すみくにぼちぼち日記

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英語は簡単な言葉?難しい言語?-ラテン系言語との比較に英語の難解さを見る

昨今、英語は世界言語として広く世界で使用されていますが、日本人にとっては英語を話せるようになるのはとても大変なこと。メデイアやネットでは日本人の多くが英語を話すことができない理由について多くの議論がなされています。

今回は日本人が英語を話すことができない理由について、「実は日本人に問題があるのではなく、英語の難解さが問題ある」という仮説を立て、その英語の難解さについてラテン系言語の(ロマンス諸語)例を比較対象として考えてみたいと思います。

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英語は簡単な言葉?難しい言語?-ラテン系言語との比較に英語の難解さを見る

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英語は中学生から学び始める外国語で、日本の学校では国語について一番長く勉強する言葉です。

一方で、メディアなどでは「日本人は英語ができない」と言ったフレーズをよく目にするほど、日本人にとっては学びづらい言語でもあります。

ですが、英語ができないと言うことは、本当に日本人が原因なのでしょうか。

この記事では、英語はそもそも難しい言語だと言うことを、ヨーロッパ言語の代表格である、ラテン系言語との比較で考えていきたいと思います。

 

文法:単純明快英文法 / 記憶の滝ロマンス諸語

英語を文法でみると、実は単純明快で、覚えることが少ない言葉です。一方、ロマンス諸語の文法は特に動詞の使い方という面で複雑。つまり、単純な文法面を見ると「英語は比較的簡単な言語」と考えることができます。

 

英語の文法は比較的簡単

中高で英語の文法の授業が沢山有り、構文や熟語を山のように覚えるのですが、実は英語の文法の根幹の部分はとても簡単です。ルールとしてあるのは、「主語・動詞・目的語の順で文を組み立てること」だけ。SVOという名前で学校でも習うあの文法が全ての基礎となっています。

名詞や形容詞、冠詞に性別はありませんし、複雑な動詞の変化もありません。動詞の変化としては三単現のSとBe動詞の変化、過去形などがありますが、それでも覚えることは限られています。

英語の文法で気をつけなければならない点は、語順が自由でないこと。日本語やスペイン語ポルトガル語などに比べると文の組み立て時に制約が多いのが英語です。例えば、I play tennis を Play I TennisやTennis play Iにはできません。疑問文でも必ずDo you play tennnis? となります。

 

男性女性、動詞の活用、ロマンス諸語

ロマンス諸語は文法で覚えることが沢山。まず名詞、形容詞、冠詞に性別があるため、単語の性別を覚えなければなりません。例えば、スペイン語では車は男性系、自転車は女性系。名詞の性に合わせて形容詞と冠詞もそれぞれ性を変えます。

動詞はスペイン語では現在形に6つの形があります。例えば「話す」という単語はHablarというものですが、次のように変化します。

私は話す=Hablo、君は話す=Hablas、彼は話す=Habla、私達は話す=Hablamos、君達は話す=Habláis、彼らは話す=Hablan。

さらに、この活用は直説法(事実の叙述)と接続法(想像などを叙述)で分けられ、それぞれに現在形、過去形などがあり、1単語につき50個の活用を覚えなければなりません。この点に関して、フランス語はかなり簡略化されていますが、ポルトガル語スペイン語よりも複雑な活用を覚える必要があります。

一方で語順に関しては、スペイン語ポルトガル語ともにかなり自由でその点で日本語と似ています。テニスの例では、Juego al tennis yoやYo juego al tennis、Juego yo al tennis など、「yo(私)」を何処に入れてもいいですし、言いたくなければ言わなくてもいいです。フランス語に関しては英語同様語順が厳しいですが、前述の活用については簡略化されており、スペイン語ポルトガルほどの複雑さはありません。

 

※ロマンス諸語の記事はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

発音:例外だらけの英語 / 規則正しいロマンス諸語

英語の発音というのは例外だらけです。一方でロマンス諸語は規則がわかってしまうと発音しやすい言語。例外的な発音が殆どありません。

 

英語の発音の基礎フォニックス

フォニックスと呼ばれる、アルファベットの音を表すことのできる技法が注目されているのですが、このフォニックス、単語を読むときに非常に役に立つちます。

例えばAは「えー」という名前を持っていますが、フォニックスでは「あ」という音が当てはめられています。同様にBは「ぶ」、Cは「く・す」、Dは「どぅ」です。Dogだと、Dのフォニックスが「どぅ」、Oが「お」、Gが「ぐ・じゅ」ですので、「どぅおぐ」で「ドッグ」と読むことができます。

 

フォニックスにも限界が

一方で、英語の難しいところはフォニックスを持ってしても読めない単語が多くあるところ。Saleは「せーよー(英語っぽく発音するとせーるではなくせーよー)」ですが、先ほどのフォニックスの決まりによるとS「す・ず」、A「あ」、L「る」、E「え」なので、ルールに従うと「され」と発音されて然るべき。それにも関わらず、字面からは想像できないような「せーよー」という発音になるという、不思議な言語なのです。

 

ロマンス諸語は規則正しい

ロマンス諸語の中で取り分け発音が難しいと言われるのがフランス語。スペル通りに読めないというのも難しいと言われる所以なのですが、実はフランス語の読み方は非常に規則正しく、ルールを理解すれば問題なく読むことができます。

例えば、eu・aeuは「お」、ai・eiで「え」、ouは「う」。他にも語末の子音は特定な音を除いて発音しない、語末の子音が次の語頭の母音と音がくっつくなど、細かいルールが沢山あり覚えるのが大変ですが、一度覚えると殆ど例外と出会うことはありません

スペイン語ポルトガル語も同様で、読み方を覚えなければならないものはありますが、一度ルールが頭に入ると、間違えることなく発音ができます(発音のしにくさという問題はあります)。

 

語彙:英語は類義語の海 / ロマンス諸語は独立系

単語・熟語の面でも英語は多くの類義語が存在する言語。一方でロマンス諸語は1つの良く使用する語彙を覚えれば類義語は殆ど会話に登場しません。同じことを話すのでも沢山の語彙が必要とされる英語は語彙の面でも難しい言語だと言えます。

 

スペイン語と英語の比較記事はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

英語の単語面での類義語の多さ

単語面でみると英語は類義語が多いです。正確な数は分かりませんが、例えば、「買う」は「Buy」と「Purchase」があったり、好きも「Like」と「be fond of」があるなど、例を挙げると枚挙に暇がありません。話しているときの実感としても英語はスペイン語ポルトガル語よりも類義語が多いと感じますし、ライティングなどでは同じ意味を表す単語でも極力異なる単語を使用するように指導されます。

学生時代を振り返ってみると、単語帳などで同じような意味の言葉を沢山覚えた記憶がある方も多いはず。一方であんなに単語を覚えたのにも関わらず、外国人と会話すると次から次へと知らない語彙が出てきて自信を喪失してしまうことも多々あります。

 

※英語の語彙に関する記事はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

英語は熟語も多い

 英語は熟語も多いです。熟語とは、単語をつなぎ合わせることで別の意味になる単語の組み合わせのことですが、この熟語に関しても英語は莫大な数の組み合わせがあります。

 

※熟語に関する例はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

ロマンス諸語は単語ベース

英語とは対照的に、ロマンス諸語の場合、基礎的な単語を覚えてしまえば、会話の中で類義語が多発して分からないということはありません。単語を覚えれば覚えた分だけ会話能力が向上します。また、英語では熟語として覚えなければならない言葉も殆ど全てを単体の単語が代用してくれます。例えば「起きる」は英語ではGet upですが、スペイン語では「Levantarse」といい、その点で日本語と同じ感覚で文章を組み立てることができます。

英語が何故熟語が多いかと言うと、その理由は冒頭に述べた文法の単純さが原因。文法が単純な分だけ、何かを表現する際に表現しきれない部分が出てきますので、その分を豊富な語彙や熟語を使用して補っているのです。一方でロマンス諸語は文法が複雑なため、文法を理解するのは難しいですが、一度覚えてしまえば後はそのルールに則って単語を当てはめていくだけで表現ができます。

 

終わりに

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今回は「英語は実は難しい言語だ」というテーマについて、文法面、発音面、語彙面に関するラテン系諸語との比較を用いて考えてみました。

よく「日本人は英語ができない」などといわれることがあり、それを聞くと「英語は単純で簡単な言語なのに日本人ができないのはおかしい」というニュアンスで感じとってしまいます。

ですが、実は英語と言うのは元来複雑で難しい言語です。

ですから、英語が難しいと思うことは決して恥ずかしいことではなく、「英語ができなくても、難しいんだから当然」という気持ちで、間違いを恐れずに英語を楽しんで勉強できたらいいなと思います。

 

※英語を話せるようになるための練習法はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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