ヴェルサイユ宮殿では煌びやかな内装や美しい美術品、目も眩むほど豪華な部屋の数々を堪能することができるのですが、広大な庭園も見所の一つです。
この記事ではヴェルサイユ宮殿の庭園をご紹介します。
- ヴェルサイユ宮殿の庭園紹介-泉や風景など世界遺産を余すことなく楽しむ
- ラトナの泉水-ヴェルサイユ庭園一番の見所
- アポロンの泉水-太陽神の泉
- バッカスの泉水-酒の神の泉
- サトゥルヌスの泉水-農耕の神
- 名前が分からない泉水たち
- 水の庭園
- ヴェルサイユ宮殿とゼウス像
- ヴェルサイユ庭園の景色
- ヴェルサイユ庭園の並木道
- ヴェルサイユ庭園 列柱廊
- ヴェルサイユ庭園ではこまめに休憩を
- 終わりに
ヴェルサイユ宮殿の庭園紹介-泉や風景など世界遺産を余すことなく楽しむ
ヴェルサイユの庭園は、ルイ14世の統治下でヴェルサイユ宮殿建設と同時期に作られました。設計は造園家アンドレ・ル・ノートル。彫刻や噴水の図案には、宮廷画家でヴェルサイユ宮殿の内装も手掛けたル・ブランも携わりました。
ヴェルサイユ宮殿の庭園では、美しい泉水や素晴らしい風景、心地よい並木道に出会うことができます。
ラトナの泉水-ヴェルサイユ庭園一番の見所
ヴェルサイユの庭園で一番の見所といえるのが、ラトナの泉水です。
ラトナというのはギリシャ神話の女神レトのこと。ローマ神話ではラトナと呼ばれます。ラトナは太陽神アポロンと月の女神アルテミスの母です。
太陽王と呼ばれたルイ14世の公式の肖像画がアポロンの間に飾られているところを考えても、ルイ14世がラトナの泉を作らせたということは当然だったのかもしれません。
ラトナの泉水は、先代の国王ルイ13世統治下で、国王が狩猟の館の庭に掘らせた楕円形の池が起源だそう。
太陽王ルイ14世は自分の治世に狩猟の館をヴェルサイユ宮殿へと改修し、楕円形の池をラトナの泉水に作り変えたのです。
アポロンの泉水-太陽神の泉
アポロンは本来は芸術の神でしたが、のちに太陽神としての神格化されました。詩歌や音楽などの芸能・芸術の神として名高いアポロンですが、羊飼いの守護神でもあります。
トロイアの王女であるカッサンドラ(パリスの姉)に一目惚れしたアポロンは、予言の能力を与える代わりに自分を受け入れることを求めます。
カッサンドラはそれを受け入れるのですが、予言の能力を得た瞬間、アポロンから弄ばれたあと捨てられることを予言。そのまま逃げてしまいました。アポロンは怒り、カッサンドラの予言を誰も信じなくなる呪いをかけたのです。
その後パリスの審判を経てトロイアにギリシャ兵が攻め込み、トロイア戦争が始まります。戦争が長引く中、ある日トロイアの城の前からギリシャ兵が一人も居なくなっており、代わりに大きな木馬が置いてありました。
トロイア軍は戦利品だと浮き足立ち、木馬を城に引き入れたのですが、そこでカッサンドラが「木馬の中にギリシャ兵が潜んでいる、木馬を引き入れたらトロイアは滅亡する」と予言。しかし、アポロンの呪いにより誰もカッサンドラの言うことを信じません。
トロイア軍は木馬を引き入れ、その晩、木馬の中に潜んでいたギリシャ兵に門を開けられ、そこに攻め込んだギリシャ兵の大群によってトロイアは滅亡してしまったのです。
※パリスの審判はこちら
バッカスの泉水-酒の神の泉
バッカスはギリシャ神話の酒の神ディオニュソスのローマ名。ディオニュソスはゼウスの愛人である人間の女性セメレーの子。
ゼウスには本妻のヘラが居るのですが、ゼウスが浮気ばかりするのでヘラはいつもご立腹なのです(当たり前ですが)。
セメレーにも腹を立てたヘラは彼女を唆してゼウスが神の姿でセメレーの前に現れるようにセメレーからゼウスに懇願させます。ゼウスはそれに応じて降り立つのですが、雷の杖を見た瞬間焼け死んでしまいます。
哀れに思ったゼウスはヘルメスにセメレーのお腹から子どもを取り上げさせ、臨月まで自分の太ももで育て、生まれたのがディオニュソスです。
※ギリシャ神話に出てくるの神様の一覧はこちら
サトゥルヌスの泉水-農耕の神
サトゥルヌス(サタン)は農耕の神でギリシャ神話ではクロノスといいます。
ゴヤ作の『我が子を食らうサトゥルヌス』で有名な神様。ハデス、ポセイドン、ゼウスおよびヘラ、ヘスティア、デメテルの父です。
クロノスはウラノスとガイアという原始の神の子どもで父王ウラノスを追放して王になります。しかしクロノスは、父同様自分の子にその権力を奪われるという予言を受けたため、子どもが生まれると飲み込んでしまいました(ヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンの順)。
しかし、最後に生まれたゼウスは、クロノスの妻(ゼウスの母)レアによって匿われ、クロノスは代わりに石を飲み込まされてしまいます。
クレタ島で育ったゼウスは、クロノスの前に現れます。
ある日、ゼウスはクロノスに神酒ネクタルを飲ませます。すると、ゼウスの兄弟が飲み込んだときとは逆の順にクロノスに吐き出されました。
その後、兄弟は力を合わせて、クロノスを倒したのです。
ちなみに吐き出される時に、飲み込まれた順(生まれた順)の逆に吐かれたので、兄弟の順序が逆になり、ゼウスが最高神になりました。
※ギリシャ神話のあらすじはこちら
名前が分からない泉水たち
ヴェルサイユの庭園には他にも沢山泉があるのですが、残念ながら名前が分かりません。ただ、どの泉もとても美しかったのを良く覚えています。
水の庭園
水の庭園もヴェルサイユ庭園では絶対見たいところ。宮殿から近く宮殿の上から見ることもできるので、時間が無い場合でも是非こちらを見て帰ってくださいね。
幾何学模様と水の美しい光景に感動すること間違い無しです。
ヴェルサイユ宮殿とゼウス像
ヴェルサイユの美しい姿に感動してしまいました。
ちなみにゼウスには沢山のエピソードがあるのですが、主に浮気していつも妻ヘラに怒られている、若しくは浮気相手がヘラに攻撃されているイメージです。
全知全能なのにとても人間味がある神様で、彼の奔放さが西洋人の芸術家魂に火をつけ、様々な芸術品が誕生しました。
※ギリシャ神話のあらすじを知るためにおすすめな本はこちら
ヴェルサイユ庭園の景色
ヴェルサイユ庭園といえばこの景色。美しすぎて言葉がありません。こちらは宮殿付近からラトナの泉水を眺めた景色です。
庭園の一番奥から宮殿を見た風景。ヴェルサイユは広くて、ここまで来るのに1-2時間歩きました。
ヴェルサイユ宮殿前の花壇ではこんな写真を撮ることができました。
ヴェルサイユ庭園の並木道
並木道も美しいのです。
こんな道を馬で駆けたら気持ち良いだろうなと馬に乗れませんが思いました。昔の貴族たちはこんなところを乗馬で散策していたのかな。
ヴェルサイユ庭園 列柱廊
こちらは列柱廊。直径32m、32本の柱、32本の付け柱と連結し、上には32の壺が乗っているそうです。
真ん中の像は「プルトンに連れ去られるプロセルピナ」。プルトンはギリシャ名はハデス、プロセピナはペルセポネといいます。
ペルセポネはゼウスと豊穣の神デメテルの娘。ある日ペルセポネが花を摘んでいると、冥界の王ハデスが彼女を冥界へ連れ去ってしまいます。
怒った母デメテルは大地に実りを与えるのを止め、世界は混沌の中へ。困ったゼウスがヘルメスを冥界に送り、ハデスを説得。ペルセポネは天上界に帰ってきます。
一方で、ペルセポネは冥界で空腹に耐え切れずザクロを1/3だけ食べてしまいます。冥界のものを食べたものは冥界に属するのが掟であり、それ以降、ペルセポネは1年の1/3を冥界で過ごすことになりました。
ペルセポネが冥界にいる間、母デメテルは地上に実りを与えるのをやめ、この時から地上に四季ができたのです。
※ギリシャ神話をもっと知りたいときはこちら
ヴェルサイユ庭園ではこまめに休憩を
ヴェルサイユ庭園は広いので、こまめに休憩をとりながら散策するのがおすすめ。道には売店もあったり、レストランもあるのですが、できればお水を持参してください。
歩くのが大変かなと思うときには電車を使うのも良いかなと思います。
終わりに
今回はヴェルサイユ宮殿の庭園をご紹介しました。
美しい泉水や景色をヴェルサイユ庭園では堪能することができます。そして、とても広い庭園ですので、庭園をゆっくり見たいというときには、2-3時間はとっておくといいと思います。宮殿も広いので、是非1日観光の予定でヴェルサイユまで足を運んでみてください。
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※ヴェルサイユ宮殿の天井画と調度品はこちら