物が回転運動をするときに1秒間に何rad進むのかを表した「回転の速さ」を角周波数と呼びます。
角周波数の公式は「ω=2πf」ですが、この「ω=2πf」を暗記せよ、といわれても中々覚えられないという方も多いのではないでしょうか。
この記事ではそんな角周波数を計算する求め方について、公式と公式の意味を図や簡単な例を用いながらご紹介します。
- 角周波数ωの求め方と角速度との違いを解説-角周波数を周波数f(Hz)とラジアン[rad]から計算する公式 ω=2πfの意味とは
- 角周波数の公式(求め方)-角周波数は回転の速さ
- 周波数とは-1秒間の波の数を表すHz
- 弧度法ラジアン[rad]とは
- 角周波数の求め方(公式)ω=2πfの意味
- 角周波数と角速度の違いとは
- 自宅学習ならスタディサプリがおすすめ
- 終わりに
角周波数ωの求め方と角速度との違いを解説-角周波数を周波数f(Hz)とラジアン[rad]から計算する公式 ω=2πfの意味とは
物が回転するときの回転の速さを角周波数と呼びます。単位はラジアン毎秒[rad/s]。
計算方法(公式)はω=2πfで、ωは角周波数、f は周波数、2πは弧度法で度数法の360度を表します。
一見、角周波数という名前が難しそうに見えるのですが、周波数、ラジアンの意味を一つ一つ見ていくことで、納得してこの公式を覚えることができます。
それでは早速、周波数、ラジアンの意味を確認し、角周波数の公式の意味を考えていきたいと思います。
また、最後には角周波数と角速度の違いについてもご紹介します。
角周波数の公式(求め方)-角周波数は回転の速さ
角周波数は簡単に言えば回転運動をするときに、1秒間に何度(rad)進むのかを表す言葉です。つまり回転の速さを表しています。角周波数の単位は[rad/s](ラジアン毎秒)です。
公式:ω=2πf(角周波数=2π[rad]x周波数)
※ω-角周波数、2π-ラジアン[rad]、f-周波数
これからこの公式の意味を考えていきたいと思います。
周波数とは-1秒間の波の数を表すHz
角周波数を理解していくために、先ずは周波数について確認していきたいと思います。
周波数とは、1秒間にできる波の数を表す言葉です。周波数という漢字をよく見ると「波の数」を表しているのだと分かります。
周波数を表す記号は「f」でfrequencyという英語の頭文字です。単位は[Hz(ヘルツ)]を使用します。
例えば、f=60Hzだと、1秒間に60個の波ができ、50Hzだと、50個の波ができます。波というのは下の図のようなもので、このマイナスとプラスを行ったり来たりしている線が1秒間に何個あるのかを示すのが周波数です。
例えばこの図が1秒間の波を表しているとすると、-と+を何回行き来しているのか、つまり山と谷が何セットできているのかを数える(山の頂点を数える)ので、周波数は6Hzとなります。
※周波数についての詳しい説明はこちら
回転運動における周波数と回転数の関係
続いて回転運動をしている場合の周波数を考えてみます。
上の図では、波は左から右へ流れていく図になっているのですが、円の場合、上と下の+と-を行ったり来たりすることとなり、+-+という円運動となります。
つまり、上の図では1秒間にできる山の数が周波数でしたが、回転運動の場合、1秒間に回転する回転数が周波数となるのです。
例えば、60Hzの場合、1秒間に60回転するので、1分間の回転数は
60回x60秒=3600RPM
となります。
尚、回転数の単位はRPM(Revolucion per minunte)を使用します。
※回転数と周波数の関係についてはこちら
弧度法ラジアン[rad]とは
角周波数を理解するためにもう一つ知っておきたいことが弧度法ラジアンについてです。
ラジアンとは弧度法で表した角度の単位のこと。
角度は度数法では○○度と表しますが、弧度法では△△radという単位で表します。
一般的に私たちは角度を表すときに180度や360度といった単位を使用します。これは円を360個に割って求めた角度を1とした単位です。
一方でラジアンの定義は、「角度の国際単位。記号は「rad」。1radは1つの円で半径に等しい長さの弧に対する中心角の大きさ。」です。
つまり、
弧の長さを円の半径で割ったときに算出できる数値=角度(ラジアン)
と言い換えることができ、ラジアン下記のように求めることができます。
rad=弧の長さ÷円の半径
このラジアンですが、実は度数法の角度に変換することも可能。弧度法と度数法の換算方法は、下記の通りです。
1π[rad]=180度(π[rad]=180度)
2π[rad]=360度
つまり、radに180度をかければ、弧度法から度数法へ変換することができます。
※ラジアンについての詳しい解説はこちら
角周波数の求め方(公式)ω=2πfの意味
さて、ここまで周波数についてと弧度法ラジアンについてご紹介してきました。ここから本題の角周波数の公式の意味を考えたいと思います。
角周波数を求める公式は、ω=2πfでした。単位はラジアン毎秒[rad/s]。
日本語で書くと、角周波数=2π[rad]x周波数です。
角周波数は1秒間に何rad進むのかという回転の速さを表す言葉でした。
例えば、1秒間に1回転する場合、その回転の速さは360度=2π[rad]/秒です。
1秒間に0.1回転する場合は、回転の速さは0.1x360度(2π[rad])で秒速36度(0.2π[rad/s])となります。
では、1秒間に何回転するのかをどうやって知ればよいのか。その答えが周波数なのです。
周波数は、1秒間に何回転するのかを表す言葉でした。つまり、1Hzは1秒間に1回転することを表します。
したがって、周波数が1Hzの時は、物は1回転するので、角周波数ωは1Hzx2π[rad]、周波数が0.1Hzの時はω=0.1Hzx0.2π[rad]となるのです。
これを公式にして表したのが
ω=2πf(角周波数=2π[rad]x周波数)だということができます。
角周波数と角速度の違いとは
角周波数が回転の早さを表し、ω=2πf[rad/s]という公式で計算できることがわかりましたが、同じく回転のスピードを表す概念として、角速度と言うものがあります。
この角周波数と角速度は物理学の視点で考えると、角周波数はスカラー量(速さ)、角速度はベクトル量(速度)という違いがありますが、
一般的には「角周波数=角速度」と覚えておけばOKです。
角周波数の求め方はω=2πf[rad/s]でしたが、角速度の求め方はω=θ / t [rad/s]で求めることができます。
角周波数は1秒間の回転数(周波数)から何ラジアン進むのかを求めましたが、角速度は進む角度を秒で割って求めます。つまり、1秒間に何ラジアン進んでいるのか求めます。
例えば、5秒間に2π[rad]進むのであれば、1秒間に進む角度はω=2π/5[rad/s]という式となり、角速度は2/5π[rad/s]となります。
ここで、本当に「角周波数=角速度」となるかを周波数5Hzの場合で確認してみましょう。
まず、周波数5Hzの場合の角周波数は、ω=2πx5=10π[rad/s]です。
続いて角速度を計算します。
5Hzというのは、1秒間に5回回転することですので、5回転したときの角度は
2π(360度)x5=10π[rad]です。
つまり1秒間に10π[rad]進みます。これを角速度の公式ω=θ/tに代入すると、
ω=10π[rad]/1s=10π[rad/s]となりました。つまり角速度は10π[rad/s]。
先ほどの角周波数の計算でも角周波数は10π[rad/s]となっていたので、
角周波数=角速度が成り立つことが分かりました。
※角速度の求め方についてはこちら
角周波数はスカラー量,角速度はベクトル量
最後に、角周波数はスカラー量、角速度はベクトル量と書きましたが、その意味をご紹介したいと思います。
まず、スカラー量と言うのは「大きさだけを表す量」を指します。例えば長さ、速さ、温度などです。
ベクトル量は「大きさと方向を持つ量」のことです。例えば力、速度、運動量などが代表例です。
角周波数はスカラー量ですので「早さ」を表す単位です。一方で角速度はベクトル量で「速度」を表す単位です。
例えば、1時間に5km進むときの速さは、時速5kmという数値で表すことができます。一方で、「速度」は方向があり、0地点から5キロ先のB地点まで行くときの位置Bを時間で割った数値です。
この速度はAからBへ進んだ場合の速度であって、Aから反対方向に進んだ場合、速度計算ではBと反対方向へ進むことになるので、-5km/hとなります。
一方で速さという場合には、単純に5km進むときのスピードなので、どの方向に向かったとしても速さは5km/hで変わりません。
このように、厳密に速さと速度を使い分けるとしたら、角周波数は回転するときの速さを、角速度は回転するときの速度を表していると言うことができます。
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終わりに
この記事では、角周波数を求める公式であるω=2πfの意味を図や例を用いて解説しました。
角周波数は1秒間に何ラジアン進むのかと言う、回転の速さを表す言葉です。
角周波数は、1秒間の回転数である周波数に1回転分の角度2π[rad]をかけることで求めることができます。
また、回転の速度を表す角速度と回転の速さを表す角周波数は物理学の世界では厳密に区別されるのですが、一般的には角速度=角周波数と言うことができます。
周波数が分かれば角速度を簡単に求めることができますので、是非角周波数の公式ω=2πfを使って角周波数を計算してみてください。
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