大学生活の集大成ともいえる卒論の執筆。その最初の難関ともいえるのが中間発表です。
中間発表では卒論執筆の進み具合を発表し、教授陣からの質疑応答に答え、必要があれば卒論の軌道修正を検討するなど、卒論執筆の道しるべとして機能します。
この記事では中間発表の構成や準備方法をご紹介します。
- 卒業論文 中間発表の構成と準備-文系の例を用いて卒論の中間発表のやり方と内容を紹介
- 中間発表の構成
- レジュメかパワポか
- 質疑応答は厳しいもの
- 中間発表後にテーマが変わっても良い
- 中間発表に間に合わないと感じたら
- リフレッシュにはオンラインの習い事がおすすめ
- 終わりに
卒業論文 中間発表の構成と準備-文系の例を用いて卒論の中間発表のやり方と内容を紹介
卒論の中間発表は、卒論執筆の土台を固めるための重要な機会で、自分の考えた卒論の構成や計画を発表し、その計画について教授陣やほかの学生からの意見やアドバイスを聞くことができる場でもあります。
卒論の中間発表では主に自分の執筆したい卒論のテーマ、そのテーマを選んだ理由、先行研究の紹介、そして卒論執筆に向けた今後の計画を発表します。
発表後には自分の計画についての質疑応答があり、様々な意見を聞きながら研究の方向性を定めていくこととなります。
中間発表の構成
中間発表でどこまで卒論の計画を発表すればよいのかが迷うところですが、私が実際に卒論や修士論文を執筆した時に中間発表の構成は次の通り。
この構成は大学や大学院での発表時に特に問題となったことはないので、まずは下記の構成で発表できるくらいまでの準備を行ってみてください。
・研究テーマ
・研究動機(背景)
・研究目的(何を解き明かすのか)
・先行研究の紹介
・研究方法
・今後の計画
この流れで発表していき、最後に質疑応答があるのが通常の流れとなります。
この中でも特に重要なのが研究テーマと先行研究の紹介です。
研究のテーマに無理がないか(広すぎないか、絞りすぎていないか)、先行研究は十分に存在しているか、という部分を教授陣に確認していただくためにも、この部分を重点的に発表していくのがおすすめ。
テーマと先行研究は卒論執筆にの鍵となる部分で、中間発表の時点でこの2つがしっかりと準備されていると、その後の執筆が進めやすくなります。
※卒論の書き方と構成についてはこちら
研究テーマ
中間発表で一番初めに紹介するのが研究テーマです。
テーマがしっかりしている論文はその後の執筆作業もスムーズに行くことが多いのですが、テーマがあやふやだったり、大きすぎたり、抽象的な場合には、卒論の執筆が難航したり、内容が不十分となる可能性も出てきます。
ですから、中間発表でのテーマの紹介は、今後論文を書いていくことができるのか、少し軌道修正するべきなのかを検討するためのとても良い機会になります。
テーマ決めの方法は次の4つのステップを踏むことが大切です。
①興味がある分野の文献を読む
②解き明かしたい理論を見つける
③テーマを絞る
④タイトルを決定する
この4つのステップを踏んでテーマを決定してみてください。
※研究テーマ決めの詳しい情報はこちら
研究の動機(背景)
続いて研究の動機を発表します。
動機というのはそのテーマを選んだ理由や背景のこと。
例えば、「ウルグアイの左派政権と貧困改善」というテーマを考えていたとすると、その理由として、
「南米には左派政権が多いが貧困改善の兆しがない。一方、ウルグアイは左派政権下で様々な経済指標が上昇し、同時に不平等や貧困が改善されている。分配重視の南米左派政権の中で、経済も貧困も改善するという特異な変化を見せるウルグアイ政治のどこにその理由があるのかを解明したい。」
というような感じで理由を考えます。
他にも、「企業の長寿戦略-〇〇社の場合」というテーマの場合には、
「企業を存続させる長寿戦略として△△戦略という理論があるが、日本には△△戦略を採用していないのに長く存続している企業がある。その企業が既存理論とは別の戦略をとっているのに長寿である理由を解き明かしたい」
などが研究の動機や背景の例です。
※卒論の「はじめに」の書き方はこちら
研究目的(何を解き明かすのか)
研究の背景を説明したら研究の目的を発表します。
目的というのは、何が問題点で、どう解決するのか、というところです。
対象中で何が問題点なのかというところは研究の背景でも説明すると思いますが、ここでは明確に問題点を提示します。
例えば先ほどの長寿企業の研究では、「既存の理論では説明しきれない長寿戦略を採用している企業があるため、事例を用いてその企業がどのような長寿戦略を採用しているのかを解き明かす」といったところです。
そして、問題点をどう解決するのか。つまり、上の例では、事例とした企業の戦略がどのような戦略なのかを定義したいというところが目的ですので、その目的を達成するために、新しい理論を提案するのか、もしくは既存理論の見直しを行うのか、などが解決策となります。
先行研究の紹介
研究テーマと動機を発表したら、先行研究を紹介します。
まず、卒論を書く時には、一度目を通した本や論文はすべて一覧としてまとめておくのがおすすめです。実際に卒論執筆で使用した場合は卒論の参考文献に記載できますし、卒論には使用しないという場合にも、一覧となっていることで必要な時に参照することが可能です。
ちなみに参考文献の書き方は各大学や学部でフォーマットが決まっているので、この時点から大学指定の書き方でまとめておくのがおすすめです。
中間発表では、自分の書きたいテーマについて、先行研究がどのくらい見つかっているのかを発表することとなります。
理論についての参考文献
基本的に論文を書く時には使用する理論を考えることが必要ですので、理論に関する本や論文を10本ほど準備します。理論というのは、先ほどの長寿企業の例の場合は「多角化戦略」などの理論がベースとなる理論で、その理論を提唱したルメルトやアンゾフの研究が参考文献となります。
経済学の分野ならマルクス経済学やケインズ経済学などが理論ですし、言語学なら認知言語学や生成文法などが理論で、それらの理論についての論文や本が理論についての参考文献となります。
解き明かしたい対象の参考文献
理論についての参考文献が見つかったら、今度は具体的な事柄についての参考文献を探します。
具体的な参考文献の例としては、例えば先ほどのウルグアイの例では、理論についての文献は新自由主義経済政策などの経済政策理論で、具体的な参考文献はウルグアイの政治、ウルグアイの経済、ウルグアイの文化、経済指標等のデータなどについての文献を指します。
※先行研究の探し方についての詳細はこちら
研究方法
研究方法というのは、同研究するのかを指します。
事例研究なのか統計的研究なのか、事例研究であればどの事例を用いるのか、インタビューをするのか、フィールドワークをするのか、などを説明します。
例えば、先ほどの長寿企業の研究の例では、ルメルトと三品の論文を主として参考とすること、事例研究として○○社の事例を取り上げること、事例研究のため、インタビューなどを行うこと、などが研究方法です。
※事例研究のやり方はこちら
今後の計画
最後の今後の計画ですが、これまで調べたこと、参考文献や理論を踏まえて、今後どのような調査を行っていくのかということを発表します。
多くの場合、中間発表は夏休み明けにあるので、中間発表から卒論提出前は3か月程度となります。
10月、11月、12月と各月にどのようなことを行うのかを説明しましょう。
※卒論の終わりにの書き方はこちら
レジュメかパワポか
中間発表の資料はレジュメかパワポどちらでもいいことが多いですが、大学やゼミによってどちらかに決められていることがあります。
内容は「中間発表の構成」でご紹介した内容をまとめたものとします。
中間発表当日はレジュメを出席者数にプラスして15部ほど準備しておくと急にいらっしゃった方分も対応できるかなと思います。
尚、パワポ資料は4スライドを1ページにまとめて、両面印刷すると紙の量を削減することができます。
資料には表紙を付けて、研究の表題、日時、氏名、ページ番号を明記します。発表時間はゼミや大学によって異なりますので、しっかり確認しておくと良いと思います。
質疑応答は厳しいもの
卒論の中間発表は、どれだけ準備して、完璧だと思えるくらい素晴らしい発表ができたとしても、質疑応答ではかなり辛辣にコメントをいただきます。
中間発表では、ゼミの教授をはじめ様々な教授陣やゼミ生、後輩たちが自分の発表を聞いてくださるのですが、特に教授たちの質疑応答は卒論がより良くなるためのコメントであり、テーマとして無理がないか(広すぎないか、狭すぎないか)、先行研究は揃っているか、結論を導けそうか、など様々な観点からの質問をしてくださいます。
ですので、基本的に質疑応答は厳しいものという心持ちで中間発表に臨むのが良いかなと思います。
中間発表で指摘されたことは真摯に受け止めて、卒論執筆に生かしましょう。
中間発表後にテーマが変わっても良い
中間発表中に指摘されたことを踏まえて、テーマが変わることも悪いことではありません。
時期的に、中間発表後のテーマ変更は時間的な余裕がなくなってしまうのですが、これまでの先行研究のレビューが生きるような形であれば「努力が水の泡」とはならないと思います。
私も、卒論のテーマが広すぎて、中間発表時にアドバイスを頂いたので、その後より狭いテーマに変更しました。
中間発表は自分の研究の軌道を正しく導いてくれるものという感覚で、アドバイスをうまく活用していくのが大切です。
中間発表に間に合わないと感じたら
中間発表前に準備が間に合わないと感じたら、まずはテーマ決めと先行研究リストの作成に力を入れてチャレンジしてみてください。
基本的に卒論は先行研究のレビューさえしっかりしていれば、最終的に論文の形を整えることが可能です。
解き明かしたい問題点や今後の計画ができていなかったとしても、先行研究がそろっていれば、大きな問題とはなりません。
一方で、十分な量の先行研究が見つかっていないという場合は、計画が計画倒れに終わってしまう可能性があると指摘されてしまうこともあります。
ですので、まずはテーマを決めて、先行研究を集めるようにしてみてください。
また、先行研究は具体的な研究よりも理論の論文や書籍を先に集めておくのが重要です。気になった事例研究や統計研究で使用されている理論をさかのぼって確認してみるというのも方法の一つすし、面白い理論があるならその理論をレビューして理論の応用例などを辿っていくという方法でも、自分の研究の道筋をつけることができるようになります。
リフレッシュにはオンラインの習い事がおすすめ
卒論を執筆していると、思うように進まなかったり、考えがまとまらないという場合があります。
そんなときのリフレッシュ方法として、オンラインの習い事がおすすめ。
コロナ禍で外に出にくかったり、ジムや教室に通うのが難しい状況ではありますが、現在はオンラインでもヨガやフィットネス、英会話、プログラミング、ボイトレ、楽器など、様々なことをなることができ、家に居ながら趣味の幅を増やしていくことが可能です。
卒論を書いているとストレスが溜まってしまうこともありますが、今あるツールを使いながら上手に発散して、執筆に取り組んでいけると良いなと思います。
※オンライン教室の情報サイトはこちら
「くらする」-やってみたいが見つかるオンライン教室の情報サイト
終わりに
この記事では、卒論の中間発表の構成や準備についてご紹介しました。
まずは中間発表に向けてしっかりとテーマ決めと参考文献のレビューを行い、準備して本番に臨むことが大切です。
また、中間発表は執筆中の論文を俯瞰的に確認することができる機会です。様々な意見やコメントを真摯に受け止めて、自身の卒論がより良いものになるよう、挑戦してみてください。
自己研鑽のおすすめ記事
※資格取得におすすめなStudying
※大学生におすすめなオンライン英会話の比較記事はこちら
※ビジネス英語が学べる英会話教室
※仕事が始まるまでのおすすめ過ごし方はこちら
卒論関係の関連記事
※卒論の目次の作り方はこちら
※口頭試問の準備についてはこちら
就活関係
※新卒におすすめな就活サイトとエージェント