すみくにぼちぼち日記

メキシコ生活や欧米旅行記、語学、大学、美術館について

金属切削加工の本 おすすめ3選-切削と切断を本で学ぶ

金属切削では様々な工具が使用され、加工によって条件なども異なります。

この記事では、切削加工を学びたいと思ったときにおすすめな本をご紹介します。

 

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切削加工の本 おすすめ3選-切削と切断を本で学ぶ

切削加工を学ぶ時は、切削の基礎の本、切削の応用編の本、そして工作機械という3つの本で学ぶのがベストです。

切削について初めて触れるという場合から学びやすいのが『元素から見た 鉄鋼材料と切削の基礎知識』という本。

ディテールが知りたいときには『切削加工の基本知識』、工作機械を学ぶなら『トコトンやさしい 工作機械の本』がおすすめです。

 

『元素から見た 鉄鋼材料と切削の基礎知識』

 

はじめにご紹介するのが、『元素から見た 鉄鋼材料と切削の基礎知識』という本。

この本は、切削とはどの様なものなのかということが書かれた基礎的な知識から、鋼材ごとの切削条件といった詳しい内容までを網羅しています。

理論から応用までを1冊で学ぶ事ができる本です。

カラーで図解が多いので、視覚的に切削を理解することができるのもおすすめポイント。

私自身、初めて切削に関わった際にこちらの本で勉強し、とても役に立ちました。

初めてから応用までずっと使える本です。

 

『切削加工の基本知識』

切削加工の基本知識

切削加工の基本知識

Amazon

 

『切削加工の基本知識』は、先にご紹介した

『元素から見た 鉄鋼材料と切削の基礎知識』のサブとしておすすめ。

内容は、切削の基礎から理論まで書かれていますが、図解はそこまで多くなく、基礎知識を持っていた方が理解しやすい内容となっています。

『元素から見た 鉄鋼材料と切削の基礎知識』で先に勉強して、補完したい知識をこちらで学んでいくイメージです。

 

『トコトンやさしい 工作機械の本』

 

『トコトンやさしい 工作機械の本』は、切削する工具を取り付ける工作機械を学べる本。

切削では直接ワークに触れる工具が特に重要となりますが、工具を取り付ける工作機械がなければ工具を使用することはできません。

工作機械の種類から働きまで、基礎を学ぶことで、切削加工をより深く理解していくことができます。

機械を学ぶのであれば『トコトンやさしい 工作機械の本』がおすすめ。

図解も多く、易しい解説で工作機械とは何かということを学んでいくことができます。

 

終わりに

この記事では、切削加工を学びたいと思ったときにおすすめな本を3冊ご紹介しました。

『元素から見た 鉄鋼材料と切削の基礎知識』は切削の基礎から応用まで視覚的に学べる本。切削を学びたいときには一番おすすめな本です。

『切削加工の基本知識』は、『元素から見た 鉄鋼材料と切削の基礎知識』で賄いきれない知識を補完することができます。

工具にプラスして機械のことを学んでいく際には『トコトンやさしい 工作機械の本』がわかりやすくておすすめです。

この3冊は切削を学んでみたいという場合にとても役立つ本ですので是非一度この3冊を使って切削について勉強なさってみてください。

 

※旋削の基礎知識はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※フライスの基礎知識はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

 

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経営学の本 おすすめ3選-経営学修士で出会った分かり易くて面白かった本とは

社会人として働いていると興味が出てくる経営学。

様々な専門書や実用書がある経営系の分野ですが、どの本を読めばよいのか迷ってしまうということがあります。

この記事では、社会人大学院生として修士課程に通っていたときに特に面白いと感じた経営系の本を3冊ご紹介します。

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経営学の本 おすすめ3選-経営学修士で出会った分かり易くて面白かった本とは

経営学を学ぶための本として、経営の理論系の本、経営学の応用編の本、そして実用書という3つのタイプの本があります。

読みやすいのは実用書なのですが、今回は「経営学」という学問として経営を学びたいと思ったときにおすすめな、経営理論の本と経営学の応用の本でおすすめな3冊の本をご紹介します。

 

『ゼミナール経営学入門』

はじめにご紹介するのが、『ゼミナール経営学入門』という本。

この本は、経営学とはどの様なものなのかということが書かれた経営理論を1冊で学ぶ事ができる本です。

内容は経営学の外観とそれぞれの理論の説明となっており、経営学を「環境のマネジメント」と「組織のマネジメント」という2つの軸で捉えて解説されています。

所謂テキストのような本で結構読み応えが有る分量なのですが、自分が気になる分野だけを集中的に学んだり、分かりにくいところの解説を読む「事典」のようにも使えるので、1冊持っていると便利。

私は大学院入試の時にこちらの本を使って一から経営学を勉強したのですが、経営学の基礎を網羅している本なのでとても役に立ちました。

初めて経営学に触れるという場合にもおすすめな本です。

 

『ブラックスワンの経営学』

『ブラックスワンの経営学』は、経営学という学問を「ケーススタディ」という、実例を用いた検証方法で解読していく本。

内容は、通説を覆して生まれたイノベーションの事例を検証し、通念や固定観念を崩す結果となった理由と原因を紐解いていくという本。

先にご紹介した『ゼミナール経営学入門』のような、一般的な理論とは別の行動を起こした結果、思いがけないイノベーションや大きな変化が生まれるという例を色々知ることができて、とても面白い本です。

事例の検証は、所謂学術的な検証方法で検証していくため、実用書のような分かりやすさはないのですが、学問として、「ありえないこと」がありえた理由や論理を検証していく過程というのも読み応えがあるかなと思います。

 

『イノベーションのジレンマ』

『イノベーションのジレンマ』は、時にメーカーにおいて、現在の時点で大きなシェアをとっている製品が、「破壊的イノベーション」と呼ばれる技術革新によって一掃されてしまう、その変化と原則を解説する本。

メーカーに拠って生み出される製品は、新商品の時はほぼ認知度もないのですが、地道なマーケティングに拠って市場に受け入れられると、その技術をより良い方向へ改善していく「持続的イノベーション」を起こしていきます。

これによって製品性能が上がったり、使いやすくなったりして、消費者に加速度的に浸透していくのですが、「破壊的イノベーション」を遂げた製品が登場することで、従来の製品があっという間に市場から締め出されてしまうのです。

例えば、フィルムカメラとデジカメ、携帯電話とスマートフォン、カセットとMDとCD、などがその良い例かなと思います。

大企業では破壊的イノベーションが起こりづらく、顧客満足度を追及した安定した技術革新を行っている間にベンチャー企業などが破壊的イノベーションを起こし、大企業が衰退していく、という一連の流れは、現在でも良く見る光景。

大企業だったとしても、常に破壊的イノベーションに目を向けながら、企業活動を進めていかないと、栄枯盛衰の連鎖の中に巻き込まれてしまうのかなと思います。

 

スタディングで中小企業診断士試験を勉強

経営学の勉強の総仕上げとして、「スタディング」というアプリで中小企業診断士の試験勉強をするのもおすすめ。

実際に資格を取得しなくても、勉強するだけで経営学をしっかりと身に着けていくことができます。

私も「スタディング」で資格の勉強をしていました。

スタディングは、ネット環境さえあればどこでも勉強ができるので、忙しいという場合にも適していると感じています。

私の場合は中小企業診断士の講座を受講しましたが、他にもいろいろな国家資格の勉強ができるのも良い点。

普段生活していると自分の歩みが止まっているかのように感じることもあるので、その中で少しずつでも成長を感じられる資格の勉強をすることで、モチベーションの維持にもつながるのもおすすめポイントです。

 

※オンライン資格講座の紹介はこちら

classroom.hatenablog.com

 

終わりに

この記事では、経営学を学びたいと思ったときにおすすめな本を3冊ご後紹介しました。

『ゼミナール経営学入門』は経営学の外観と基礎を学ぶ事ができ、『ブラックスワンの経営学』は通説を覆す事例研究を、『イノベーションのジレンマ』は企業の栄枯盛衰の起点となる出来事や一連の流れを良く知ることができます。

この3冊は経営学を学んでみたいという場合にとても役立つ本ですのでおすすめです。

 

※ヨーロッパ史を学ぶのにおすすめな本はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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ドラえもん のび太の新恐竜の感想-新恐竜はつまらない?面白い?

先日飛行機で『ドラえもんのび太の新恐竜』を見ました。2019年に公開された月面探査記がとてもいい作品だったので、こちらも期待したのですが、残念ながら期待はずれ、言ってしまえば稀に見る駄作だったと感じてしまいました。

ストーリー自体は面白いなと思ったのですが、その他の部分で疑問に思ったことや残念に感じたことが多くあったのでご紹介します。

※この記事は冒頭からネタバレ及び否定的な感想を含むので、未だ見ていない、否定的な感想は見たくないという場合はご注意ください

 

ドラえもん のび太の新恐竜の感想-新恐竜はつまらない?面白い?

新恐竜の内容は、1980年に公開された『のび太の恐竜』と1987年に公開された『竜の騎士』をミックスした内容で、のび太が発見した恐竜の卵から生まれた恐竜「キュー」と「ミュー」を白亜紀に帰すためにタイムマシンで白亜紀に行き、そこで巨大隕石の衝突に出くわす、という物語です。

今回登場した恐竜「キュー」と「ミュー」はどちらものび太の恐竜に登場する「ぴー助」の種「フタバスズキリュウ」とは異なっており、新種の恐竜として扱われ、この新種の恐竜の存在が物語の鍵ともなっています。

先に書いたように、私としてはこの映画は駄作だったと思うのですが、ここからは、何故新恐竜が面白くなかったのかをご紹介します。

 

物語がちぐはぐ

まず、一番よくなかったなと思うところが、物語に一貫性がなく、整合性が取れていないというところ。

ドラえもんの映画は常々子どもをターゲットにしているけど、新しい学びや発見があって、時には難しい非情さもあって、話が一貫している、大人の物語でもあります。

新恐竜は、あからさまに笑いや涙を誘ってくる描写が多く、また、物語に一貫性もなく、残念ながら、つぎはぎだらけの物語だと思いました。

 

序盤のタマゴの発見から孵化まで

例えば、物語の序盤でのび太が恐竜博物館でタマゴの化石らしきものを発見(偶然躓いて発見)して、タイムふろしきでタマゴを孵すシーンがあります。

タイムふろしきは物の時間を遡らせたり逆に早送りしたりする道具なはずなのに、何故か孵らなくて化石化したタマゴが、タイムふろしきで時間を巻き戻しただけで孵化してしまいました。これはタイムふろしきの機能から考えてもありえない現象です。

のび太の恐竜では、のび太が自分で発掘調査をして見つけた化石をタイムふろしきでタマゴに戻して、何日も温めて孵化させるという描写だったのに、新恐竜では序盤から残念な感じを覚えてしまいました。

タイムふろしきで時間を巻き戻しただけで孵化するのであれば、のび太の頑張りも無かったことになり、また、そのタマゴが孵化せずに化石化したという事実が破綻してしまいます。

また、序盤はキャラクター設定などを決める大切な土台の部分なのに、のび太が棚から牡丹餅的にタマゴを発見し、苦労なくタマゴを孵化させて…この、のび太のキャラクター設定が、終盤以降の物語の展開に水を差してしまっているような気がしました。

 

過去に戻る理由が分からない

のび太の恐竜では、ぴー助を(裏山の?)池で育てるのですが、その時に体が大きくなりすぎて大騒ぎになるから、という、やむにやまれない理由で過去に旅立ちます。

新恐竜では、「飼育用ジオラマセット」という、箱庭のような道具をドラえもんが出してくれて、その中では生き物の大きさも変えることができて、天候も操ることができるという設定(終盤のキーとなる設定)なのですが、こんな道具があるならわざわざ白亜紀にキューやミューを帰しに行く必要がないのになという疑問が生まれました。

ドラえもんの映画では、のび太たちが冒険に出かけるまでのストーリー、「何故冒険にでかけるのか」という目的と理由に一貫性があるのが特徴なのに、過去に戻る理由が弱すぎて疑問を持ってしまいました。

例えば、『ドラビナンナイト』では、アラビアンナイトの世界に取り残されてしまったしずかちゃんを助けに行くために、現実世界からアラビアンナイトの世界に行く方法がないかを調査し、アラビアンナイトに登場する実在の人物「ハールンアッラシード王」が統治する794年のバグダッドに降り立ちます。

このように、その世界に目的を持っていく(偶発的に冒険に巻き込まれることもある)のであれば、その目的に向かった理由をもっと明確に示してほしいと思いました。飼育用ジオラマセットがあるのに、わざわざ歴史を変えるかもしれないリスクを背負ってキューとミューを白亜紀に帰す理由が疑問でした。

 

結末の部分に壮大な矛盾がある

新恐竜で感じた違和感でも最も致命的なことが、最後の結末の部分です。

結末は、キューとミューは鳥の祖先であり、迫りくる隕石衝突から彼らを助けないと歴史が変わってしまうので、のび太たちが隕石衝突からキューとミュー、そしてその仲間たちを助けだす、というものでした。

この設定自体は面白いなと思ったのですが、問題は他の恐竜も一緒に助けてしまったこと。

前述の飼育用ジオラマセット(天候を操れる)に恐竜を誘導して、その中で隕石衝突後の気候変動から恐竜を守るという発想なのですが、キューとミューの種が鳥の先祖だから、のび太たちが助けなければ鳥たちが生まれなくなってしまうので、助けなければならないというのはいいのですが、他の恐竜までもが一緒に助かってしまったら、未来の世界に影響を与える(恐竜が絶滅しない)こととなってしまいます。

大原則として、ドラえもんたちの行動が未来を変えてはいけないというものがあるのに、現実世界で鳥として進化する恐竜と一緒に、トリケラトプスやティラノサウルス、プテラノドンなどを助けてしまってもいいのでしょうか。

彼らが絶滅しなければ、今の世の中はないのに、この救出劇をタイムパトロールも傍観し、その後の設定も全く考えられていなくて、その場のお涙頂戴のために、のび太たちに恐竜を救出させるのはどうかなと思いました。

例えば、本当に、現実世界とは別物として、彼らを救出するのであれば良いと思います。『のび太の竜の騎士』では、同じように隕石の衝突から恐竜を助け出すために、「聖域」として、地下に恐竜を非難させ、その後恐竜が独自の進化を遂げ、地底に広大な竜の人間の世界を築きます。

その進化した地底人と出会うところが、物語の始まりの部分となっていていて、「現実があって、その現実のルーツを探るために、過去に行き、そこで起した行動によって現在の現実が作られていた」という整合性に繋がるのです。

ですが、新恐竜は、生き残るはずの無い恐竜と、生き残って鳥に進化する恐竜が一緒に救出されて、しかも地上の箱庭の中で(外界とも自由に出入りできる)生き延びるという展開となっています。

この救出劇によって、未来(ドラえもんたちが生きる世界)が大きく揺らいでしまったのではないかなと考えるのが普通になってしまう展開にもやもやを感じました。

 

スパルタ教育をするのび太

物語の展開に違和感を覚えたのと同時に、のび太のキャラクター設定もおかしいと思いました。

のび太は基本的に何もできない人間(射撃、あやとり、昼寝は超一流)として設定されるのですが、映画は彼の努力する姿や立ち向かう姿、成長する姿を見ることができる、絶好の機会です。

しかし、この映画ののび太は終盤まで、のび太の成長は感じられず。

棚から牡丹餅的な運によって恐竜を発見して、何の苦労も無く卵を孵化させて、鉄棒ができなくても直ぐに諦めて… 

残念ながら努力をした形跡が微塵も感じられませんでした。唯一つだけ努力を感じたのは、キューが病気になった時に看病した点くらい。

それなのに、キューが、ミューやその仲間のように飛べないからといって、無理やり飛ばせようと何度も何度もスパルタと根性で練習させて…

相手の痛みを分かるのがのび太の良い所なのに、何の考えもなしに「みんなができるから頑張ればできる」なんて…

もしかしたら、キューが飛べない変種なのかもしれない。最初にキューはミューに比べて尻尾が短くて飛べないって、のび太が気付いたのに、そういう理由を考えずにただただスパルタに何度も挑戦させて、キューは飛べないから地面に何度も何度もたたきつけられて。

例えみんなができていても、人によってはできないこともあるって一番分かってるはずののび太が、キューの気持ちも考えずに無理やり飛ばせようとするシーンは、なんというか、残念でなりませんでした。

映画の中で努力もしていないのび太が、キューに努力を強いる姿をみると、「何も努力していないのび太が言うなよ」って、のび太に思ってしまう自分がいて。のび太が好きなのに、好きなのび太は一向に姿を見せなくて、口だけののび太ばかり見せられた映画だったなと思ってしまいました。

 

オマージュが効果的でない

この作品では、過去作に対するオマージュを感じるシーンが多く出てくるのですが、残念ながら効果的ではありませんでした。

 

しずかちゃんのセリフ

しずかちゃんがのび太に向かって、『結婚前夜』でしずかちゃんのパパが言う「あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。それが一番人間にとって大事なことなんだからね。」

というセリフをしずかちゃんの言葉で言うシーンがあるのですが、しずかちゃんは、そういうのび太の良さを言葉で表すのではなくて、心で知っている存在なのになと思いました。

そしてそういうのび太が「好き」という。しずかちゃんののび太に対する好意というのは、そういう一言で軽々しく言えてしまうものではなくて、心の中で育まれるもの。

実際、小学5年生時点では、しずかは出来杉にも好意を持っているはずなので、この時点ではのび太に対する好意は明確にあるものではない、体の中にあるものだと思うのです。

さらに、このセリフの良さを台無しにしているのが、これまでののび太の行動です。前述の通り、この映画ののび太は自分のことは棚に上げて、キューにスパルタと根性で飛ぶことを強要する存在と成り下がってしまっているのですが、そんなのび太に対して、しずかちゃんが、「のび太は人の痛みが分かる」と言っても、残念ながら心に響きませんでした。

 

ぴー助の登場

もう一つのオマージュとして、のび太の恐竜にでてくる恐竜ぴー助が登場するのですが、この作品は、のび太の恐竜のパラレルワールドなのに、何でぴー助が登場するのかが疑問でした。

確かに、過去にも映画に過去作のキャラクターが登場したこともあります。

例えば、『雲の王国』では、地上の環境を破壊する地上人に対して、天上界の人々が、「ノア計画」という計画の実行を検討するシーンが有ります。

「ノア計画」は、地上に大雨を降らせて地上を洗い流すという計画で、丁度旧約聖書のノアの箱舟が登場するシーンのような計画なのですが、それを阻止しようと、地上側の代表としてその会議にドラえもんたちが参加します。

そこで出てくるのが「キー坊」という、ドラえもんとのび太によって、命を与えられ、学問を身に着けた植物(木)のキャラクターでした。彼は、地上にものび太やドラえもんのような心優しい人々がいると訴えかけて、また、のび太たちがこれまで救ってきた動物たちも登場して、地上人を擁護するというシーンがありました。

でも、ここで登場するキャラクターたちは、コミックスの初期に登場するキャラクターたちで、パラレルワールドの存在ではありません。

一方で、ぴー助は、のび太の恐竜という、のび太の新恐竜の平行世界のキャラクターであり、新恐竜に登場させるのはおかしい(物語に矛盾が生じる)のです。

その点でも、もう少しこの登場に関しては実際に登場させる前に検討してほしかったなと思いました。

 

※聖書についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

笑いや涙を誘いすぎて…

笑いあり、涙あり、がドラえもんの映画の特徴なのは重々承知しています。ただ、笑いを作る、涙をつくる、というのはドラえもんの映画ではありません。

ドラえもんは、いい物語があって、自然と笑いや涙が出てくる作品なのです。

 

四次元ポケットからイナゴの缶詰

笑い、の観点から疑問が多く残ったのが、イナゴの缶詰。新恐竜では、肝心なときにドラえもんのポケットから大量にイナゴの缶詰が出てくるのですが、何でイナゴの缶詰?

このイナゴの缶詰は、映画の中でもとくに出てきた存在ではなく、いきなり突然現れた存在です。なので、何で四次元ポケットにイナゴの缶詰が大量に入っているのか、その裏設定(伏線)も無くて、イナゴの缶詰がポケットから出てくるたびに頭が?で覆い尽くされました。

 

キューが飛ぶシーンや恐竜を助けるシーン

キューが飛ぶシーンや恐竜を助けるシーンは涙を誘っているんだなと思いましたが、前述の疑問点などから、感情移入できませんでした。

「ドラえもんは泣ける」というのが前提にあったのだと思いますが、新恐竜は、疑問点が多すぎて、泣けるシーンで泣けなかったというのが、本音です。

 

良かった点は映像

新恐竜の良かった点は、色々考えたのですが、映像が綺麗だった点、くらいかなと思います。

 

2021/1/27追記

ブログの読者様から良かった点を色々教えていただいたので追記したいと思います。

・悪人がいない点

・漠然と夢がある

・小さい子供の目線ではとても面白い作品

・恐竜が出てくると男の子は喜ぶ

視点を変えると様々な見方があって、今回私は面白くなくかなと思ったのですが、他の視点で見ると良い作品だったという感想がある作品です。

これらの感想を聞いて、ドラえもんとして様々な世代に愛されると言うのが、ドラえもんいいところだなと改めてドラえもんの良さを感じました。

 

終わりに

この記事では、『ドラえもん のび太の新恐竜』の感想をご紹介しました。

この作品は、本当にドラえもんが好きな方が映画を作ったのかな疑問が残る作品だったかなと思いました。

ただ、このドラえもんも面白いという意見もあり、その様な感想を聞くと、ドラえもんが長い間様々な人々に愛されてきたのだなと感じることができたなと思います。

 

※ドラえもんの映画を堪能できるこちらもおすすめ

 

 

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西洋絵画を勉強するためにおすすめな本を紹介-絵画入門は中野京子, 原田マハ, 阿刀田高で美術を学ぶ

日本の美術館や欧米の美術館で目にする西洋絵画。見ているだけで美しい絵画ですが、絵画の特徴を知ると美術鑑賞が一層面白くなります。

この記事では西洋絵画を勉強したいと思ったときにおすすめな本をご紹介します。

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西洋絵画を勉強するためにおすすめな本を紹介

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西洋絵画を鑑賞するときに、知っておくと美術館が一層楽しくなる知識があります。

そんな知識を蓄えるためにおすすめな本が、中野京子さんの本、原田マハさんの本、そして阿刀田高さんの本です。

美術の見方、面白さを学ぶなら中野京子さん、美術を小説として楽しむなら原田マハさん、美術の題材を面白く学ぶなら阿刀田高さんの本を読むと、美術の基礎を学ぶことができます。

 

中野京子さんの怖い絵シリーズ

美術の楽しさに浸るのにおすすめな作家が中野京子さんです。

中野京子さんは絵画で描かれるストーリーを軽快な語り口で解説する作家。美術の表から裏側までを学ぶことができます。

数ある作品の中でも特におすすめなのが「怖い絵シリーズ」です。怖い絵シリーズは、絵画に描かれるシーンの背景にある怖い物語を、絵画を見ながら解説する本。

 

怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)

怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)

 

 例えば『怖い絵 泣く女篇』の表紙に描かれるのは、紅茶「レディ・グレイ」のモデルとなったイングランド最初の女王ジェーン・グレイ。

在位わずか9日間でブラッディーメアリーことメアリー1世により廃位させられ、その7ヶ月後には処刑されてしまった悲劇の女王です。

彼女が何故このような数奇な運命を辿ったのか、その歴史から処刑に至る顛末までをこの本では解説されています。

このような、絵画にまつわる様々な物語を短編集のように纏めた本が、怖い絵シリーズなのです。

 

 

名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫)

名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫)

 

他にも、名画の謎シリーズなど、絵画を様々な切り口から捉えた本を多数執筆している中野京子さんは、絵画入門では欠かすことのできない作家さんです。

 

中野京子さんの絵画で学べる西洋史はこちら

sumikuni.hatenablog.com

  

原田マハさんの美術小説

中野京子さんの本で絵画の面白さを体感したら、次に原田マハさんの美術小説を読むのがおすすめ。

美術を題材とした歴史小説やミステリー小説が原田マハさんの魅力のひとつです。

 

 『ジヴェルニーの食卓』は、美術小説の中でも読みやすい本。

印象派の画家たちの生活を短編小説として描いた作品です。モネやドガなど、印象派を代表する画家たちの絵画に対する姿勢や絵画とは離れた部分での人間性などを想像することができます。

 

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

  • 作者:原田 マハ
  • 発売日: 2014/06/27
  • メディア: 文庫
 

原田マハさんの美術小説の中でも傑作中の傑作と言えるのが、『楽園のカンヴァス』です。

『楽園のカンヴァス』は、アンリ・ルソーの代表作『夢』と酷似する作品『夢を見た』の真贋を巡り、若い研究者2人が鑑定を試みるという美術ミステリー。

主人公早川織絵は伝説の美術コレクターであるバイラーの計らいで、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のキュレーター、ティム・ブラウンと『夢を見た』の鑑定で対決することに。しかし、その鑑定にはひとつの条件がありました。それは、7日間、7章からなる物語を、一日一章ずつ読み、その上で『夢を見た』の真贋を判断して欲しいというものだったのです。

原田マハといえば美術小説。私もこの『楽園のカンヴァス』で初めて原田マハさんの作品に触れました。『楽園のカンヴァス』では、2人の若きキュレーターが1枚の絵を巡って繰り広げる観察と考察、そして推理を、まるでその場に同席しているかのようにリアルに堪能できます。

小説の中に登場する物語を私たちも一緒に読み、その物語と絵画に対する2人の推理を聞く。2人の意見が知りたくて、物語の先が知りたくて、ページをめくる手が止まらなくなる、そんなドキドキのミステリーを味わうことができる作品です。

 

原田マハさんのおすすめ作品についての詳細はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

阿刀田高さんの知っていますかシリーズ

中野京子さんの本で美術の楽しさを知り、原田マハさんの本で美術の奥深さを感じたら、今度は阿刀田高さんの「知っていますかシリーズ」で、美術に描かれる神話や聖書の内容を学ぶのがおすすめ。

 

旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

  • 作者:阿刀田 高
  • 発売日: 1994/12/20
  • メディア: 文庫
 

阿刀田高さんはミステリーやブラックユーモアの分野で高名な作家さんですが、実は世界各国の古典を軽妙に読み解いた随筆でも知られる作家さんで、阿刀田高さんの作品を読めば、楽しくヨーロッパ古典を学ぶことができます。

例えはこちらの『旧約聖書を知っていますか』は、アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフ、モーセヨシュアダビデ、ソロモンと続く古代イスラエル王国の歴史を分かりやすく解説している本です。

旧約聖書に馴染みの薄い読者でも分かりやすい形で解説してくれる本で、聖書を学ぶときははまず、この本を読むのがおすすめ。

天地創造などの神話的要素に関しても説明されており、この一冊を読めば旧約聖書ユダヤ教キリスト教イスラム教について、「なるほど、そういう宗教か」と理解できるようになれる作品です。

 

阿刀田高さんの「知っていますか」シリーズの詳しい紹介はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

ギリシャ神話の知識をつけるなら

阿刀田高さんの「知っていますかシリーズ」と重複するところもありますが、特にギリシャ神話を重点的に学びたいと思ったときにおすすめな本を5冊紹介している記事が下の記事となります。

ギリシャ神話に興味がある場合には、是非一度ご覧になってみてください。

 

sumikuni.hatenablog.com

 

聖書の知識をつけるなら

聖書について学べる本をご紹介している記事も書いているので、聖書に興味がある場合は是非覗いてみてください。

 

sumikuni.hatenablog.com

 

終わりに

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この記事では、西洋絵画を勉強するためにおすすめな本をご紹介しました。

中野京子さん、原田マハさん、阿刀田高さんは、美術を学ぶときにとてもおすすめな作家さんですので、是非一度作品を読んでみてください。

 

※宗教画の見方についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

静物画の見方についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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シェイクスピア四大悲劇の作品一覧とあらすじ解説-ハムレット,マクベス,リア王,オセロはどんな物語?

イギリス史上最も有名な劇作家と言っても過言ではないシェイクスピア

シェイクスピアは16-17世紀(1564-1616年)を生きた劇作家で、『ロミオとジュリエット』や『ヴェニスの商人』など、多くの有名な戯曲を生み出しました。

どの作品もとても有名である一方で聞いたことはあるけど内容まではよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事ではそんなシェイクスピアの作品から「四大悲劇」に列せられる、『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロ』のあらすじをご紹介します。

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シェイクスピア四大悲劇の作品一覧とあらすじ解説-ハムレット,マクベス,リア王,オセロはどんな物語?

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イギリスの劇作家シェイクスピアが書いた悲劇の戯曲、『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロ』の4つを合わせて四大悲劇と呼びます。

シェイクスピアの作品の中でも特に有名なこの4作品は、シェイクスピアに初めて触れる場合にも読みやすい作品です。

悲劇と言うだけあって、人を殺めたり、主人公が亡くなったりと、「人殺しいろいろ」な作品たち。偶然なことにシェイクスピアの生没年も1564-1616(ひとごろし-いろいろ)。

悲劇に満ちた四つの物語を是非堪能してみてください。

 

ハムレット-To be, or not to be

聖アルバン教会

「To be, or not to be:that is the question」。多くの名言を生み出したハムレットの戯曲の中でも特に有名な台詞です。日本語では「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と訳されるこの言葉が登場する作品こそが『ハムレット』です。

ハムレット』は『ロミオとジュリエット』と並び日本でも世界でもよく知られる作品。そして、この「生きるべきか、死ぬべきか…」という言葉も「ああロミオ、あなたはどうしてロミオなの」と同じくらい広く知られています。

さて、そんなハムレットですが、一体どのような作品なのでしょうか。

この作品を一言で表すなら、それは「復讐劇」と言えるでしょう。

ハムレットデンマークの王子。ある日、ハムレットの父である王が急死してしまいます。悲しみにくれていたハムレット。ですが、突然彼の前にに父王の亡霊が姿を現す。そして父王が言うには、「叔父クローディアスが、父王を殺し母を娶って王となった」と。

父の亡霊から真実を聞いたハムレットは、復讐を決意するのです。

復讐を誓ったハムレットは、憎きクローディアスを何度も殺そうと思うのですが、中々一歩が踏み出せません。しかしある日、ハムレットは恋人のオフィーリアの父である宰相ポローニアスを誤って殺してしまう。父の死を聞いて錯乱したオフィーリアが湖で溺死(ミレイ作の『オフィーリア』という絵画が有名)してしまうのです。

すると今度はポローニアスの息子でありオフィーリアの弟がハムレットに復讐しようとする、そしてハムレットに命を狙われるハムレットの叔父クローディアスがオフィーリアの弟と結託しハムレットを毒殺しようと企てます。

しかし、その毒を誤って飲んでしまった王妃であるハムレットの母が死に、ハムレットがオフィーリアの弟を決闘で殺し、そして最後はクローディアスをも殺め、自分も死んでいく、という物語。

ハムレットは復讐が復讐を生んでいく、悲劇の連鎖がテーマの戯曲なのです。

 

シェイクスピアならこのシリーズがおすすめ。戯曲の日本語訳です。

ハムレット (岩波文庫)

ハムレット (岩波文庫)

 

 

マクベス-バーナムの森は動かない?

スコットランドの将軍マクベスは、ノルウェーとの戦争に勝ち、陣営に戻る途中3人の魔女と出会います。

すると魔女たちは「万歳、コーダーの領主」、「万歳、いずれ王になるお方」とマクベスに呼びかけ、一緒にいたバンクォーには「王にはなれないが、子孫が王になる」と予言しました。そして国王ダンカンの使者が現れ、マクベスがコーダーの領主に任命されたと伝え、予言が一つ実現したところから物語が始まります。

マクベスは帰郷すると直ぐに妻に予言の話を教え、彼女と王暗殺計画を立てます。

ノルウェーとの戦争での勝利を祝う宴会後、マクベスは寝ているダンカン国王の部屋に忍び込み王を暗殺。朝になり、国王の死体が発見され、城中が大騒ぎに。

父を殺されたダンカン国王の子どもたちは身の危険を感じ、長男のマルカム王子はイングランドへ、次男のドナルベインはアイルランドへ逃げると、王殺しの嫌疑が王子たちにかけられ、魔女の予言通り、マクベスが王となったのです。

その後マクベスは「子孫が王になる」と予言されたバンクォーを殺害したり、悪政を行ったりするのですが、そんな時、また魔女から「マクベスはバーナムの森が動かない限り安泰」、「女性から生まれたものはマクベスを倒せない」との予言がくだります。

一方で、周りへの猜疑心や心労からマクベスマクベス夫人は心を壊していくのですが、そんな中イングランド軍がウェールズへ侵攻。

マクベスは「バーナムの森が動かない限り大丈夫だ」と自分に言い聞かせる、しかし、ふと窓の外に目をやると、なんとバーナムの森が動いている。実はイングランド兵が木の枝を隠れ蓑に進撃してきただけなのですが、マクベスは「バーナムの森が動いた」と信じ切ってしまうのです。

動揺しているマクベスですが、イングランド軍との戦いの中にマクベス自身が身を投じます。そこに現れたのがマグダフという男。彼はウェールズからイングランドへ逃げたダンカン前国王の子マルカムの部下。

マクベスはマグダフに「女性から生まれたもの(人間)に私は倒せない」と、自分が不死身であることを高らかに宣言。しかし、マクダフは「私は女性から生まれた(自然分娩)ではない、お腹を破って生まれた(帝王切開)のだ」と言い、マクベスに切りかかり、マクベスはその最期を迎えたのです。

 

マクベス (岩波文庫)

マクベス (岩波文庫)

 

 

リア王-子の心親知らず

リア王は甘言に惑わされた王リアの悲劇を描く作品。

ブリトンの王リアには3人の娘がおり、長女はゴリネル、次女はリーガン、三女はコーデリアと言います。

ある日、ゴリネルとリーガンがリア王におべっかを使っていたときに、リア王が三女コーデリアに対しても同じように褒め称えるよう求めるのですが、コーデリアはそれを拒拒否。リア王に追放されてしまいます。

しかしその後リア王は信じていた娘ゴリネルとリーガンに裏切られ、そして全てを奪われ、荒野を彷徨うこととなったのです。

リア王はその後紆余曲折を経てフランスに逃げ延びた末娘コーデリアと再会し、彼女の親を思う真心に触れ彼女の心をやっと理解するのですが、その後コーデリアがいるフランスがブリトンに敗北し捕虜に。

獄中でコーデリアとの日々を過ごす中、最後の悲劇を迎えることとなるのです。

 

リア王 (岩波文庫)

リア王 (岩波文庫)

 

 

 オセロ-愛と憎しみの悲劇

ヴェネツィア カナル・グランデ 夕暮れ

オセロは愛する人を自ら殺してしまう愛憎の悲劇。

ヴェニスの軍人オセロは親の反対を押し切り、デズデモーナという女性と駆け落ちします。そんなオセロに届いた噂がデズデモーナがキャシオーという男と密通しているということ。この讒言をささやいたのがオスロを嫌っているイアーゴーでした。

イアーゴーはオセロがデズデモーナに送ったハンカチを盗みキャシオーの部屋においておくなど、嘘に真実味を加えていく。

嫉妬に狂ったオスロはイアーゴーにキャシオーの殺害を依頼、自らはデズデモーナを殺してしまうのです。

イアーゴーにはエミリアという妻がいました。彼女はオスロがデズデモーナに送ったハンカチをイアーゴーが盗んだことを告白。イアーゴーは今度はエミリアを殺害して逃亡してしまいます。

その後イアーゴーは捕まるのですが、絶望したオセロは既に亡くなっているデズデモーナに口付けし、自ら命を絶ってしまうのです。

 

オセロウ (岩波文庫)

オセロウ (岩波文庫)

 

 

シェイクスピアのあらすじを学ぶなら阿刀田高

ここまで、シェイクスピアの四大悲劇である『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロ』のあらすじをご紹介しました。

各物語のあらすじの解説で紹介した本は、どれも戯曲を日本語に翻訳したもので、台詞のキャッチボールにより物語が進んでいくスタイルの本です。

一方で、時代背景や詳しい解説を読みながらシェイクスピアに触れてみたいという場合におすすめ本が、阿刀田高さんの『シェイクスピアを楽しむために』です。

この本は、当時の風習などの解説も詳しくなされており、また言葉遊びの多いシェイクスピア作品の翻訳の難しさなども説明してくれている本。

シェイクスピアを楽しむためにはとてもおすすめな本ですので、是非一度手にとって見てください。

 

シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)

シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)

  • 作者:阿刀田 高
  • 発売日: 2002/12/25
  • メディア: 文庫
 

 

終わりに

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この記事では、シェイクスピアの四大悲劇と呼ばれる『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロ』をご紹介しました。

ハムレットは、復讐が復讐を生む憎しみの連鎖の物語、マクベスは自己顕示が猜疑心を生み身を滅ぼす様を表現する悲劇、リア王は甘言にすがり真心を読み取れなかった王の悲劇、そしてオセロは愛する人を信じず疑ってしまったことゆえに起こった悲劇の物語です。

どの作品もとても深いテーマを主題としており、また、シェイクスピアが残した名言も楽しむことができる作品ですので、是非一度シェイクスピアの戯曲を手にとって見てください。

 

ギリシャ神話のあらすじ解説はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※日本の日記文学についての記事はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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音楽をテーマにした小説のおすすめ3選-音楽初心者でも楽しめる音楽小説を紹介

音楽が好き、音楽に興味がある、音楽に触れてみたいと思ったとき、コンサートに行ったり、音楽を流したりすることが多いですが、実は小説で音楽を楽しむこともできます。

この記事では読んで楽しめる、音楽をテーマとした小説を3作品ご紹介します。

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音楽をテーマにした小説のおすすめ3選-音楽初心者でも楽しめる音楽小説を紹介

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音楽を小説で楽しむことができる作品としておすすめなのが、『羊と鋼の森』、『蜂蜜と遠雷』、『永遠をさがしに』の3作品。

どの作品も読みやすい小説で、描写が細やかで繊細、読んでいるうちに音楽が聞こえてくるような作品です。

音楽に普段あまり触れることが無いという場合にもとても楽しめる作品であり、音楽が大好きという場合にも好きになることができる小説です。

 

羊と鋼の森』-宮下奈緒

主人公の外村は、高校生の時に偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来調律に魅せられ、念願の調律師として働き始めます。調律師として毎日音と向き合う日々を送るのですが、ある日、和音と由仁(ゆに)という双子の姉妹と出会い、調律師として成長していく物語です。

この『羊と鋼の森』は劇的な躍動感がある作品というよりは静かに淡々と調律師の仕事を描いている作品。しかし、小説に描かれる瑞々しい表現、音が文字として表され、目の前に情景が浮かんでくるような言葉の使い方が見事な小説です。

 

羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

 

 

※お仕事小説のおすすめはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

『蜂蜜と遠雷』-恩田陸

音楽が聞こえてくる小説『蜂蜜と遠雷』。ピアノのコンクールの予選から本選までを描く作品。

コンクールに挑む4人の若きピアニストの葛藤や成長を描く本作は、青春小説という一面もありながら、音楽の美しい音色やダイナミック姿、繊細な心の動きが伝わってきて、コンクールの参加者と一緒にいるかのような気持ちに浸ることができます。

また、美しい音楽に出会えるという一面を持つ一方で、「才能とはなにか」ということを考えるきっかけを与えてくれる本でもあります。

 

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

 

 

『永遠をさがしに』-原田マハ

和音(わおん)は有名な指揮者の父とチェリストの母を持つ高校生。母からチェロを習っていましたが、母が突然家から出て行ってしまいます。父も家に帰らない日々を送っており、家政婦に全てを任せる生活へ。

高校生になったある日、父がアメリカの楽団に移籍することが決まるのですが、和音は日本に残ることを決めます。そしてそこにやってきたのが父の後妻である真弓でした。

真弓はとても面白い女性で、和音とは対等の付き合いをするような義母なのですが、実は真弓も元チェリスト。和音の母時依のことを知っており、和音は彼女から母のことを聞き再びチェロを演奏することを決めます。

明かされる真弓と和音の母時依の秘密。その秘密を知ったときの衝撃と、和音の心の変化、家族愛、和音の友人文斗と朱里の友情に涙なくして読むことができない作品でした。

 

永遠をさがしに (河出文庫)

永遠をさがしに (河出文庫)

  • 作者:原田 マハ
  • 発売日: 2016/02/05
  • メディア: 文庫
 

 

原田マハのおすすめ小説はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

終わりに

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この記事では、音楽をテーマにしたおすすめ小説を3作品ご紹介しました。

この3作品は音楽が好きな場合にも、音楽はあまり分からないけど興味があるという場合にも楽しむことができる作品ですので、是非一度手にとってみてください。

 

ギリシャ神話のあらすじを知るためにおすすめな本はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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ヨーロッパ史が学べるおすすめの本を紹介-中野京子さんの絵画を用いた分かりやすい西洋史入門書

ヨーロッパ史を学びたくなった時におすすめの入門書は中野京子さんの「名画で読み解く」シリーズです。初めて欧州史を学ぶ場合にも、昔勉強した歴史を学びなおしたい場合にも、絵画を用いて視覚的に学ぶことができる中野京子さんのわかりやすい本は大きな助けとなります。

この記事ではそんなヨーロッパ史を学びたくなったら読みたい中野京子さんの本をご紹介します。

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ヨーロッパ史が学べるおすすめの本をご紹介

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ヨーロッパ史を学びたいと思ったとき、何処から手をつけていいのか、分かり易い参考書はどれなのかなど、迷ってしまうことが多くあります。

そんな時に欧州史の入門書としておすすめしたいのが、中野京子さんの「名画で読み解く」シリーズです。

このシリーズは、ヨーロッパ各国の王朝とその国の歴史について、名画を見ながら解説してくれる本で、ハプスブルク家、イギリス王室、ブルボン王朝、ロマノフ家の物語を堪能することができます。

学校で習う世界史とは一味も二味も違った切り口の西洋史をご堪能ください。

 

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語

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はじめにご紹介するのは、『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』。この本は神聖ローマ帝国とスペインを手中に収めたハプスブルク家の物語が紹介されています。

ハプスブルク家はもともとスイスの小さな貴族でしたが、当時神聖ローマ帝国は多くの国々の連合体であり、力が弱い家ほど皇帝に相応しかった(権力が集中するのを避ける)ため、神聖ローマ皇帝の皇帝に選定されました。

ハプスブルク家は婚姻によりヨーロッパ各国との姻戚を結び領土を着々と拡大していったといいます。

ハプスブルク家といえばヨーロッパの西の端、スペインでも栄華を誇りました。スペインでの歴史の始まりはレコンキスタを完了したカトリック両王の娘狂女フアナがハプスブルク家のフィリップ美公と結婚したことによります。

彼らの息子カルロス1世がスペイン国王となり、神聖ローマ皇帝カール5世も兼任したことで、大帝国が築かれたのです。

 

 

名画で読み解く イギリス王家12の物語

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1485年即位のヘンリー7世から500年以上の長さを誇るイギリス王室。しかし現在の王室に至るまで、テューダー家以降家名が四回も変わっていったのはご存知でしょうか。

テューダー朝といえばイギリス国教会を設立したヘンリー8世。ヘンリー8世が、教義はカトリックとほぼ変わらないプロテスタントの教会であるイギリス国教会を設立したのには「結婚」を巡った教会との対立がありました。

本の表紙は紅茶の名前にもなっている「レディ・グレイ」。処刑される最後まで気高く生きたイギリス王家の血を引く女性。彼女を断頭台に送ったのは私たちも良く知るあの人…

清廉、高貴、裏切り、狂気… この世が孕む美しいものそして醜いもの全てを体現したかのようなイギリス王室のドラマを語る一冊です。

 

名画で読み解く イギリス王家12の物語 (光文社新書)
 

 

名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語

 

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断頭台の露と消えたマリーアントワネット。彼女がブルボン家に来なければ、ハプスブルク家でのんびり過ごしていられたら、あんな悲劇は起こらなかったのかもしれない。

太陽王ルイ14世の下最盛期を迎えたフランスブルボン家。革命に翻弄された王家の12の物語を紡ぐ本がこの一冊。

フランスでは潰えたブルボン家も実は現在はスペイン王室として家名をつないでいたりして、ヨーロッパの歴史を見る上では欠かすことのできない家系。

『マリー・ド・メディシスの生涯』や『ナポレオンの戴冠式』など、超有名絵画と共にブルボン王朝を紐解きます。

 

名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書)
 

 

ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間

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フランス史の本でもう一冊お勧めしたいのが、『ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間』。

革命が勃発してからヴァレンヌで捕まるまでの24時間をルイ16世の手記を元に検証する本。小説形式で書かれた本で、まるでその場で逃亡の手助けをしているかのような臨場感にドキドキします。

こんな危機なのにのんびりピクニックにでも行くような気軽さの王家。それを補佐する人々との温度差も克明に記しており、当時の王家にとっての革命がどのようなものだったのかを肌で感じることができる作品です。

 

 

名画で読み解く ロマノフ家 12の物語

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イワン雷帝から続いたロシアのロマノフ家。

跡継ぎ争いが絶えず、同じ王家の中で骨肉の争いが繰り広げられました。農民出身の身ながら見事に女帝にまで上り詰めたエカテリーナ1世やドイツ人ながらロシアの女帝になったエカテリーナ2世など、血筋や出自までもを覆すことができる可能性があった、ロシア王室の物語です。

日本人には馴染みの薄いロシア王室ですが、実は日本人がロシアに流れ着いたり、ロシア皇帝ニコライ2世が日本に来たりと意外と関わりが深いお隣の国でもあります。

目から鱗のロシア史の世界を覗いてみてくさい。

 

 

終わりに

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この記事では、ヨーロッパ史を学びたいと思ったときにおすすめな、中野京子さんの本をご紹介しました。

分かりやすくて面白い、歴史が好きになる本が中野京子さんの「名画で読み解く」シリーズです。

是非このシリーズでハプスブルク家、イギリス王室、ブルボン王家、ロマノフ王朝の歴史を感じてみてください。

 

旧約聖書新約聖書コーランを学ぶ本はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

ギリシャ神話を学ぶための本はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

 

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