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印象派のおすすめ画家と作品紹介-モネ, ゴッホ, ルノワール, ドガ, カサットなどを紹介

美しい色彩と明るい雰囲気が魅力の印象派

ジャポニズムと呼ばれる日本画の影響を受けたとも言われる印象派ですが、19世紀と20世紀初頭には様々な画家が印象派として絵画を描きました。

この記事では、そんな印象派の画家の中でも特におすすめな画家を12人ご紹介します。

印象派

  

印象派のおすすめ画家と作品紹介-モネ, ゴッホ, ルノワール, ドガ, カサットなどを紹介

印象派というジャンルは実はとても新しい芸術で、印象派の画家たちが活躍した時期は19世紀の後半でした。

もともと西洋絵画というのは、歴史画(神話・聖書)、肖像画静物画、風俗画/風景画というようにその価値が定められており、歴史画は崇高な芸術、風景画は歴史画や肖像画に劣るというような区分がありました。

中でもフランスでは権威あるアカデミー主催のサロンに認められなければ画家としての価値を担保することができなかったため、自分の目指す芸術がサロンに認められずに苦しい生活を送る画家が多くいたのです。

そんな中、これまでの枠組みにとらわれることなく画家活動を行おうとしたグループが印象派でした。いわば印象派は伝統を超えた新しい絵画グループだったといえます。

 

※歴史画についてはこちら 

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印象派の歴史

新しい画家のグループである印象派ですが、どのように誕生したかというと、実はアカデミー主催のサロン(官展)で落選した作品を集めた落選展(Salon des Refusés)がきっかけでした。

 

落選展

落選展は、1863年にパリで開催された美術展で、サロンが開催された会場の横で、サロンで落選となって展示できなくなった作品を集めて開催された美術展。

この落選展は、後の印象派の画家として名を馳せた、マネ、モネ、ピサロ、ホイッスラーなどが参加し、革新的な作品が展示された、近代美術の革命的な出来事だったといえます。

マネの出品作品『草上の昼食』は、裸体の女性の日常風景を描いているということで一大スキャンダルとなりました。当時は実在する人物(ギリシャ神話や聖書以外)の女性の裸体を描くことはタブーとされており、マネの作品が世間に計り知れない衝撃を与えたのです。

 

画家、彫刻家、版画家などの美術家による共同出資会社第1回展

落選展から10年ほど経った1874年4月、「画家、彫刻家、版画家などの美術家による共同出資会社第1回展」という美術展が開催されました。

この美術展にモネが出品した作品が、『印象日の出』という作品。この『印象日の出』はフランス北西部のル・アーブル港を描いた作品で、その淡い印象から当時の批評家ルイ・ルロワに「こんな絵はただの印象を描いたひどい作品、印象主義だ」と酷評されてしまいます。

ただ、この酷評が世間の注目を引いたのをきっかけに、印象主義印象派)としてこのグループが認知されるようになり、この美術展に出展した、エドガー・ドガカミーユピサロオーギュスト・ルノワールアルフレッド・シスレーなどの画家たちが印象派として活動するきっかけとなったのです。

 

印象派の画家と作品のおすすめ

ここでからは、おすすめな印象派の画家と作品をご紹介します。

ご紹介するのは、マネ、モネ、ドガ、カサット、モリゾ、ルノワールピサロゴッホゴーギャンセザンヌ、ボナール、ロートレックの12人です。

 

エドゥアール・マネ

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マネは落選展でスキャンダルとなった作品『草上の昼食』を描いた画家。他の印象派画家よりも少し年上で、印象派の先駆者として知られる画家です。

先駆者という立場として前衛的な作品を数多く残したマネですが、実はサロンへの応募も続けた画家で、印象派とサロンのどちらも大切にした画家でした。

 

クロード・モネ

モネ 睡蓮

印象派の名前のもととなった作品『印象日の出』を描いた画家。

印象派の画家として日本でもとても有名画家で、彼が描いた『睡蓮』は印象派を代表するような作品です。

こちらの絵はヒューストン美術館所蔵の『睡蓮』。モネは生涯に数多くの睡蓮の絵を残しました。

 

実は睡蓮以外にも多くの絵を描いているモネ。

こちらは風景画です。

ジャポニズムの影響を受けた『ラ・ジャポネーズ』や妻のカミーユをモデルとした作品も描きました。

 

※サンディエゴ美術館詳細はこちら

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エドガー・ドガ

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エドガー・ドガ。フランスを代表する画家の一人。

印象派が活躍した1800年代中盤から1900年代始めまで活躍した画家で、睡蓮で有名なモネ、先駆者マネ、ヒマワリのゴッホ、甘美なルノワールなど、あまりにも有名な彼らとともに時代を生きた画家です。

そんなドガが描く絵画の代名詞ともいえる題材が「バレリーナ」。

 

ドガ バレリーナ

ドガは一瞬を切り取る画家として活躍。その一瞬のモデルとなったのが疾走する馬であり、舞台上そして日常のバレリーナでした。

ドガは美しい舞台上のバレリーナだけでなく、練習風景や日常風景などを多く描きました。オスロ国立美術館のこちらの絵も舞うバレリーナではなく、バレリーナの日常風景を描いています。

 

ドガ

舞台上でバレリーナが舞う『エトワール』が有名なドガですが、一瞬を切り取る画家として舞台裏までもを愛した画家でした。

 

オスロ国立美術館はこちら

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メアリー・カサット

カサット 母子

母子の日常を切り取った絵を多くの描いたメアリー・カサット。幸せそうな風景に心が癒されます。

カサットはアメリカ出身の画家で、アメリカ人として唯一の、そしてモリゾと並んで女性の印象派画家です。

ドガと親しく、日本画から影響を受けた作品も発表しています。

実は、現在の印象派人気、印象派が世界中で愛されているのは、カサットのお陰といっても過言では無いのです。
というのも、当時、フランスでは印象派は邪道と思われ、評価されていなかったのですが、カサットがアメリカの資産家へ印象派を紹介するようになったところ、アメリカで人気に火がつき、それを機に本国フランスでも認められるようになっていきました。

そういう経緯もあり、アメリカの美術館は多くの印象派絵画を所有するに至っています。こちらの絵もヒューストン美術館所蔵の作品です。

 

※ヒューストン美術館詳細はこちら

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ベルト・モリゾ

モリゾ 

こちらはサンディエゴ美術館のベルト・モリゾの作品。

モリゾはマネの弟と結婚した画家で、印象派の中ではメアリー・カサットと並ぶ女流画家。

印象派と言うのは、元々フランス画壇の権威であった国立芸術アカデミーが主催する「サロン・ド・パリ」と呼ばれる展覧会で入賞できなかった画家たちが集まって作ったアートカテゴリーですが、その印象派の中でも異彩を放っていたのがモリゾです。

 

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モリゾは第一回印象派展が開催される前年の1873年まで6回もサロン・ド・パリに入選しており(作品が飾られており)、謂わば当時の主流であった国立芸術アカデミーからも認められる存在でした。

画家と言うのは職業ですから、国立芸術アカデミーに認められる実力であれば、正統派であるアカデミー風の作品を作り続ければ安泰であったのにも関わらず、第一回印象派展開催から印象派の画家としての道を歩み始めたのです。

上の絵はノートン・サイモン美術館所蔵の作品。

 

オーギュスト・ルノワール

ルノワール 静物画

ノートン・サイモン美術館のルノワール静物画。

ルノワールは甘美な画風が特徴的な印象派を代表するフランス人画家です。

 

ルノワール 

ムーラン・ド・ラ・ギャレットの絵画など、美しくも可愛らしい、明るい絵を多く残しています。こちらはオスロ国立美術館の作品です。

 

 ルノワール

ルーブル美術館ではルノワールの作品の中でも特に有名なこちらの絵を鑑賞することができます。

 

カミーユピサロ

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カミーユピサロは、デンマーク植民地時代のセント・トーマス島で生まれたデンマーク系フランス人画家で、1874年から1886年の間に8度開催された印象派展すべてに参加した唯一の画家です。

ピサロは、パリや都市の風俗を描いたドガルノワールとは対照的に、農村の自然を対象とした絵を描くことが多かった画家です。

前期印象派から後期印象派のどちらにも多大な貢献をした人物です。

こちらはノートン・サイモン美術館の絵。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ

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ポスト印象派の代表的な画家ゴッホ。ひまわりの絵が特に有名な画家です。

生前は評価されずに厳しい人生を歩んだゴッホ。くっきりとした独特な色使いが印象的な画家です。

 

ゴッホ タンギー爺さん ロダン美術館

ジャポニズムの影響を強く受けた画家でもあり、『タンギー爺さん』では浮世絵の画中画を描いています。

タンギー爺さん』はロダン美術館で見ることができます。

 

ロダン美術館はこちら

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ポール・ゴーギャン

ゴーギャン タヒチ

ノートン・サイモン美術館のゴーギャンの作品。明るい色合いが印象的な画家。一時期ゴッホと共同生活を送ったこともあります。

晩年はタヒチ島に渡り、現地の人々を描いてすごしました。

 

ポール・セザンヌ

セザンヌ 静物画 

りんごの絵でお馴染みのセザンヌ。ポール・ゴーギャンフィンセント・ファン・ゴッホと並んで3大ポスト印象派の1人です。 

静物画を、これまでの「どれだけリアルな表現で描けるか」という視点から脱した大胆な構図と色彩で表現したのが特徴の画家で、「自然を円筒、球、円錐によって扱う」というセザンヌの言葉は、後のキュビスムにも影響を与えた言葉として知られています。

キュビズムやフォービズムの画家たちに大きな影響を与えた画家です。

 

キュビズムとフォービズムの紹介はこちら

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ピエール・ボナール

ピエール・ボナール

ピエール・ボナールは、後期印象派の一派である、「ナビ派」の創設者。

室内風景や家庭生活などの身近な題材に個人の内的な感覚を反映させた絵を描きました。

ナビ派は、巨匠ゴーギャンや日本美術の影響のもと、新たな美の創造を目指した若い芸術家たちのグループで、ピエール・ボナールナビ派の画家の中でも特に日本美術に傾倒し、「日本かぶれ(ジャポネール)のナビ」と呼ばれました。

 

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック

ロートレック

ロートレックは、ポール・セザンヌ、ファン・ゴッホゴーギャンとならんで後期印象派の代表的な作家の一人で、カラフルな色彩が特徴。

また、アール・ヌーヴォーイラストレーターであり、リトグラフ作家として活躍しました。私たちのイメージのロートレックは、イラストのイメージが強いかなと思います。

 

ロートレック

ロートレックは、パリにキャバレー「ムーラン・ルージュ」がオープンすると、お店からポスター制作の依頼を受けるようになります。

当時、パリの画家たちの間ではポスター制作などの商業絵画の仕事は見下されていたそうですが、ロートレックはその仕事を引き受け、デザインとしての絵画の価値を高めていきました。

 

終わりに

この記事では、印象派のおすすめ画家を12人ご紹介しました。

印象派はとても綺麗な色合いと個性溢れる筆触(タッチ)が魅力な美しい絵画です。

好きな画家が増えるほど、美術館が楽しくなるかなと思います。美術館を訪れる際には是非印象派に注目してみてください。

 

※風俗画の紹介記事はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※風景画の見方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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