論文を執筆する際にとても重要なステップとなるのが先行研究のレビューです。
自分が興味がある事象について、これまでに研究されてきた論文や書籍をレビューする作業なのですが、先行研究の集め方について悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。
この記事ではそんな先行研究の探し方ついて、論文や書籍を集める方法をご紹介します。
- 卒業論文の先行研究の集め方(探し方)-参考文献の見つけ方から先行研究が無い場合の対処法まで紹介
- 先行研究とは-巨人の肩の上に立つ
- 先行研究の集め方
- 先行研究の参考文献をレビューする
- 先行研究が無い(見つからない)場合の対処法
- 終わりに
卒業論文の先行研究の集め方(探し方)-参考文献の見つけ方から先行研究が無い場合の対処法まで紹介
卒業論文を書く場合に始めに行うことはテーマ決めです。最初はなんとなくでも良いのでテーマを考え、テーマに沿った文献の収集と先行研究のレビュー(文献を読む)を行います。書くことが纏まってきたら構成(章立て)を考え、卒論の執筆開始となります。
最初のテーマ決めのあと直ぐに先行研究のレビューを行うのですが、この先行研究のレビューを行うためには、自分が書きたい対象やそれに近いものについての書籍や論文を見つけ出すことが大切です。
研究テーマによっては先行研究が見つからなかったり、外国語の論文しかなかったりと、多くの学生が苦戦を強いられる作業でもあります。
そんな先行研究の調べ方ですが、私が修士論文や卒業論文で実施していたおすすめの探し方が、①Google Scholarでの検索、②○○○ PDFという検索、③大学のデーターベースへのアクセス、の3つ。
この記事ではこれら3つについて詳しく解説したいと思います。
また、先行研究が見つからない(無い)ときの対処法もご紹介します。
※卒論の書き方についての解説はこちら
先行研究とは-巨人の肩の上に立つ
先行研究というのは、自分が研究したいものや類似した事象などについて研究された論文や文献のこと。
論文と言うのは「巨人の肩の上に立つ」作業だと言われています。意味合いとしては、先人たちが行ってきた巨人のように膨大な研究と理論をレビューし、その上に少しだけ自分の研究成果を追加する、というものです。
新しい新理論を打ち立てるというのは、一流研究者でも難しく、それこそノーベル賞級の研究を行って初めて実現できるものです。
ですから、卒論では「既に膨大に研究されているものに自分の理論を少し上乗せする」という気持ちで先行研究のレビューを行いましょう。
言い換えると、先行研究のレビューの良し悪しが卒論の良し悪しを左右するということでもあるので、先行研究のレビューをじっくりと行うのが卒論執筆の鍵となります。
※目次の作り方はこちら
先行研究の集め方
先行研究のレビューを行う際に避けては通れないことが、文献や論文を集めること。
そして論文を集める方法として、①理論系の先行研究を集める、②Google Scholarで検索する、③○○○PDFで検索する、④大学のデータベースへアクセスする、という4つの方法をご紹介します。
理論系の先行研究を集める
先行研究を集める際に一番の要となるのが、理論系の先行研究をレビューすること。たとえば、経済学ではケインズ経済学について書かれた研究だったり、経営学なら戦略論について書かれた研究、国際系なら新自由主義について書かれた研究などを指します。
何故理論系の先行研究のレビューが必要なのかというと、論文は、理論という骨組みがあることで執筆しやすくなるから。
また、事例などの研究を行いたい場合でも、同じ事例の先行研究は無くとも、その事例の背景にある理論の先行研究は多くある可能性があるのです。
例えば、経営学の論文を書くとすると、自分が興味をもっている○○社についての先行研究は少なかったとしても、○○社が応用している多角化戦略についての先行研究は沢山あります。つまり、この多角化戦略の先行研究のレビューを行ったうえで、事例として○○社のインタビューを紹介する、と言った研究なら可能になるのです。
Google Scholar で検索
先行研究はできるだけ理論についてのレビューを最初に行うのがおすすめなのですが、では実際にどのように先行研究を探せばよいのかというと、一番のお勧めはGoogle Scholarで検索することです。
理論についての大まかなレビューは図書館の本などで足りるのですが、この理論を別の事例に展開した論文などを見つけることはとても難しいです。例えば、「マルクス主義」の理論を説明している本は多くあるのですが、「マルクス主義の功罪」についての本を探すのは、難易度が上がります。
そんな時に利用したいのがこのGoogle Scholarなのです。
Google Scholarは、世界中の研究者の論文をキーワードから検索することができる検索エンジンで、自分が参考にしたい世界各国の研究を一度に探すことができます。
例えば、上の写真は、Google Scholarで「新自由主義 ウルグアイ」と検索した結果。ウルグアイの政治を扱った研究は図書館で見つけるのは大変なのですが、Google Scholarを使うと一瞬で、ウルグアイ研究で有名な和歌山大学の内田みどり先生の論文にたどり着くことができました。
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外国語の論文を直ぐに探すことができるのもGoogle Scholarの優れた点。こちらの写真は先ほどのウルグアイの新自由主義についての研究の外国語文献を調べた画像です。
スペイン語で「neo liberalismo Uruguay」と検索すると、英語文献とスペイン語文献にアクセスすることができました。
○○○ PDF とGoogleで検索
もう一つの文献検索の方法として、キーワード+PDFで調べるという方法があります。
Google Scholarでも論文を探すことができるのですが、この方法の場合、論文という形ではない資料を探すことができます。
例えば研究機関や政府機関が発行する雑誌やデータ、レポートなどを検索することが可能です。
例えば、先ほどと同じウルグアイの新自由主義についてGoogleで「新自由主義 ウルグアイ PDF」と調べた結果が上の検索結果。
Google Scholarでは論文がトップに来ていましたが、この検索方法だと農林中金総合研究所のレポートが一番に来ているのが分かると思います。
大学のデータベースやCiNiiへのアクセス
既に自分が読みたい資料が決まっている時には大学のデータベースやCiNiiという論文検索サービスへアクセスして資料を探すのがおすすめ。
上でご紹介したGoogle ScholarやGoole検索では、検索結果には上がってくるけれどもファイルが非公開になっている、という場合も多くあります。
そういった場合にはその資料のタイトルや作者を大学のデータベースで調べると資料の取り寄せや閲覧が可能です。
大学の図書館の場合、その大学で所有していない文献であっても協定大学などから取り寄せるということも対応してくださるので、是非大学の図書館の力を借りてみてください。
※事例研究の詳しいやり方はこちら
先行研究の参考文献をレビューする
先行研究が見つかったら、その先行研究で使用されている参考文献や引用元資料をレビューするのがおすすめ。
先行研究の参考文献は自分の論文と関係していることが多く、また、別の視点からその事象について研究していたりと、とても役に立ちます。
先行研究で使用されているデータは論文の筆者が加工していたりするので、そのデータの出典元を確認する作業もとても大切。
データは基本的に一次資料をレビューする必要があるため、先行研究のデータの元資料までアクセスしてみてください。
先行研究が無い(見つからない)場合の対処法
先行研究が無い場合の対処法ですが、考えなくてはならないのが、「テーマの変更」です。
最初に述べたのですが、研究というのは多くの場合、巨人の肩の上に立つ作業です。つまり先行研究が無い場合、その研究を続けるのがとても難しくなります。
ただ、テーマを変更するといっても諦めてしまうのではなく、視点を変えてみることで、その研究を続けることができる可能性は飛躍的にUPします。
例えば、「アイヌ語再普及の可能性」をテーマにしたいと思ったときに、このテーマの先行研究を見つけ出すのはとても難しいと思うのですが、テーマの視点を変えて、「少数言語の再普及の歴史とアイヌ語への応用可能性」というテーマなら如何でしょうか。
テーマが大きくなったことで、先行研究も見つかりやすくなることが分かると思います。この場合はアイヌ語再普及の先行研究ではなくて、少数言語の再普及についての先行研究を探すことになります。
このように、先行研究が極端に少ない、もしくは存在しない場合、研究対象をより大きな枠で捉えなおして、先行研究へのアクセス可能性を高めていくことができるといえます。
※筆者お勧めの研究についての本はこちら
終わりに
この記事では、卒業論文を執筆する際に研究の基礎となる先行研究のレビューのための先行研究の集め方をご紹介しました。
先行研究の収集時には、①理論の先行研究を始めにレビューする、②文献や論文はGoogle Scholarを活用する、③研究機関発行のレポートなどは「○○○PDF」と検索する、④タイトルや読みたい論文が分かるなら大学のデータベースで資料を閲覧する、
という4つの方法を実践してみてください。
また、先行研究がどうしても見つからないという場合には、テーマへアプローチする視点を変えて、もう一度論文や文献探しを行ってみてください。
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