古文で使う敬語には補助動詞と本動詞という動詞があり、この見分け方は古文を勉強する上でとても大切。
また、敬語が分かることで文章には明記されていない主語や客体を見分けることができるようにもなります。
この記事では、古文の敬語についてご紹介します。
古典の敬語 補助動詞と本動詞とは-古文は敬語で主語が分かる
古典の敬語は、文章の意味を捉えるために覚えておかなければならないとても重要な単元です。
敬語には補助動詞と本動詞があり、まずはこの見分け方を覚えることが大切。
また、敬語が分かると、その動作をした人物(主語)、その動作を受けた人物(客体)が誰なのかを見分けることができるようになります。
日本語は主語を省く言語なので、敬語を使っているのか、通常語を使っているのかによって誰がその動作をしているのか、だれにその動作をしているのかを見分ける必要があります。
例えば、「〇〇いる?」というのと、「〇〇さんいらっしゃいますか?」というのでは、〇〇さんが自分とどのような関係にあるのかが感覚的に分かるかなと思います。
このように、敬語を見分けることが、人を見分けることに繋がるのが古文だと言えます。
尊敬・謙譲・丁寧
まず、敬語には尊敬、謙譲、丁寧の3つの種類があります。
尊敬語は相手に敬意を表す言葉。目上の人や相手をたてる時に使います。例えば、現代語のいらっしゃる、おっしゃるなどが尊敬語にあたります。尊敬語は、その動きをする人に敬意を表したいときに使用します。
謙譲語は、自分がへりくだることで、相手を立てる言葉。例えば、現代語だと、(相手に)申し上げる、拝見する、頂く、などが謙譲語です。これらの言葉は、その動きをする人を下げることで相手に敬意を表しています。
丁寧語は、聞き手に対して丁寧に述べる言葉です。「です、ます」などが丁寧語となります。
古文ではこれらの尊敬語、謙譲語、丁寧語が単語によって決まっており、敬語を学ぶときにはそれぞれの単語がこの3つの中のどの敬語なのかまで覚えることが大切です。
補助動詞と本動詞
尊敬語、謙譲語、丁寧語の3つの種類がある敬語ですが、さらに補助動詞と本動詞という2つのタイプに分けることができます。
補助動詞というのは、その敬語を省いても意味が分かる時に使用する敬語で、例えば「おめでとうございます」の「ございます」がそれにあたります。この場合、単に「おめでとう」と言っても意味が通じ、「おめでとう」を丁寧に言いたいときに「ございます」という補助動詞が使われています。
一方で、本動詞はその動詞が無いと意味が分からない動詞を指します。例えば、「先生がいらっしゃる」というとき、いらっしゃるという言葉がないと「先生が」で終わってしまい意味が分かりません。このように、その動詞自体を省いた時に意味がわからないものを本動詞と呼びます。
現代語では、このように、その単語を省けるのか省けないのかが分かりやすいのですが、古文ではこの2つを、補助動詞の型を見ることで見分けられるようになります。
補助動詞の型
その単語が補助動詞か本動詞かを見分ける時に役に立つのが、「どのような場合に補助動詞となるのか」という「補助動詞の型」を覚えること。
この補助動詞の型に当てはまる場合、その敬語は「補助動詞の可能性がある」と言えます。
なぜ「可能性がある」なのかというと、敬語には補助動詞になることができる動詞と補助動詞にはなれない動詞があるから。
つまり、この型に当てはまって、補助動詞になれる動詞の場合に、その敬語が補助動詞であるということができるのです。
この補助動詞の型は全部で三つあります。
①「用言+V」と「用言+助動詞+V」の時
用言は、動詞・形容詞・形容動詞の3つ。この3つに敬語のVがついている場合、その敬語は補助動詞となる可能性があります。また、用言に助動詞がついて敬語となっている時も同様です。
例えば、
書き奉る=動詞+敬語(補助動詞)
美しく侍り=形容詞+敬語(補助動詞)
書かせ給う=動詞+助動詞+敬語(補助動詞)
などです。
②「V+て+V」
続いて、動詞に「て」がついて敬語となっている場合、その敬語は補助動詞の可能性があります。
例えば
書きて侍り=動詞+て+敬語(補助動詞)
など。
③「体言+に(て)+ありの敬語」
3つ目が体言つまり名詞に「に」もしくは「にて」が続き、「あり」の敬語の形で終わっている時、この「あり」の敬語の形の部分も補助動詞の可能性があります。
例えば、
女房に(て)候ふ=体言+に(て)+ありの敬語(候ふ)
という場合、「候ふ」の部分が補助動詞となっています。
つまり、敬語が出てきた場合、その敬語の上を見て、「用言の場合」、「動詞+に(て)の場合」、「体言+に(て)の場合」は補助動詞の可能性があり、それ以外の場合は確実に本動詞であると言えます。
補助動詞になれる10個の単語
先ほど確認した補助動詞の型ですが、この型に当てはまる場合に補助動詞となれる単語で抑えるべき単語10個あります。
まずはこの10個をしっかり覚えることが大切です。
尊敬の補助動詞
①給う(四段)
②おはす
③おはします
訳:「なさる」、「お~になる」
謙譲の補助動詞
①奉る(たてまつる)
②申す
③聞こゆ
④参らす
⑤給ふ(下二段)
訳:「お~し申し上げる」、「お~する」
例:書き奉るは「お書き申し上げる」や「お書きする」と訳します。
丁寧の補助動詞
①侍り
②候ふ
訳:「~です」、「~ます」、「~ございます」
例:書き侍りは「書きます」となります。
補助動詞の型+10個の単語の時に補助動詞
補助動詞の型に当てはまり、さらに10個の単語に当てはまるとき、その敬語は補助動詞となります。
反対に、この2つの条件を満たさないときはその単語は本動詞です。
例えば、「聞き侍り」という場合には、「V+敬語」なので補助動詞の型になっています。また、「侍り」は10個の単語の内丁寧の補助動詞に当てはまるので、型と単語どちらにも当てはまるので、補助動詞だと分かります。
一方で、「川が侍り」という場合、「侍り」という10個の単語の1つですが、補助動詞の型に当てはまらないので本動詞、「川がある」という意味になります。
このように、補助動詞の型に当てはまるのか、また当てはまる場合にはその単語が10個の単語に入っているのかを確認することで、敬語が補助動詞なのかを見分けることができるようになります。
そして、この補助動詞の型、10個の単語のどちらにも当てはまらない場合、もしくはどちらか一方しか当てはまらない場合は本動詞だと思えておくのがおすすめです。
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終わりに
この記事では、古文の敬語についてご紹介しました。
敬語を覚えるときには、補助動詞、本動詞をしっかりと見分け、尊敬後、謙譲語、丁寧語のどれに当てはまるのかを考えることで、文章が読みやすくなりますので、敬語を覚えるのはとても大切。
補助動詞の型と10個の単語をしっかりと覚えて、尊敬、謙譲、丁寧の単語の用法を勉強すると、古文の文章がより一層面白く感じられるかなと思います。
※助動詞の接続の覚え方はこちら
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