力のモーメントは、物が回転する場合の力について考える単元です。
この記事では、力のモーメントをご紹介します。
力のモーメントとは? -単位, つりあい, 向き, 重心などの紹介
力のモーメントとは、回転を生む作用のこと。つまり物を回転させる力です。
物の運動には、並進運動という横方向や縦方向に移動する運動と、その場にとどまりながらも物が円形に移動する回転運動があります。上の図の上の運動が並進運動、下の運動が回転運動です。
左右上下に動かないという力のつり合いがある場合、物はその場にとどまることになりますが、力のかけ方によっては物がその場で回転することがあります。
力のモーメントはこの回転運動も含めて力について考えていくというものです。
※力のつり合いについての記事はこちら
回転運動と力のモーメント
物が回転する場合、回転を生む原因となる作用を力のモーメントと呼びます。
力のモーメントをMとすると、Mを求める公式は、
M=Fd
力のモーメント=力の大きさ×腕の長さ
となります。
では、このM=Fdというのはどのような式なのでしょうか。
支点と作用線
力のモーメントの求め方はM=Fdでした。
この式のdは、腕の長さなのですが、腕の長さというのは、支点から作用線に下ろした垂線の長さのことです。
作用線とは、物体にかかる力の方向を向く作用点を通る線のこと。上の図では、外力Fの力の方向を向いて作用点を通っている青いラインが作用線です。
この作用線に向けて支点Oからおろした垂線の長さが腕の長さdです。
この垂線の長さdと外力の大きさFを掛けて出てくる値が力のモーメントで、先にご紹介した、
M=Fd
という公式というわけです。
ですので、力のモーメントMを求めるためには、
①力の作用線を図示する
②支点から作用線に垂線を引く(腕の長さd)
③力の大きさFと腕の長さdを掛ける
という流れが大切です。
回転のイメージ
実際に値を求める場合に、回転のイメージを作りながら解いていくことが大切です。
例えば、上の図は、長さLの棒を点Oを支点としてFの方向に力を加えた図となります。
この場合、この棒の回転方向を考えると、力を掛けた時に左方向に棒が回転するのが感覚的に分かるかなと思います。
点Oの周りの力のモーメントを考える場合、作用線は水色の線、腕の長さdは支点Oから水色の作用線に下した垂線の長さです。dの長さはLsinθとなるため、
M=F・Lsinθ
で求めることができます。
重心
重心は、物をその一点で支えようとしたときにバランスをとることができる点のことを指します。
言い換えると、ものにかかる重力を一点で受ける場合に重力の集まる場所のこと。
重心を支えた場合、そのものは回転することもなく力のつり合いをとることが可能です。
一方で、重心からずれた位置を支えてしまと、その重心の方向に回転が生まれることとなります。
例えば上の絵では、物の密度の差などによって、重力のかかり方が物体の左端と右端では大きく異なっています。
この場合の重心が右から3つ目の矢印の部分だとすると、この矢印の部分を支えることでバランスがとれる半反面、その点よりも左側を支えると、右方向に回転してしまうことがイメージできるかなと思います。
重心は物体によって異なるため、「一様な〇〇」という表現がない限り、重心の位置は異なるので注意が必要です。
重心の問題の例
上の図のように、点Dに糸をつけて吊るした棒に、点Dから3ℓ の位置に2mの質量の物体を括り付けたとします。
このままでは棒がDを支点として左向ℓきに回転してしまうため、点Dの右側に3mの重りを吊るしてバランスを取りたい場合、どこに吊るせばよいのか、ということを考えていきます。
この場合、点Dから左側に発生する力のモーメントは、2mg(質量に重力加速度を掛けると重さになる)に3ℓを掛けた値です。
なので、2mg×3ℓが点Dを支点に物体を左向きに回転させようとする力です。
左側の力のモーメントが2mg×3ℓということで、この力のモーメントに右側の力のモーメントがつり合わなければならないので下の式が成り立ち、
2mg×3ℓ=2mg×x
ここからxを求めると、
x=2ℓ
となります。
つまり、点Dから右側の2ℓの位置に3mgの重りをぶら下げることでつり合いがとれるということです。
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この記事では、物理の力のモーメントについてご紹介しました。
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終わりに
この記事では、力のモーメントについて、公式の意味と重心をご紹介しました。
力のモーメントは、物が回転する時に加わる力について考える単元です。力のモーメントの公式は、下記の通り。
M=Fd
M:力のモーメント F:力の大きさ d:腕の長さ
力のモーメントと重心を考えるときにはしっかりと力の図示を行うことが大切ですので、力の図示をしながら、問題を解くことを意識なさってみてください。
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