英語とフランス語、世界で使用されている言語であり、仕事や会話で耳にする機会も多いです。
どちらを勉強したほうが役に立つのか、はたまた同時に勉強することができるのかなど、学習する言語を選択するときに気になるところ。
今回はそんなフランス語と英語の似ているところ、違っているところをご紹介します。
- 英語とフランス語は似てる!?難易度は?-発音・単語・文法面での違いや共通点を解説
- 英語と仏語は違うグループ-英語の兄弟はドイツ語!?
- 語彙-英語のラテン系単語はフランス語由来
- 発音-英語とフランス語で大きく異なる
- 文法-英語とフランス語は従兄弟くらい似ている
- 文字-フランス語はアクセント記号がある
- 英語とフランス語はどちらが難しい?
- 終わりに
英語とフランス語は似てる!?難易度は?-発音・単語・文法面での違いや共通点を解説
英語とフランス語、どちらも世界で広く使用されている言語です。
世界の共通語として使用されることが多い英語、ヨーロッパやアフリカ諸国で使用されることが多いフランス語を話すことができれば、海外に出たときに多くの外国の方々とのコミュニケーションができるようになります。
英語とフランス語ですが、似ているのか似ていないのかというのが気になるところ。似ていれば英語を勉強することでフランス語の学習も楽になりますし、似ていなければどちらも別言語として新しく学ぶ必要が出てきます。
そして、結論から言うと、この二つの言語、単語(語彙)の部分では似ている単語が多いですが、発音、文法の面では似ていない言語であるということができます。
英語と仏語は違うグループ-英語の兄弟はドイツ語!?
英語とフランス語、どちらもヨーロッパ起源の言葉ですが、それぞれ属するグループが異なっています。
英語の言語グループは印欧系のゲルマン語派というもので、所謂ゲルマン系の言語。実はドイツ語やオランダ語、北欧言語の兄弟なのです。
一方でフランス語は印欧系のロマンス諸語と呼ばれるグループに属しています。ロマンス諸語は一般にラテン系と呼ばれる言語で、代表的な兄弟はフランス語やイタリア語、ポルトガル語、ルーマニア語です。他にもカタルーニャ語やガリシア語などの小さな兄弟もいます。
したがって、大本の「印欧系」という括りは同じなのですが、属するグループは異なっており、英語とフランス語は異なる言語と言うことができます。
ですから、もともとの言語の仕組み、単語の部分は全く異なっているといっても過言ではありません。
※ロマンス諸語についてはこちら
語彙-英語のラテン系単語はフランス語由来
異なるグループに属する英語とフランス語ですが、実は単語レベルで考えると似ている単語が多いです。
では、何故単語が似ているのか、それは、英語にフランス語の語彙が多く流入したことに起因します。
イギリスへのフランス語流入の歴史
もともとはイングランドには、「ケルト人」と呼ばれる人たちが住んでいました。その後、ローマ帝国、アングロサクソンの時代へと続き、このアングロサクソン人がケルト人をウェールズやスコットランド、アイルランドに追い払い、アングロサクソン人の天下となりました。アングロサクソン人の天下の下で使用され始めたのが、今の英語の祖先である、古英語です。
しかし、1066年、フランス北部のノルマンディ地方を治めていたノルマンディ公ウィリアムにイングランドが敗れたことによって、イングランドがフランス語を話すノルマン人に支配されることになりました。ノルマン朝が誕生します。
ノルマンディ公ウィリアムはフランス生まれの生粋のフランス語話者ですので、当然その部下達もフランス語を話します。そこで成立したのが、「支配階級がフランス語話者で、支配される人々が英語話者」という構造です。
このフランス語話者が支配し、英語話者が支配されるという社会的構造により「高貴な言葉はフランス語、下賤の言葉が英語」という2重構造が誕生しました。
例えば、動物を表す単語は、育てるときの単語と、食べるときの単語が英語では異なります。これは、「作るのは英語話者、食べるのはフランス語話者」だったからなのです。
①牛:Cow(英語起源)、牛肉:Beef(仏語起源)
②羊:Sheep(英語起源)、羊肉:Mutton(仏語起源)
③豚:Pig(英語起源)、豚肉:Pork(仏語起源)
※詳しくはこちら
英語とフランス語の単語が似ている例
続いて、英語とフランス語の単語が似ている例をご紹介します。
特にフランス語の語彙は、英語の「難度の高い単語」と似ています。
例えば、「始める」は「Begin」 と 「Commence」という単語が存在しますが、フランス語では”Commencer”で、英語では難しいとされる「Commence」も、フランス語勉強3日目には出てくる単語なのです。
他にも、英語辞書を引いてラテン語由来と書かれている単語は高確率でフランス語にも似た単語が存在するので、英語の単語が分かればフランス語の単語が分かる可能性が高く、反対にフランス語で学んだ初級単語が英語の難しい単語だったということもあります。
発音-英語とフランス語で大きく異なる
語彙の部分では似ている単語が多い英語とフランス語ですが、発音は似ていません。英語の発音は特徴的で、母音(a,e,i,o,u)を様々な形で発音します。そのパターンは正確には決められておらず、たくさんの例外が存在するのが英語の発音です。
フランス語の母音はa, i, ou, eu, eu, é, è, o, o, u, an, in, onの13個あります。同じつづりでも、口の形の違いによって違う母音として扱われるなど、発音が日本人にとっては難しいのですが、英語と違い例外がありません。一度ルールを覚えてしまえば、発音の面で迷うことは無いといえます。
また、フランス語には鼻母音があったり、Rの音を日本語の「は行」のような音で発音したりと、発音面では、英語とフランス語は大きく異なっています。
文法-英語とフランス語は従兄弟くらい似ている
語順は英語もフランス語も同じSVOが基本。
スペイン語などの言語とは異なり、どちらも主語の省略が出来ません。その点で英語とフランス語は似ているといえます。
一方で、フランス語は動詞の活用が多いので、活用を覚えるのは英語よりも大変です。
活用と言うのは、英語で言う「三単現のs」のこと。
例えば、英語の「走る」という単語の活用とフランス語の動詞の活用は次の通りです。
英語:I run. You run. He/She runs. We run. You run. They run.
仏語:Je cours. Tu cours. Il court. Nous courons Vous courez. Ils courent.
英語では三単現のsがつく以外は同じ「run」という形のままですが、フランス語では、主語ごとに活用が変わり、それが過去形、現在形、未来系など全てで変わるため、1単語につき何個も活用を覚える必要があります。
一方で、フランス語後は英語のような例外が多い言語ではないため、1度覚えれば基本的にその文法を使用していれば必ず通じます。その点で学びやすい言語であるといえます。
英語の場合、文法の基本を覚えてからたくさんの構文を覚えることが必要になるため、その点でフランス語よりも複雑な言語であるといえます。
※英語の文法の難しさはこちら
文字-フランス語はアクセント記号がある
アルファベットは英語と同じで、アクセントがついた文字があるのが違いです。
例えば、「セディーユ」はcの下に印がついた文字「ç」で、「サ行」の発音表記のときに使用します。
「元気?」という意味のサ・ヴァ?(ça va?)などに使う文字です。
他にも、フランス語には「アクサン・テギュ」、「 アクサン・グラーヴ」、「 アクサン・シルコンフレックス」などのアクセント記号があり、記号ごとに発音が変わったりもします。
セディーユ:ç・Ç
アクサン・テギュ:é・É
アクサン・グラーヴ:è・È、à・À、ù・Ù
アクサン・シルコンフレックス:â・Â、ê・Ê、î・Î、ô・Ô、û・Û
英語とフランス語はどちらが難しい?
英語とフランス語、似ているところもあれば似ていないところもあることが分かりましたが、それではフランス語はどのくらい難しいのかを考えてみたいと思います。
難易度の比較としては次の通りです。(難易度はCが簡単、Aが難しい)
英語
発音-A、文法-C、語彙-A、やりこみ度-A
英語って実は難しい言語。発音、語彙は間違いなくA難度の難しさです。
一方で分法は五文型(SV,SVO,SVC,SVOO,SVOC)を理解すれば良いので簡単なのですが、そこにやりこみ要素が詰まっています。
英語は例外でできている言語。文法を覚えても例外や構文が多く、難易度がものすごく高いのが特徴です。
※英語の速読練習法はこちら
フランス語
発音-A、文法-B、語彙-B、やりこみ度-B
発音は英語同様日本人には発音しづらい言語で難易度はA。
また、文法も、前述の通り動詞の活用を覚えたり、単語や形容詞に性があったりと、覚えるのが大変。文法を全て覚えるのに労力を要します。
語彙は英語と異なり種類がそこまで多くないため難易度はB、やりこみ度も深く突き詰めることは可能ですが、英語ほど例外が無いためB。
※フランス語のおすすめ教材はこちら
※フランス語おすすめ入門書はこちら
英語は極めるときりが無く, フランス語はスタートが難しい
英語は発音が苦労するのと、例外を覚え極めるためにはものすごく時間がかかる言語です。ですから、英語の上達にはマラソンのような持久力が必要です。
フランス語は文法を覚えるのが大変なのですが、一度覚えればあとは慣れるだけ。どちらかと言うと短距離走のように一気に覚えるというのがおすすめです。
また、どちらの言語も参考書や資格試験などが充実しているため、勉強するための道具を揃えることは他の言語ほど難しくないというのも良い所。
「やってみたい」と思ったときに直ぐに勉強を始めることができます。
※英語を話せるようになる練習方法はこちら
終わりに
この記事では「英語とフランス語が似ているか」についてご紹介しました。
英語とフランス語の似ているところは、語彙や語順、使用される文字(アルファベット)、似ていないのは発音や文法だということが分かりました。
また、英語は例外が多く、極めるのが大変なのですが、フランス語は最初に一生懸命勉強するとあとは文法の応用編となるため、その点でゴールを目指しやすい言語かなと思います。
そんなフランス語ですが、興味を持たれた方は是非一度フランス語の世界に触れてみてください。
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※フランス語とポルトガル語の比較はこちら