スペイン語といえばスペインやラテンアメリカ諸国で話されるラテン系の言語。
スペイン語は発音や語彙などの点で日本語と似ている、発音が似ているから学びやすいと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「スペイン語は日本と似ているのか」について、文法、語彙、発音などの面から例を用いてご紹介します。
- スペイン語と日本語は似てる言葉?-発音, 文法, 単語など共通点がある日本語と西語
- スペイン語はラテン系のロマンス諸語
- 日本語は仲間がいない言語
- 違うが似ている文法-スペイン語と日本語の不思議
- 似ている単語-共通する語彙がある
- 発音が似ているスペイン語と日本語
- スペイン語練習はDMMのオンライン会話
- 終わりに
スペイン語と日本語は似てる言葉?-発音, 文法, 単語など共通点がある日本語と西語
今回考えていきたいスペイン語と日本語は似ているのか、ですが、結論から言うと「似ていないが、似ている」です。
スペイン語はロマンス諸語に分類される言葉で、ポルトガル語とよく似た言語です。
実は日本語はポルトガル語の単語を多く借用しており、特に語彙の面でポルトガル語と日本語は似ているのですが、スペイン語がポルトガル語と兄弟であるため、日本語の語彙がスペイン語と似ているということがあるのです。
また、発音は、スペイン語は母音が「aeiou」の5つであり、日本語と同じ母音を持っています。その点で、日本語と発音が類似しており、日本人には発音しやすい言語です。
この記事ではそんなスペイン語と日本語について、文法、語彙、発音の3つの視点から、「何が似ていなくて何が似ているのか」をご紹介します。
スペイン語はラテン系のロマンス諸語
スペイン語はヨーロッパのスペインやラテンアメリカ各国、アフリカの赤道ギニア共和国など21の国や地域の公用語です。
言語としてのグループ分けでは「ロマンス諸語」に分類されます。ロマンス諸語とは、元々ローマ帝国で使用されていたラテン語が派生してできた言語のこと。いわゆるラテン系の言語です。
ロマンス諸語の代表的な言語にはスペイン語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、ルーマニア語があり、小さな言語ではカタルーニャ語、ガリシア語、ロマンシュ語などがあります。
※ロマンス諸語についてはこちら
日本語は仲間がいない言語
日本語のグループ分けですが、実はバスク語と並んで世界で唯二つ日本語は他に仲間がいない言語だといわれています。
つまりどのグループにも属していないのです。そしてその見地に立つと日本語に似ている言語は無い、ということになります。
一方で、琉球語が日本語の一派だとする説もあり、その場合には日本語グループの中に日本語と琉球語が存在することになります。
いずれにせよ、スペイン語語と日本語は全く異なった言語だといえます。
違うが似ている文法-スペイン語と日本語の不思議
文法面は違う言語ということで大きく異なっている部分が大半なのですが、意外と似ている部分もあります。
自由な語順
文法は基本的には異なります。例えばスペイン語はSVO(主語、動詞、目的語)の順番で文を作るのですが、日本語はSOV(主語、目的語、動詞)の順番で文章を構築するのが普通です。
例えば、「私はパンを食べる」はスペイン語では「Yo como pan (私 食べる パン」となり、日本語とは異なる語順です。
一方で基本はあるけれど、語順がかなり自由という面でスペイン語と日本語はよく似ています。
例えば、「私は日本に住んでいます」という場合、スペイン語では「Yo vivo en Japon.」となり、「私は(yo)vivo(住んでいます)en Japon(日本に)」という語順となるのですが、順番を入れ替えて「Vivo yo en Japon」や「En Japon, vivo Yo」などの順番にすることもできるのです。
日本語でも「私は日本に住んでいます」という言い方も、「日本に私は住んでいます」という言い方も「日本に住んでいます、私は」という言い方もできることを考えると、少し似ているなと感じます。
英語の場合、「I live in Japan」のように、順番を入れ替えることができず、慣れるまでは大変なのですが、スペイン語は日本語の感覚で自由に文を作ることができます。
主語を省略
英語を学ぶとき、必ず主語を付けるということ学びます。
「I live in Japan」を「Live in Japan」とすることはできないのですが、スペイン語では日本語と同じく主語を省略することが可能です。
私は日本に住んでいますという「Yo vivo en Japon」も、主語の「Yo」を言わずに「Vivo en Japon」とすることができるのです。
日本語でも毎回「私は〇〇です」と言うことはなく、多くの場合「日本に住んでます」など、主語を省略することが多いのですが、スペイン語はその点で日本語ととてもよく似ている言語です。
動詞の活用
日本語には「未然、連用、終止、連体、仮定、命令」のように、動詞にくっつく語によって動詞が変わる、動詞の活用があるのですが、スペイン語は「主語と時制による動詞の活用」があります。
つまり、
①私
②君
③彼/彼女/あなた
④私たち
⑤君たち
⑥彼ら/彼女ら/あなた方
という6つの種類の主語ごとに同氏の形が変わります。
例えば、先ほどの「住む」という単語「Vivo」は、もともと「Vivir」という単語が動詞の原形で、主語が「①私」の現在形なので「Vivo」となっていました。
一方で、VIvirの現在形の活用を主語ごとに紹介すると、
①VIvo
②Vives
③Vive
④Vivimos
⑤Vivis
⑥Viven
となり、主語が誰なのか(誰の行動なのか)によって動詞が変化します。
この活用は過去形、現在形、未来形などそれぞれ異なり、1単語につき50個以上の活用を覚える必要があるのがスペイン語の少し大変な部分です。
似ている単語-共通する語彙がある
外来語というと、英語が起源だという印象があります。例えば、「コンセンサスを得る」、「アポを取る」など、元々英語だった言葉を日本として使用していたりします。
ただ、日本語のカタカナ語の中には、多くのポルトガル語起源の言葉があるのです。そしてポルトガル語起源の単語はスペイン語ともよく似ています。
例えば、「パン」はポルトガル語の「Pao(ぱお)」からできた単語でスペイン語では日本語と同じ「Pan(パン)」と発音します。他にも「合羽」、「カルタ」、「キリスト」、「ピン」、「ビードロ」など、すでに外来語ではなく日本語として認識されている言葉もスペイン語と共通していたりするのです。
ポルトガル・スペインと日本の関係
なぜ、ポルトガル語由来の日本語が多くあるのかと言うと、大航海時代の16世紀(1500年代)前半にポルトガル人が日本にたどり着き、貿易を行ったから。
所謂「南蛮貿易」です。このポルトガル人の日本到着の影響で日本にキリスト教が伝わり、また、種子島には鉄砲が伝来しました。ちなみに南蛮貿易にはスペインとの貿易も含まれるので、外来語の中にはもともとスペイン語だった単語もあるかもしれませんが、基本的にはポルトガル語由来だと言われています。
ポルトガルやスペインとの交易を行った日本には、多くのポルトガル人やスペイン人が渡来しました。安土桃山時代には織田信長と豊臣秀吉が、南蛮貿易を推奨し、交易がますます発展したのです。
ちなみに有名なイエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルはスペインのナバラ地方出身のスペイン人です。
そんな人の交流、文化の交流によって、ポルトガル語の語彙が日本でも使用されるようになったのです。
※ポルトガル語と日本語の比較はこちら
スペイン語が日本語になっていることも
ポルトガル語の語彙が日本語で借用語として使用されていることが多いとご紹介しましたが、実はスペイン語の語彙が日本語として使われていることもあります。
例えば、エルニーニョ現象、ラニーニャ現象、リアス式海岸、ナタデココなど。
また、サッカーチームの名前がスペイン語由来だったりと、意外とスペイン語との共通点があります。セレッソ大阪、柏レイソル、大宮アルディージャ、横浜Fマリノスなどがその例です。
また、反対に日本語由来のスペイン語も存在します。
例えば、マンガ、アニメ、カミカゼ、寿司などの言葉はそのまま日本語がスペイン語として使用されています。
※Jリーグの名前の由来はこちら
発音が似ているスペイン語と日本語
スペイン語の発音と日本語とよく似ています。
スペイン語の母音は日本語と同じく「a, e, i, o, u」の5つ。
アルファベットの読み方はほぼローマ字読みです。少し変わった音として、Rの音が巻き舌になることがあるのと、JとGの音を「は行」で発音する場合があります。
スペイン語の音は本当に日本語にそっくりなので、日本語を話す感覚でスペイン語を話すだけで、「発音上手」と褒めてもらえるのが嬉しいところ。スペイン語が勉強しやすいと言われる所以もここにあります。
ちなみに、独自の発音を持つフランス語や英語話者はスペイン語の学習時に母語の影響で上手く発音できないと言っていました。日本人にとって英語の発音は難しいと感じるように、英語話者もスペイン語の発音は難しいと感じるというのは興味深いなと思います。
このように、巻き舌など、少し難しい発音もあるのですが、基本的にはスペイン語と日本語の発音はよく似ているのです。
※スペイン語のおすすめ参考書はこちら
スペイン語練習はDMMのオンライン会話
スペイン語を勉強してみたい、スペイン語会話を練習してみたいという場合には、DMM英会話でスペイン語圏の講師とのレッスンにチャレンジするのがおすすめ。
授業はフリー会話形式で、ネイティブが話す自然なスペイン語に触れることができます。
私自身DMMでオンラインの授業を体験してみて、日本ではなかなか触れることのできない外国語のコミュニケーションができてとても良いなと思いました。
初めてスペイン語に触れるという場合にも、挨拶や定型会話から練習できるので、興味があるという場合は体験レッスンを試してみるのが良いかなと思います。
※DMMのスペイン語レッスン記事はこちら
終わりに
この記事では、「スペイン語と日本語は似ているのか」をテーマに文法、語彙、発音の面で二つの言語を比べてみました。
この二つは言葉のグループ分けも全く異なっており、全く別の言語なのですが、似ている部分も確かに存在しました。
語彙面では二つの国が歴史の中で深く交わった時があり、その名残が今日にも「外来語」という形で残っていました。悠久の歴史にロマンを感じてしまいます。
リアス式海岸やエルニーニョ現象などの地理の言葉もスペイン語を使用していたり、プロスポーツのチーム名がスペイン語由来だったりと、スペイン語を意外なところで使用しているのも面白いなと思いました。
また、発音もよく似ており、日本語風に話すだけで「上手!」と褒められるスペイン語は、なんだか話すのが楽しくなってしまう言語です。
主語を省略して話すことが多いところもスペイン語と日本語はそっくりで、そういう面でも親近感が湧いてきます。
全く異なる言語であるスペイン語と日本語の比較を通して、スペイン語圏の国々と日本との「縁」のようなものを感じることができました。
※スペイン語とフランス語の比較はこちら
※スペイン語と英語の比較はこちら