フランスのヴェルサイユ宮殿は豪華絢爛な内装、美しい調度品が数多ある宮殿。ヴェルサイユ宮殿では、美術品の数々に囲まれ、至福の時を過ごすことができます。今回はヴェルサイユ宮殿で鑑賞できる肖像画、彫像、絵画を中心に美術品をご紹介します。
ヴェルサイユ宮殿とは
ヴェルサイユ宮殿は1682年にフランス王ルイ14世が建てたフランスの宮殿。パリの南西のイヴリーヌ県ヴェルサイユにあります。マンサールとル・ブランによって設計されました。バロック建築の代表作で、豪華な内装、装飾品、美術品や広大な庭園が見所です。
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ヴェルサイユ宮殿の肖像画と彫像-各作品がある部屋もご紹介
ヴェルサイユ宮殿の美術品で特に印象に残るものが王侯貴族の肖像画や彫像、胸像の数々。今回は特に有名なマリー・アントワネット、ルイ14世、ルイ16世、ナポレオンを中心に、作品とその作品が展示されている部屋をご紹介します。
『マリー・アントワネットの胸像』-王妃の大居室
ヴェルサイユ宮殿といえば、ギロチンの露と消えた悲劇の王妃として知られているマリー・アントワネット。彼女の胸像は「王妃の大居室」に展示されています。
「パンが無ければケーキを食べればいい」と言ったといわれるマリー・アントワネットですが、実は慈善活動などにも積極的な王妃だったとも言われています。
とはいえ、当時のフランス国民から最終的には攻撃の的となりました。
『マリー・アントワネットと子どもたち』-グラン・クヴェールの控えの間
こちらはヴィジェ・ルブラン作の『マリー・アントワネットと子どもたち』という作品。マリー・アントワネットはヴィジェ・ルブランの絵が好きで、彼女に自信の肖像画を多く描かせていました。
こちらの作品は自身が生んで早くに亡くなった末の子どもを偲ぶために描かれたとも言われており、ゆりかごの中に赤ちゃんの姿が描かれていないのを見て取れます。
「国民の聖母」というイメージを演出するために描かれた、自身の評判が落ちていく中で「子どもを失った悲劇の母」というイメージで評判回復を狙った、など様々な説があるのですが、個人的には一人の母としてなくなった子どもに思いを馳せていたのではないかなと思います。
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『ルイ14世彫像』-ヴィーナスの間
続いて、ヴェルサイユ宮殿を作り上げた人物、太陽王類14世の彫像。こちらの彫像はヴィーナスの間で鑑賞することができます。
『ルイ14世胸像』-ディアーヌの間
ルイ14世は72年もの間フランス国王として君臨した王で、その在位期間はフランス史上最長だそう。
『ルイ14世肖像画』-アポロンの間
ルイ14世の肖像画といえばこちら。公式の肖像画とされており、イアサント・リゴーによって描かれました。
この肖像画を良く見ると、ルイ14世はハイヒールを履いています。この時代、ハイヒールは男性も履く靴で、美客は足を見せることができた男性の美しさの象徴だったそう。
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『ルイ14世のレリーフ』-戦争の間
こちらは戦争の間にあるルイ14世のレリーフ。ルイ14世が戦争に出ているところがモチーフとなっています。とても凛々しくてかっこいい姿です。
『ルイ14世の胸像』-王の寝室
ルイ14世が亡くなった場所とされる王の寝室にも胸像があります。こちらは少し年を重ねたあとの雰囲気ですが、威厳があります。
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『ルイ16世の肖像画』-アポロンの間
こちらはルイ16世の肖像画。アポロンの間で鑑賞することができます。フランス革命の火付け役となってしまった王ですが、性格は温厚で錠前作りが趣味だったそう。顔の雰囲気も優しそうで、『ベルサイユのばら』に出てくる雰囲気そのままでした。
※ヴェルサイユを知るなら是非『ベルサイユのばら』を読んでみて下さい
『ナポレオンの肖像画』-戴冠式の間
こちらはナポレンの肖像画。
ナポレオンはコルシカ島生まれで父は判事だったそう。その後、フランス国王の座まで上り詰めたのですから、すごいサクセスストーリーです。フランス版の豊臣秀吉という感じでしょうか。
『ナポレオンの戴冠式(ヴェルサイユ版)』-戴冠式の間
ヴェルサイユの戴冠式の間にあるのがこちらの『ナポレオンの戴冠式』。
実はルーブル美術館にも同じ主題の作品があり、オリジナルはルーブルだそうです。こちらの絵は作者ダヴィッド自身による複製。
『ナポレオンの戴冠式(ルーブル版)』-ルーブル美術館
こちらがオリジナルの『ナポレオンの戴冠式』。
こんなにそっくりに描けるなんて、本当にすごいです。是非上のヴェルサイユ版と見比べてみてください。
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『ヴィクトワール・ド・フランスの肖像画』
ヴィクトワール・ド・フランスはフランス王ルイ15世と王妃マリー・レクザンスカの五女。
ヴェルサイユで育った他の年上の兄弟とは異なり、1歳年上の姉アデライードとともに、フォントヴロー修道院で育てられたそうです。ルイ16世のおばに当たります。
『ルイーズ・エリザベート・ド・フランスの肖像画』
フランス王ルイ15世と王妃マリー・レクザンスカの長女として、ヴェルサイユで生まれました。ヴィクトワールの姉です。双子の妹アンリエットがいます。
彼女は、オーストリアの女帝マリア・テレジアの子であるヨーゼフ大公(のちのヨーゼフ2世)に、長女マリア・イザベラをへ嫁がせました。
ヴェルサイユの肖像画群
部屋に拠っては肖像画が沢山飾ってあり、豪華な雰囲気でした。
ヴェルサイユ宮殿の内装や豪華な部屋も素晴らしかったですが、肖像画を楽しむというのも面白いかもしれません。
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ヴェルサイユ宮殿の有名な絵画
肖像画が素晴らしいヴェルサイユですが、他にも有名な絵画があります。
『パリサイ人シモン家の食事』-ヘラクレスの間
ヴェロネーゼ作の『パリサイ人シモン家の食事』は聖書を題材としている作品。
イエスがパリサイ人の家の食事に招かれ、パリサイ人の家に居る時に、その町で一番罪深い女性が現れ、高価な香油が入れてある石膏のつぼの持ってきて、イエスに近寄り、食事の席についていたイエスの頭に香油を注ぎかけた、というお話です。
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『アブキールの戦い』-戴冠の間
『アブキールの戦い』は、ナポレオンが率いるフランス軍が、サイード・ムスタファ・パシャ率いるオスマン帝国軍に勝利を収めた戦いです。
ナポレオンの栄誉を讃えるのに相応しい主題であるといえます。
『シャン・ド・マルスにおける鷲章旗の授与』‐戴冠の間
『シャン・ド・マルスにおける鷲章旗の授与』もダヴィッドが描いた作品。
ナポレオンの戴冠式の3日後、1804年12月5日に、ナポレオンが幼い頃に通っていた士官学校のあった地、パリ市内シャン・ド・マルスの広場で、フランス軍108の連隊及び国家警備隊へ、勝利と皇帝ナポレオン自身を象徴する鷲の旗章が入った軍旗を授与した場面を描いた作品です。
終わりに
ヴェルサイユ宮殿で鑑賞できる絵画と彫像、如何だったでしょうか。
ヴェルサイユ宮殿自体もとても美しく、豪華絢爛で、見ごたえたっぷりなのですが、是非、飾られている絵画や彫像も楽しんでみてください。
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