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日記文学とは? 各作品の特徴と覚え方-成立順の語呂合わせや作品内容を紹介

日記文学というのは、日記の形をとった文学のことを指す言葉です。

日本で日記文学と言えば、平安時代から鎌倉時代に書かれた仮名文の日記を指します。

この記事では、日本史上特に有名で重要な7つの日記文学についてそれぞれの特徴と、成立順の覚え方をご紹介します。

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日記文学とは? 各作品の特徴と覚え方-成立順の語呂合わせや作品内容を紹介

日本で日記文学というと、平安時代から鎌倉時代に書かれた仮名文の日記を指し、7つの日記文学が特に有名で重要とされています。

その7つの日記文学を成立順に並べると、次の通りです。

①土佐日記-紀貫之

②蜻蛉日記-藤原道綱母

③和泉式部日記-和泉式部

④紫式部日記-紫式部

⑤更級日記-菅原孝標女

⑥讃岐典侍日記-藤原長子

⑦十六夜日記-阿仏尼

この7つの作品の中で、十六夜日記だけが鎌倉中期に書かれた作品で、他の6つは平安時代の作品です。

ここからはまずこの7つの作品の成立順の覚え方を語呂合わせで紹介し、それぞれの作品の特徴をご紹介していきます。

 

日記文学の成立順の語呂合わせ

まずは日記文学成立順の語呂合わせでの覚え方をご紹介します。

この7つの日記文学の成立順は、五七五七七の短歌のリズムで覚えましょう。

どさくさに 蜻蛉飛んで 泉にも 紫更に 讃岐にいざむ(行かむ)

語呂合わせなので多少強引な部分もありますが、そこはご愛嬌ということで。

この短歌の意味は、

「どさくさに紛れて、泉に向かって蜻蛉(トンボ)が飛んでいる。紫式部もそこからさらに讃岐へとむかう。」
といった感じ。

情景としては、

「旅の途中、泉のそばで休憩することとなった紫式部がふと泉の方をみると、旅の一行が食事の準備などで慌ただしくしているのに紛れてトンボたちも泉に向かって飛んでいく。それを見た紫式部は、ここから讃岐まで、さあ行こう、と思った」

という情景を思い浮かべてみてください。

さて、この語呂合わせのどの部分がどの日記なのかは下記の通りです。

どさくさに=土佐日記(930年から934年)

蜻蛉とんで=蜻蛉日記(954年から974年)

泉にも=和泉式部日記(1003年から1004年)

紫=紫式部日記(1008年から1010年)

更に=更級日記(1020年から1059年)

讃岐に=讃岐典侍日記(1109年ごろ)

いざむ=十六夜日記(1283年ごろ)

五七五七七のリズムを口ずさんで覚えると、とても覚えやすいと思いますので、是非この語呂合わせを覚えてみてください。

 

それぞれの日記文学の特徴

成立順が覚わったところで、ここからはこの7つの作品の内容や特徴をご紹介していきます。

 

土佐日記-紀貫之

土佐日記は紀貫之が土佐国から京に帰る最中に起きた出来事をユーモアを交えて綴ったものです。

成立は930年から934年。

様々な脚色や虚構もまじえて書かれているため、純粋な日記ではなく、「文学」とカテゴライズされています。

ちなみに、土佐と言えば幕末の志士坂本龍馬の出身国で現在の高知県です。

日本史学上初めて誕生したとされる日記文学で、仮名で書かれています。

その後の日記文学である『蜻蛉日記』、『和泉式部日記』、『紫式部日記』、『更級日記』などの女流文学にも影響を与えたと考えられています。

当時は男性は漢文を用いるのが一般的だったのですが、土佐日記は男性が仮名を使って記した文学として有名です。

 

蜻蛉日記-藤原道綱母

蜻蛉日記は平安時代に藤原道綱母によって執筆された日記文学。

成立は954年から974年。

藤原道綱母は「ふじわら の みちつな の はは」 と読みます。

夫である藤原兼家との結婚生活や、兼家のもうひとりの妻である時姫(藤原道長の母)との競争、夫に次々とできる妻妾について書かれている日記文学で、他にも旅先で起こったこと、上流貴族との交流の様子、息子道綱の成長などが20年間にもわたり書かれました。

女流日記文学の先駆けとして知られ、『源氏物語』など、その後の文学にも大きな影響を与えた作品です。

 

和泉式部日記-和泉式部

平安時代を代表する歌人である和泉式部が自身の恋模様について綴った日記文学。

1003年から1004年の数か月間の出来事が綴られています。

和泉式部には、夫の橘道貞がいたのですが、冷泉帝の第三皇子である弾正宮為尊親王(ためたかしんのう)と恋仲になってしまっていました。

しかし、恋人であった為尊親王が前年の1002年に亡くなり、また為尊親王との許されざる恋が原因で父親にも勘当され、さらに夫橘道貞との関係も冷めたものとなってしまいます。

その状況を嘆きながら日々を過ごしていた和泉式部のもとに、今は亡き恋人為尊親王の弟である敦道親王(あつみちしんのう)から便りが届きます。

その後、敦道親王と和歌や手紙などを取り交わし、また数度の訪問を受けるうちにお互いを深く愛する関係となり、最終的に和泉式部は帥宮邸(敦道親王の家)に迎えられる、というお話です。

歌人として名を馳せた和泉式部らしい、和歌の取り交わしが多く描かれた文学です。

 

紫式部日記-紫式部

『源氏物語』の作者である紫式部が、藤原道長の要請で宮中に上がり、宮中の生活で見聞きした様子を中心に約二年間にわたり書いた日記文学です。

成立は1008年から1010年。

本の内容から、源氏物語の後に書かれた作品だと分かっています。

自身が執筆した『源氏物語』に対しての世間の評判や、同僚女房であった和泉式部と赤染衛門(あかぞめえもん)、中宮定子の女房であった清少納言たちの人物評の部分が有名な作品です。

作中で、和泉式部に対して後輩として才能を評価しつつも、その恋愛の奔放さに苦言を呈したり(和泉式部日記をみると苦言を呈したくなる気持ちもわかります)、赤染衛門に先輩としての尊敬の意を示したりしています。

一番有名なのは枕草子を執筆した清少納言へのコメントで、

「清少納言と言うのはとても偉そうに威張っている人である。さも頭が良いかのように装って漢字を書きまくっているけれども、その中身を見れば至らぬところが多い。他人より優れているように振舞いたがる人間は後々見劣りするであろう。云々…」

と、酷評していたります。

 

更級日記-菅原孝標女

更級日記は菅原孝標女(すがわら の たかすえ の むすめ)によって書かれた日記文学です。

1020年から1059年の成立です。

菅原孝標女の母の異母姉は『蜻蛉日記』の作者・藤原道綱母です。

39年間にわたる長い期間のお話が綴られている物語で、少女時代に『源氏物語』を読みふけり、物語世界に憧憬しながら過ごしたこと、祐子内親王家への出仕、30代での橘俊通(たちばなのとしみち)との結婚、夫の病死などを経て、子供たちが巣立った後の孤独の中で次第に深まった仏教への傾倒までが描かれています。

 

讃岐典侍日記-藤原長子

讃岐典侍日記(さぬきのすけにっき)は、藤原長子(ふじわら の ながこ)によって書かれた日記文学です。女房名が讃岐典侍なので、讃岐典侍日記という名前です。

成立1109年ごろです。

藤原長子は、1100年堀河天皇に出仕し、1107年に堀河天皇の病状が悪化すると、最期の時までその側を離れず看病し続けました。

堀河天皇病没後、1108年に白河院の強い意向を受け、幼帝鳥羽天皇の典侍として再出仕しました。

この讃岐典侍日記は上下巻に分かれており、上巻は、堀河天皇の看護の日々を、下巻は鳥羽天皇の様子について描いています。

 

十六夜日記-阿仏尼

十六夜日記(いざよいにっき)は、阿仏尼(あぶつに)によって鎌倉時代に書かれた日記文学です。今回ご紹介した日記文学の中で唯一鎌倉時代に書かれました。

成立は1283年ごろ。

ちなみに、十六夜日記という名前は日記が10月16日に始まっていることを由来として後世に名づけられました。

実子である藤原為相と彼の異母兄・藤原為氏との間の、所領紛争について、鎌倉幕府に訴えるために京都から鎌倉へ下った際の道中および鎌倉滞在の間の出来事を綴った日記文学で、1年ほどの出来事が綴られています。

所領紛争というのは、阿仏尼の夫が所領であった播磨を元々長男である為氏に譲るとしていたのを、遺言で為相(阿仏尼の子)に変更したのにも関わらず、為氏が所領を譲らないので、鎌倉幕府に訴えに行ったというもの。

道中、各地で、風物、名所や感慨を日記に書き、また、頻繁に和歌に読んでいたそうです。

 

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※スタディサプリの感想はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

終わりに

この記事では、日本史の中でも特に有名な日記文学7つについて、その成立順の語呂合わせと各作品の特徴や内容をご紹介しました。

成立順は五七五七七のリズムで覚えると忘れないので、とてもおすすめです。また、内容は、漫画で読める古典シリーズなどを活用して、実際にどんなお話なのかを知ってみると、忘れづらいかなと思いますので、是非一度漫画で古典に触れてみてください。

 

※古典の助動詞の接続の覚え方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※古文の形容詞についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※古文の敬語についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※江戸の幕政改革の覚え方はこちら

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