく、○○高校の例など)、その集団で起こることの背景(コンテクスト)を観察することができるのが特徴です。

例えば、統計で「日本では中部地方で赤味噌を良く食べる」という結果が得られたとしても、では何故赤味噌なのかというところを解き明かすのが難しいです。

一方で事例研究だと、赤味噌を食べる地域の歴史や風土などその背景にまで焦点を当てて、分析することができます。

卒論では基本的に事例研究を行うのがおすすめ。次で紹介する統計的研究はサンプルを集めるのが難しいですし、お金も必要となります。

事例研究では「○○という理論があるが、Aという事例を調べたら○○´の存在があることがわかった」などといった具合に理論を展開することができます。

 

※事例研究の詳しいやり方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

統計的研究とは

統計的研究と言うのは、無作為に隔たりの無いサンプルを集めて統計的な手法を用いて分析する研究方法です。

広く当てはまる傾向などを調べるときに使われる手法で、ある事象がどの程度一般的なのかを考えるときなどに役に立ちます。

一方で、その事象が発生する因果関係(原因や理由)までを解き明かすことができないという欠点があると共に調査に膨大な費用が発生したり、隔たりの無いサンプルを集めるのが難しいと言う欠点があります。

 

卒論執筆時の注意点

卒業論文を執筆する際には気をつけなければならない点がいくつかあります。

・剽窃(コピペ)は厳禁

まず、コピペは厳禁です。例え審査に通ったとしても、剽窃だと判明した時点で卒業資格を取り消されてしまうこともあります。自分の文章と他者の文章を明確に区別して執筆しましょう。

・引用・参考文献

剽窃は禁止なのですが、引用と言う形で紹介することはOKです。また、「○○さんはこういう意見です」という形で参照することも可。

引用や参照を行った場合には引用元や参照元をしっかりと明記することが必要です。

・である調で執筆する

論文はである調で執筆します。

・大学のルールに則る

卒業論文の細かなルールは大学が設定しているルールに則ることが大切。

文字数やフォントなども厳しく指定されますし、引用・参考文献の書き方も大学が定めているので必ず確認しましょう。

・提出期限前に余裕を持って提出する

卒論は提出期限を1秒でも過ぎると受け取ってもらえません。時間に余裕を持った提出を行うようにしましょう。

 

口頭試問への備え

卒論を期限前に提出できたら、卒論も9割終わったようなものなのですが、最後に口頭試問(論文に関する教授陣からの質問に答える)が有ります。

口頭試問は卒論審査から数週間後にあるのですが、口頭試問前にはしっかりと論文を見直し、内容を思い出しておくことが大切。

私の大学では口頭試問で失格となり卒業できない学生が毎年何名かいました。ですから、口頭試問も気を抜かずに準備をすることが大切です。 

 

※口頭試問の準備と対策はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

卒論執筆で参考になる本紹介

最後に、大学で研究する際に参考となる本『原因を推論する』をご紹介。

この本は私が大学院に入学して所属したゼミで読んだ本で、直接論文の書き方などが書いてある本ではないのですが、「研究・分析するとはどういうことか」 が書かれている本。

 

原因を推論する:政治分析方法論のすゝめ

原因を推論する:政治分析方法論のすゝめ

  • 作者:久米郁男
  • 発売日: 2015/01/09
  • メディア: Kindle版
 

 

論文を書くときの考え方やロジックの作り方の参考になるのでとてもおすすめ。

難しい本なので簡単にすいすい読める感じではないのですが、大学の研究とはどんなものなのかを学ぶことができる本です。

 

終わりに

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この記事では、卒業論文の書き方について、テーマ決めから構成、執筆方法などについて例を用いて紹介しました。

卒業論文の執筆は、テーマ決め、先行研究(文献を読む)、構成(章立て)、卒論の執筆開始と進めるとスムーズに始めることができます。

また、卒論の構成は、題名、はじめに(序論・問題提起など)、第一章( 先行研究の分析)、第二章(論文のメイン)、第三章(結論)とすると過不足なく執筆できます。

卒業論文執筆は、膨大な量の文献を調べたり、調べた文献を整理して分析したりと、とても大変な作業ですが、やりきった後は「論文を書いた」という充実感や自信を感じることができると思いますので、是非興味がある分野に打ち込んでみてください。

 

※大学生におすすめなオンライン英会話比較記事はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※エントリーシートの書き方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※大学院入試の入試対策はこちら

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