すみくにぼちぼち日記

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卒業論文 終わりに の書き方-卒論の結論の内容や構成の例

大学を卒業する際に最後の難関として突破しなければならない卒業論文。

この記事では卒業論文の「終わりに(結論)」の書き方について、筆者が執筆した修士論文(大学院の卒論)を例に解説します。

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卒業論文 終わりに の書き方-卒論の結論の内容や構成の例

卒業論文の最後のまとめとなる部分が「終わりに」です。

卒論の結論を述べる部分であり、それまでに述べてきた目的・問題提起、分析内容を踏まえた上で、卒論で導き出した答えや今後の課題を詳しく書いていきます。

卒論執筆で始めに行うことはテーマ決め、続いて、先行研究のレビュー(文献を読む)を行います。書くことが纏まってきたら構成(章立て)を考え、卒論の執筆開始し、その集大成として「終わりに」を書くこととなります。

卒業執筆では、

①はじめに(序論・問題提起など)

②第一章( 先行研究と分析視座)

③第二章(本論・自分の研究のメイン)

④第三章(終わりに・結論)

と文章が展開していくのが一般的で、卒論で最終的に言いたいことを「終わりに(結論)」で纏めます。

この記事では、卒論執筆の流れを大まかに解説しながら、「終わりに」の書き方について詳しくご紹介します。

 

卒論のテーマ決め

卒業論文を書くときのはじめの一歩が「テーマ決め」。

先ずは自分が興味のあることやこれまで学んで楽しいと思ったことからテーマを選定します。

テーマを選んだら、そのテーマに沿って先行研究や文献を集めることとなります。

このテーマは始めはあまりしっかりとしたものでなくてもよく、まずはどんな文献を集めるかという視点でテーマを選定するといいです。

先行研究の収集を進めるうちに、自分の中でテーマが具体的なものになっていくので、その時にしっかりとした題名を決めると良いと思います。

 

※卒論のテーマ決めについての詳しい解説はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

先行研究のレビュー

テーマが決まったらテーマに沿った文献や論文を集めて先行研究を行います。

論文と言うのは「巨人の肩の上に立つ」作業だと言われています。意味合いとしては、先人たちが行ってきた巨人のように膨大な研究と理論をレビューし、その上に少しだけ自分の研究成果を追加する、というものです。

新しい新理論を打ち立てるというのは、一流研究者でも難しく、それこそノーベル賞級の研究を行って初めて実現できるものです。

ですから、卒論では「既に膨大に研究されているものに自分の理論を少し上乗せする」という気持ちで先行研究のレビューを行いましょう。

 

※先行研究の集め方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

  

卒論の構成

テーマを考え、先行研究がある程度進み卒論の全体図が見えてきたら、卒論の構成(章立て)を考えます。

卒論の構成は4部構成で考えると良いと思います。

題名、

①はじめに(序論・問題提起など)

②第一章( 先行研究と分析視座)

③第二章(本論・自分の研究のメイン)

④第三章(結論)

という4部の構成を土台として、分量が多ければ第二章の本論を2つに割って四章(5部)編成とするなど、工夫することも可能です。

 

※卒論の書き方や構成についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

終わりに-提起した問題についての結論

「終わりに」は、「はじめに」で提起した解き明かしたい問題についての結論を纏める章です。

問題提起とは、自分が設定したテーマついて、どういう問題意識を持ってそのテーマとしたのかを説明すること。

そして、それを踏まえたうえでどのような結論に至ったのかをそれまでに展開してきた分析内容に即して論じていきます。

例えば、私の修士論文(経営学)では、「どのような戦略を採ると小規模な企業が存続していくことができるのか」を研究したのですが、その論文の、「終わりに」を要約すると、

「先行研究として研究したAやBという理論は確かに企業を長く存続させることができるが、どちらの理論も、資金力の有る企業しか採用することができない理路である。

従って、今回事例研究で研究した○○社の採用するCという戦略を用いることで、資金力の無い企業でも長く生存することが可能となるため、Cという理論を既存の生存戦略に付け加えたい」

というものです。

最初に提起した問題意識「小規模な企業の採るべき生存戦」について、AとBという理論を分析し、○○社の事例を分析することで、Cという結論にたどり着いた、という流れで「終わりに」が展開していることが分かるかなと思います。

 

例文を用いて詳しく解説

ここからは実際に私が修士論文として提出した論文の例を用いて「はじめに」から「終わりに」までどのように理論が展開しているのかを詳しく見ていきたいと思います。

 

はじめにでの問題提起

「はじめに」は2ページ程度の分量で、問題提起は1ページ程度。問題提起の構成としては下記のように書きます。

①自分の研究が解き明かそうとするものとその社会的ニーズ

②先行研究の理論

③先行研究の理論の矛盾点や説明しきれていない点

 

①自分の研究が解き明かそうとするものとその社会的ニーズ

まず、「はじめに」の入りの部分は、自分が解き明かしたいことと、それが社会的に意義のあるものだということを暗示するために、社会的なニーズを説明します。

 企業を長く存続させることは、企業にとって少なからず関心があるトピックである。
経済がグローバル化している現在において 、生き延びるために企業は売上拡大やリスク分散を考えるだろう。

つまり、一つの企業が複数の業界へ参入し販路を拡大する多角化戦略や、自社が属している業界とは別の業界へ主業を変更し製品を製造・販売する、他事業への主業の移転を考えることは自然である。

この例の場合、解き明かしたいことは「企業を長く存続させる方法」で、その企業を長生きさせるための戦略研究はニーズがあり、その為に実際に企業が多角化戦略や転地を検討することは自然なことです、ということを書いています。

 

②先行研究の理論 

続いて、自分が解き明かしたいことについて、先行研究がどういう結論を出しているかを書きます。

下記の例では多角化戦略と転地とは何かをルメルト氏と三品氏の先行研究を紹介しています。

Rumelt(1974) の研究は、どの様な多角化戦略が企業の生存可能性を高めるのかについて検討したものと解釈することが可能である。

Rumelt(1974) は、数ある多角化戦略の中で一番効果的な形態として「抑制的 主力」と「抑制的 関連」という 2 種類の多角化を指摘した。

実際、この Rumelt (1974) で「抑制的 主力」や「抑制的 関連」に分類され、現在も存在し続ける企業もある。彼が否定的な態度をとった戦略は「垂直的 主力」、「受動的 非関連」の 2 つである。

(中略)
また三品 (2007)は、長寿企業として生き延びるか否かは良い立地に事業を起こし、事業立地が沈下する前に他の事業へ移転する、「転地」を行うことができるかにかかっているとしており、その為には、経営能力の高い経営者に恵まれるか否かが重要であると特に個人の経営能力の有無の重要性を説いている。

そして、経営職適格人材の採用、早期見極め、経営者指名方式への制度改革が必要だと述べている。

要約すると、企業が長生きするために、ルメルト氏は多角化戦略、とりわけ「抑制的 主力」と「抑制的 関連」という方法がいいといっています。

また、三品氏は良い立地に事業を起こし、事業立地が沈下する前に他の事業へ移転する、「転地」を行うことが有効です。

ということを書いて、先行研究の主張を纏めています。

 

③先行研究の理論の矛盾点や説明しきれていない点

最後に先行研究では説明しきれていないことを指摘し、自分の視点を過去の研究に付け加えたいということを書きます。

しかし、 Rumelt(1974) で推奨される多角化や三品 (2007) で述べられている転地はどの様な企業にも当てはまる戦略なのであろうか。本業を残したまま他の事業へ多角化することも、本業の事業立地を変更することも、相当な資金力を必要とするはずである。

本稿では、資本が限られる企業がどの様に生き延びれば良いのかを考察するために、Rumelt(1974) と三品 (2007) で分析されている大企業ではない、規模の小さな企業を事例に両者の理論を分析する。

そして、本業の事業立地は変更せず、市場を拡大していくという、受注先の多角化(ここでは仮に準多角化とする)という視点を 、長生きする為の一つの新しい視点として、三品 (2004,2007) 、 Rumelt(1974) の理論に付け加えたい。

要約すると、ルメルト氏の多角化も三品氏の転地も、お金がある企業しかできないため、規模が小さな企業が採ることができる長寿戦略を事例を用いて解明し、その戦略を「準多角化」としてこれまでの理論に付け加えます、と書いています。

この③部分の内容が「終わりに」の内容となるのです。

 

※卒論の「はじめに」の書き方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

終わりにの書き方

「終わりに」では、「はじめに」で提起した問題に対して、これまでの研究で解き明かした結論をを書いていきます。

私は事例研究を行ったので、章の名前は「第三章 事例の解釈」としました。つまり、事例を解釈して結論を導き出す章ということです。

「はじめに」で提起した問題に対して、事例を研究した結果、どのような結論になったのかをこの章で示していきます。

「はじめに」で示した問題は「資本が限られる企業がどの様に生き延びれば良いのかを○○社の事例を用いて解き明かしたい」というもの。

この問題意識について、事例研究を行い、その事例の解釈の方法として

①Aという理論での解釈

②Bという理論での解釈

③この論文の理論での解釈

というように、3つの理論を用いて事例の解釈を行うと理論を展開させます。

最終的に、「はじめに」で提起した問題について、①でも②でも十分ではなく、③の理論であれば解決できるのではないかという結論に結び付けています。

 

①Rumelt(1974)の視点での解釈

私の論文の事例の解釈は、簡単に言うと、ルメルトの多角化戦略が長寿のためには必要だけど、事例研究をした企業は多角化していないのに長寿なので、ルメルトの理論では事例を解釈できないと述べています。

(前略)

○○社の場合、単一企業であるため、Rumelt(1974)の枠組みではこの企業が長寿である理由の説明がつかない。

そこで、○○の歴史を振り返ってみると、創業から、常に新しい市場へ刃物を供給してきたということがわかる。また、市場拡大の際、○○社
は△△という製品以外の製品を製造・販売するという多角化路線はとらなかった。この事例から見ると、ルメルトのいう多角化とは別に、自社製品群から見ると個別事業であるが、市場の視点から見ると多角化しており、この市場の多角化が業績につながったことがわかる。
この単一企業の市場からの視点というものはRumelt(1974)では捉え切れていない。

 

②三品(2004,2007)の視点での解釈

続いて2つ目の先行研究での解釈。

三品の理論では、創業者の事業立地(どんな市場で事業を行うかの選択)が適切であることと、企業が一つの市場ではなく時流に応じて様々な市場に軸足を移す「転地」の2つが企業の生存戦略には必要だといっているが、○○社は、創業時の事業立地の部分は満たしているものの、「転地」の部分は満たしていない、という解釈となっています。

三品(2004,2007)では、長寿企業には、①事業立地の選択に成功していること、②事業
立地を正しく選択する企業には就任時の期待任期が長く、マンデイトを持った、経営能力のある経営者に恵まれることの2 つの特徴があるとしている。

○○社の事例を見ると①事業立地の選択においては、(中略)立地に成功している。

転地について見てみると、○○は一貫して同じ製品を製造しており、その点において三品(2004,2007)で定義される転地は行っていない。ただ、販売先については大きく拡大しており、販売先の産業は増加している。

 

③本稿の視座での解釈

3つ目は、これまでの先行研究での視座での解釈とはべつに、この論文の視座での解釈を行います。

Rumelt(1974)では、(中略)新しい技術と新しい市場と、どちらも同時に変化させることを前提とした戦略であり、規模の小さな企業では本業以外へ投資するという行為がリスクとなり、採用が難しい戦略といえる。

三品(2007)では、主業を現在の事業立地から離し、新しい事業立地へ移動させる、転
地をうまく行うことが企業存続には必要だと述べられている。しかし、この方法を採用するためには、新しい技術の開発を行うことが必要であり、本業から離れた事業立地へと転地しなければならないため、大きなリスクを孕んでいる。

そこで、本稿で提示した、自社の技術は維持しながら市場を拡大していくという視点が重要となる。主業以外の技術への投資は行わず、あくまでも現在の主業へ投資を行い、その主業を持って様々な市場へと事業を拡大していくことで、最小限の投資で大きなリスク分散が可能となる。
○○社の場合、自社の技術は変更せず、市場のみ拡大していくという戦略を採用しており、この市場に着眼した戦略が同社の長寿に影響しているということがわかる。

このように、Aという理論、Bという理論では事例の解釈が上手くできないため、Cという理論が重要だということを述べて、自分の事例研究の内容を展開していき、最終的に

(前略)

以上のように、○○社の場合、自社の技術は維持しながら、市場を事業レベル・地域
レベルで拡大する戦略として実行しており、それがリスク分散につながったといえる。
この戦略を用いることで、自社の技術をいたずらに多角化する必要がなくなり、投資は現状の事業に集中させながら、市場を多角化できるのである。

という結論に結び付けています。

 

ディスカッション

この論文では、最終的に、ディスカッションという形で、今回の結論から「準多角化」という新たな理論を提唱したいという提言につなげて修士論文を締めくくっていますが、卒論の場合は新たな理論の提唱などは行わなくても問題ないかなと思います。

参考までにディスカッションについての例文もご紹介します。

本稿では、120 年に渡り事業を継続してきた○○株式会社を取り上げることで、三品
(2007)、Rumelt(1974)では見えていなかった、資金力のない企業が実現できる経営戦略に注目した。

(中略)

この事例を見ると、○○社の長寿の理由は三品の転地でもなく、ルメルトのいう多角化でもない。○○社は、技術は維持し、参入している産業と地域を増やすという、市場の視点から企業活動を行い、生き残ってきたのである。

犬飼(2011)によると、企業が多角化する理由としては、

①リスク分散のため、②未利用経営資源の有効活用のため、③複数事業の合成効果を獲得するため、の3 つがあげられている。この3 つの中で中小企業が考えなければならないことは特に①のリスク分散であるとすると、多角化や転地を推進することで、製品ラインナップの増加、在庫の増加、設備投資などが発生し、体力のない企業にとってはこれこそがリスクとなり得るのである。

このリスクを最小限に抑えるためにも、○○社が行っている戦略が一つの採り得る戦略となるのではないだろうか。そしてここでは、技術は維持し市場を拡大する視点を準多角化と呼びたい。

 

※事例研究のやり方の解説はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

卒論執筆後の過ごし方

卒論で「終わりに」まで執筆したら、あとは卒論の提出と口頭試問対策だけとなります。

企業の内定をもらっているという場合にも、卒論執筆後から入社までの時間を過ごしていくこととなりますが、最後に、社会人になるまでにやっておいた方が良いことをご紹介します。

社会人になる準備としてやっておいた方が良いことは、

・新聞を読む

・英会話・英語力を磨く

・経営系の本読んでみる

・PC関係のスキルを身につける

という4つ。社会人になってから良いスタートを切るためには、学生時代の準備はとても重要ですので是非スキルを身につけることを目標にいろいろなことに挑戦していてください。

また、学生のうちに楽しんでおきたいこともあります。

・好きなことに没頭する

・読書や映画鑑賞やゲームや漫画

・旅行

・勉強する、大学に行く

・美術館や博物館

・習い事を始めてみる

社会人になるとまとまった時間をとるのが難しくなるので、趣味に没頭したり、新しいことを始めたり、自分の好きなことを思いっきり楽しんで、大学生としての残りの時間を楽しむと良いかなと思います。

 

※社会人になる準備についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

終わりに

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この記事では、卒業論文の「終わりに」の書き方をご紹介しました。

「終わりに」は、その論文で自分がどのような問題意識を持って、何を解き明かしたいのかという問題意識に対して、研究を行った結果どのような結論に至ったのかということを書き表す重要な章。

「終わりに」を書くときには、問題提起したことに沿った結論を導き出すということを意識しながら理論を展開させていくと良いかなと思います。

 

※口頭試問対策はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※大学生におすすめなオンライン英会話の比較はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※卒論の「目次」の自動作成方法はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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