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シェイクスピア四大悲劇の作品一覧とあらすじ解説-ハムレット,マクベス,リア王,オセロはどんな物語?

イギリス史上最も有名な劇作家と言っても過言ではないシェイクスピア

シェイクスピアは16-17世紀(1564-1616年)を生きた劇作家で、『ロミオとジュリエット』や『ヴェニスの商人』など、多くの有名な戯曲を生み出しました。

どの作品もとても有名である一方で聞いたことはあるけど内容まではよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事ではそんなシェイクスピアの作品から「四大悲劇」に列せられる、『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロ』のあらすじをご紹介します。

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シェイクスピア四大悲劇の作品一覧とあらすじ解説-ハムレット,マクベス,リア王,オセロはどんな物語?

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イギリスの劇作家シェイクスピアが書いた悲劇の戯曲、『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロ』の4つを合わせて四大悲劇と呼びます。

シェイクスピアの作品の中でも特に有名なこの4作品は、シェイクスピアに初めて触れる場合にも読みやすい作品です。

悲劇と言うだけあって、人を殺めたり、主人公が亡くなったりと、「人殺しいろいろ」な作品たち。偶然なことにシェイクスピアの生没年も1564-1616(ひとごろし-いろいろ)。

悲劇に満ちた四つの物語を是非堪能してみてください。

 

ハムレット-To be, or not to be

聖アルバン教会

「To be, or not to be:that is the question」。多くの名言を生み出したハムレットの戯曲の中でも特に有名な台詞です。日本語では「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と訳されるこの言葉が登場する作品こそが『ハムレット』です。

ハムレット』は『ロミオとジュリエット』と並び日本でも世界でもよく知られる作品。そして、この「生きるべきか、死ぬべきか…」という言葉も「ああロミオ、あなたはどうしてロミオなの」と同じくらい広く知られています。

さて、そんなハムレットですが、一体どのような作品なのでしょうか。

この作品を一言で表すなら、それは「復讐劇」と言えるでしょう。

ハムレットデンマークの王子。ある日、ハムレットの父である王が急死してしまいます。悲しみにくれていたハムレット。ですが、突然彼の前にに父王の亡霊が姿を現す。そして父王が言うには、「叔父クローディアスが、父王を殺し母を娶って王となった」と。

父の亡霊から真実を聞いたハムレットは、復讐を決意するのです。

復讐を誓ったハムレットは、憎きクローディアスを何度も殺そうと思うのですが、中々一歩が踏み出せません。しかしある日、ハムレットは恋人のオフィーリアの父である宰相ポローニアスを誤って殺してしまう。父の死を聞いて錯乱したオフィーリアが湖で溺死(ミレイ作の『オフィーリア』という絵画が有名)してしまうのです。

すると今度はポローニアスの息子でありオフィーリアの弟がハムレットに復讐しようとする、そしてハムレットに命を狙われるハムレットの叔父クローディアスがオフィーリアの弟と結託しハムレットを毒殺しようと企てます。

しかし、その毒を誤って飲んでしまった王妃であるハムレットの母が死に、ハムレットがオフィーリアの弟を決闘で殺し、そして最後はクローディアスをも殺め、自分も死んでいく、という物語。

ハムレットは復讐が復讐を生んでいく、悲劇の連鎖がテーマの戯曲なのです。

 

シェイクスピアならこのシリーズがおすすめ。戯曲の日本語訳です。

ハムレット (岩波文庫)

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マクベス-バーナムの森は動かない?

スコットランドの将軍マクベスは、ノルウェーとの戦争に勝ち、陣営に戻る途中3人の魔女と出会います。

すると魔女たちは「万歳、コーダーの領主」、「万歳、いずれ王になるお方」とマクベスに呼びかけ、一緒にいたバンクォーには「王にはなれないが、子孫が王になる」と予言しました。そして国王ダンカンの使者が現れ、マクベスがコーダーの領主に任命されたと伝え、予言が一つ実現したところから物語が始まります。

マクベスは帰郷すると直ぐに妻に予言の話を教え、彼女と王暗殺計画を立てます。

ノルウェーとの戦争での勝利を祝う宴会後、マクベスは寝ているダンカン国王の部屋に忍び込み王を暗殺。朝になり、国王の死体が発見され、城中が大騒ぎに。

父を殺されたダンカン国王の子どもたちは身の危険を感じ、長男のマルカム王子はイングランドへ、次男のドナルベインはアイルランドへ逃げると、王殺しの嫌疑が王子たちにかけられ、魔女の予言通り、マクベスが王となったのです。

その後マクベスは「子孫が王になる」と予言されたバンクォーを殺害したり、悪政を行ったりするのですが、そんな時、また魔女から「マクベスはバーナムの森が動かない限り安泰」、「女性から生まれたものはマクベスを倒せない」との予言がくだります。

一方で、周りへの猜疑心や心労からマクベスマクベス夫人は心を壊していくのですが、そんな中イングランド軍がウェールズへ侵攻。

マクベスは「バーナムの森が動かない限り大丈夫だ」と自分に言い聞かせる、しかし、ふと窓の外に目をやると、なんとバーナムの森が動いている。実はイングランド兵が木の枝を隠れ蓑に進撃してきただけなのですが、マクベスは「バーナムの森が動いた」と信じ切ってしまうのです。

動揺しているマクベスですが、イングランド軍との戦いの中にマクベス自身が身を投じます。そこに現れたのがマグダフという男。彼はウェールズからイングランドへ逃げたダンカン前国王の子マルカムの部下。

マクベスはマグダフに「女性から生まれたもの(人間)に私は倒せない」と、自分が不死身であることを高らかに宣言。しかし、マクダフは「私は女性から生まれた(自然分娩)ではない、お腹を破って生まれた(帝王切開)のだ」と言い、マクベスに切りかかり、マクベスはその最期を迎えたのです。

 

マクベス (岩波文庫)

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リア王-子の心親知らず

リア王は甘言に惑わされた王リアの悲劇を描く作品。

ブリトンの王リアには3人の娘がおり、長女はゴリネル、次女はリーガン、三女はコーデリアと言います。

ある日、ゴリネルとリーガンがリア王におべっかを使っていたときに、リア王が三女コーデリアに対しても同じように褒め称えるよう求めるのですが、コーデリアはそれを拒拒否。リア王に追放されてしまいます。

しかしその後リア王は信じていた娘ゴリネルとリーガンに裏切られ、そして全てを奪われ、荒野を彷徨うこととなったのです。

リア王はその後紆余曲折を経てフランスに逃げ延びた末娘コーデリアと再会し、彼女の親を思う真心に触れ彼女の心をやっと理解するのですが、その後コーデリアがいるフランスがブリトンに敗北し捕虜に。

獄中でコーデリアとの日々を過ごす中、最後の悲劇を迎えることとなるのです。

 

リア王 (岩波文庫)

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 オセロ-愛と憎しみの悲劇

ヴェネツィア カナル・グランデ 夕暮れ

オセロは愛する人を自ら殺してしまう愛憎の悲劇。

ヴェニスの軍人オセロは親の反対を押し切り、デズデモーナという女性と駆け落ちします。そんなオセロに届いた噂がデズデモーナがキャシオーという男と密通しているということ。この讒言をささやいたのがオスロを嫌っているイアーゴーでした。

イアーゴーはオセロがデズデモーナに送ったハンカチを盗みキャシオーの部屋においておくなど、嘘に真実味を加えていく。

嫉妬に狂ったオスロはイアーゴーにキャシオーの殺害を依頼、自らはデズデモーナを殺してしまうのです。

イアーゴーにはエミリアという妻がいました。彼女はオスロがデズデモーナに送ったハンカチをイアーゴーが盗んだことを告白。イアーゴーは今度はエミリアを殺害して逃亡してしまいます。

その後イアーゴーは捕まるのですが、絶望したオセロは既に亡くなっているデズデモーナに口付けし、自ら命を絶ってしまうのです。

 

オセロウ (岩波文庫)

オセロウ (岩波文庫)

 

 

シェイクスピアのあらすじを学ぶなら阿刀田高

ここまで、シェイクスピアの四大悲劇である『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロ』のあらすじをご紹介しました。

各物語のあらすじの解説で紹介した本は、どれも戯曲を日本語に翻訳したもので、台詞のキャッチボールにより物語が進んでいくスタイルの本です。

一方で、時代背景や詳しい解説を読みながらシェイクスピアに触れてみたいという場合におすすめ本が、阿刀田高さんの『シェイクスピアを楽しむために』です。

この本は、当時の風習などの解説も詳しくなされており、また言葉遊びの多いシェイクスピア作品の翻訳の難しさなども説明してくれている本。

シェイクスピアを楽しむためにはとてもおすすめな本ですので、是非一度手にとって見てください。

 

シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)

シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)

  • 作者:阿刀田 高
  • 発売日: 2002/12/25
  • メディア: 文庫
 

 

終わりに

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この記事では、シェイクスピアの四大悲劇と呼ばれる『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロ』をご紹介しました。

ハムレットは、復讐が復讐を生む憎しみの連鎖の物語、マクベスは自己顕示が猜疑心を生み身を滅ぼす様を表現する悲劇、リア王は甘言にすがり真心を読み取れなかった王の悲劇、そしてオセロは愛する人を信じず疑ってしまったことゆえに起こった悲劇の物語です。

どの作品もとても深いテーマを主題としており、また、シェイクスピアが残した名言も楽しむことができる作品ですので、是非一度シェイクスピアの戯曲を手にとって見てください。

 

ギリシャ神話のあらすじ解説はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※日本の日記文学についての記事はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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