海外では犯罪が日本にいるときよりも身近に存在します。
この記事では海外旅行中に犯罪に遭ったときに対処法をご紹介します。
- 海外旅行中に盗難に遭った時の対処法-海外で無一文になった経験談とまとめ
- 盗難にあった経緯
- ケチャップ強盗
- 対処法は『地球の歩き方』に
- 日本領事館への電話-まさかの日曜休日
- 警察は助けてくれない-盗難被害証明書発行のみ
- 日本に電話-アルゼンチン総領事が助けに来てくださった
- 日本人宿-上野山荘 ブエノス別館
- 月曜に日本領事館へ-帰国のための渡航証明書発行
- 闇取引所で換金-暗い密室での換金作業
- 首都にいたのがせめてもの救い
- 助けてくださった方々全てに感謝
- 今思い返してもよく帰れたな…(対処法まとめ)
海外旅行中に盗難に遭った時の対処法-海外で無一文になった経験談とまとめ
海外旅行中に盗難に遭ってしまったら目の前が真っ暗になり不安に押しつぶされそうになります。
実は私もアルゼンチン旅行中に盗難にあったことがあります。
財布(お金全て、クレジットカード全て)、パスポート、携帯、カメラを盗られ、ホテルに泊まることさえ出来なくなってしまいました。
目の前が真っ白になり、唖然、呆然。
最終的には無事日本に帰国できたのですが、この記事では、海外で盗難に遭ったときに対処法をご紹介したいと思います。
盗難にあった経緯
私はアルゼンチンで盗難に遭ったのですが、理由は、気が緩んでいたから。
ここで、私が身包み剥がされるまでの2時間で犯した間違いを4つ紹介します。
過ち①貴重品を纏めてしまう痛恨のミス
盗まれた当日、私は南米のウルグアイから船でアルゼンチンのブエノスアイレスに渡りました。とても安全な国ウルグアイで気が抜けていたのでしょう。また、ブエノスアイレスに入ったら直ぐにホテルに行く予定で、しかも1年間の放浪生活最後の都市への訪問でもありました。
何故かこの船の中で、これまで分散して隠し持っていたお金やカードを一纏めにし、斜めがけ鞄に纏めてしまったのです。これが一番のミス。海外旅行では絶対にパスポート、お金、財布、カードなどの貴重品は分散して持たなければなりません。それをどうしてか分からないのですが、船で全て1つの鞄にまとめてしまったのです。
過ち②バックパックを担いで徒歩で移動
無事ブエノスアイレスに到着。大きなバックパックを持って船着場から町にでました。船着場の目の前にはタクシーが列を成しています。
「タクシーで行こうかなー、けどお金もったいないから徒歩にしよ。30分くらいだし」
この決断が後に悲劇を引き起こすことになろうとは思ってもいませんでした。
過ち③綺麗な町並みを写真に
徒歩でホテルまで行くことにした当時の私は、何故だか大きなバックパックを背負いながら、船着場から直ぐ近くの教会の写真を撮ろうとカメラを取り出したのです。
何故、こんなことをしたのでしょうか…普段なら絶対にホテルに着くまではカメラなんか取り出さないのに…
そんなこんなで一生懸命写真を撮っていたら、かけられました、緑色の液体。すごい悪臭で劇薬かと思いました。
過ち④優しそうな人、少し話すか
緑色の液体をかけられたあと、にこやかに近づいてくる人がいます。優しそうな悪い人。普段なら声をかけてくる人は無視するのですが、疲れていたからか、気が緩んでいたからかなぜか談笑してしまう始末。
その隙に①で貴重品を纏めたバックを持っていかれていました。その時間わずか5秒。一瞬のうちに犯人は走り去っていました。
ケチャップ強盗
私が被害にあった強盗の方法はケチャップ強盗といいます。ヨーロッパだと本当にケチャップらしいのですが、南米ではアイスクリームだったり、緑色の液体だったりします。
かなり普及している犯行手口で、ブラジルでも一度ケチャップ強盗に会いました。その時はアイスをかけられ、ブラジル人のお兄さんが「何かついてるよ」と声をかけてきました。このお兄さんが犯人グループの一員です。下手に刺激してはまずいので、「Nao Obrigado(いや、いいです、ありがとう)」といいながら近くのお店に入りました。お店まで着いてきましたが、ずっとトイレにこもっていたらあきらめて帰って行きました。
アルゼンチンでは完全に気が緩んでいたのと、緑色の液体から発せられる悪臭にうろたえたのが原因で、まんまと騙されてしまったのです。
対処法は『地球の歩き方』に
一文無しになった20代前半の私ですが、幸いなことにバックパックは盗まれていませんでした。
盗られた瞬間唖然としたものの、意外と冷静で、10秒後にはバックパックから地球の歩き方を取り出していました。
地球の歩き方は一人旅には欠かすことのできない旅のお供。この本の後ろのほうのページには、犯罪にあったときの対処法が記載してあります。まず、この本に書いてあった、日本領事館への電話を実施しました。
日本領事館への電話-まさかの日曜休日
私も地球の歩き方に倣って犯罪あって直ぐに日本領事館へ電話しました。
幸いなことにアルゼンチンの領事館はブエノスアイレスにあります。電話をしたところ、なんと!「日曜日休み」で誰も出ませんでした…
警察は助けてくれない-盗難被害証明書発行のみ
続いて警察へ行きました。
警察署に行くと「そこはうちの管轄じゃない」と3箇所くらいたらいまわしに… 2時間歩き回りました。アルゼンチンは最低の警察(2011年現在の話です)。 この2時間の間に段々と辺りが暗くなり、「日本に帰れるのかな」と不安な気持ちに押しつぶされそうになりました。
最後に行った警察署には、犯罪にあった地元の方々が並んでおり、私も並びました。1時間くらい経って呼ばれたのですが、「どこで盗られたの?」「なに盗られたの?」と効かれ、盗難被害証明書を発行してくれただけ。
あれだけたらい回しにされて、1時間も待たされてこの対応!!! 怒りが頂点に上り怒鳴りました。
「泊まる場所も、お金も、パスポートも、携帯も、何もないって言ってるじゃん!!!それだけしか対応してくれないの!!?? 本当に困ってるんだよ!!!」
分かっています。海外で犯罪に会うのは、注意していなかった被害者の責任だって… しかも今後の手続きに盗難被害証明書は必須だということも…
分かってはいるのですが、パリでは路上宿泊できてもアルゼンチンではできません!!危すぎるのです…
※パリで路上宿泊した話はこちら
ホームレス in パリ-フランス パリ旅行記 (2011/04) - すみくにぼちぼち日記
警察署でスペイン語で怒鳴り、わめき散らしていたら、同じように犯罪にあったアルゼンチンマダムに声をかけていただきました。
「Esta bien? Si quiere, puede usar mi celular, llame a Japon」
天使の様に思えました。なんと、心配して「大丈夫?この電話で日本に電話してごらん?」と携帯を貸してくださったのです。
「でも国際電話でお金かかるのに、電話代出せないんです…」と言ったのですが、「大丈夫、お金は良いから、これでかけて」と電話を貸してくださいました。どれだけ感謝しても足りないくらい、有り難いお言葉でした。命の恩人です。
日本に電話-アルゼンチン総領事が助けに来てくださった
さて、お借りした電話で日本へ電話。日本のアルゼンチン大使館にかけた覚えがあります。アルゼンチン大使館からブエノスアイレスの植松総領事へ連絡してくださり、なんと、休暇中の植松総領事が、警察署まで助けに来てくださったのです。日本人に会うことができて、しかもわざわざ助けに来てくださって、ほっとしたと同時に感激して涙が出てきました。
クレジットカードの停止依頼
なお、日本に電話した時にはクレジットカードの停止を実施してください。
これを連絡することで、犯罪組織が支払った代金は支払う必要がなくなることがありますし、被害の拡大も防ぐことができます。
日本人宿-上野山荘 ブエノス別館
植松総領事が、そのまま車でブエノスアイレスの上野山荘 ブエノス別館を予約してくださり、お金5万円くらい?をアルゼンチンペソで持たせてくれて、上野山荘さんまで送り届けてくれました。
上野山荘さんは事情を聞くと、満室なのに私のために場所を空けてくださって、とても親切に迎えてくださいました。
上野山荘 ブエノス別館 (Uenosanso Buenos Bekkan) -アルゼンチン-【 口コミ・宿泊予約 】- トリップアドバイザー
ご飯なども出してくれて、ものすごく落ち込んでいる私に優しく声をかけてくれて…宿泊していた他の日本人の方々もとても親切にしてくださったことを良く覚えています。
月曜に日本領事館へ-帰国のための渡航証明書発行
上野山荘から日本の両親へ連絡を取りました。既に植松総領事から家に電話が入っていたみたいで、とても心配されましたが、命が無事でよかったと言われました。
そのまま丁度大学の先輩たちとブエノスアイレスを旅行することになっていたので、フェイスブックで連絡を取ってもらい、アルゼンチンに住んでいるアルゼンチン人の友人にも連絡を取り、翌日4人で日本領事館へ。
警察から発行してもらった盗難被害証明書を基に、「帰国のための渡航証明書」を発行してもらいました。私はあと2日で帰国する予定だったので、時間が無く、この証明書を発行してもらいましたが、時間に余裕があればパスポートの再発行も領事館で可能です。
闇取引所で換金-暗い密室での換金作業
もろもろの諸費用として父に20万円を送金してもらいました。当時はアルゼンチン経済の影響で特別な銀行しか送金できなかったので、送金手続きも大変だったと聞いています。
その後、使い切れなかったアルゼンチンペソをドルに換金したかったのですが、換金しに行くと、「アルゼンチン国内で交換したペソでないとドルへ両替できない」と言われました。
これは、アメリカドルがアルゼンチンから国外へ流出しないようにするという政策なのですが、その政策の影響で送金してもらったペソは銀行でドルへの換金ができません。
そこで利用したのが、道端で闇換金を行っているお兄ちゃんたちでした。声をかけると結構良いレートでアルゼンチンペソからアメリカドルへ換金してくれるのですが、グレーな商売(警察も取り締まらない)ですので、建物の一室に連れて行かれて、屈強なアルゼンチン人に取り囲まれて、生きた心地がしませんでした。
そんなこんなで無事換金を終え、翌日タクシーで空港に向かい、日本に帰ることができました。
首都にいたのがせめてもの救い
とても貴重な経験となったこの出来事ですが、一つ救いだったことが、日本領事館があるブエノスアイレスで被害にあったというところ。もしこれが別の町だったとしたら、お金が無いので交通機関も使えず、日本人に頼ることもできず、本当に何もできないところでした。
助けてくださった方々全てに感謝
今こうしてメキシコで元気に働いているのも、メキシコに来る前に南米で働けたのも、全てあの時アルゼンチンで助けてくださった皆様のお陰です。
電話を貸してくださったアルゼンチン人のご婦人、対応してくださった警察(上のほうで悪口書いてすみません)、植松総領事、上野山荘ブエノス別館でお世話になった皆様、大学の2人の先輩方、アルゼンチン人の友人、両親、皆様、本当にありがとうございました。
今思い返してもよく帰れたな…(対処法まとめ)
今回は旅先のアルゼンチンで盗難に会い、無一文になった時の体験談をご紹介しました。簡単にまとめを書くと、下記の通りです。
①日本領事館へ電話/訪問(休みであれば日本の○○国大使館)
②警察署で盗難被害証明書を発行
③日本領事館でパスポートの再発行
④財布を盗まれた場合にはクレジットカード会社に連絡し停止
の4つを実施してください。
⑤お金がない場合には、日本の親族へ連絡し、お金を送金してもらう
⑥宿がない場合には地球の歩き方などで日本人宿を探し、助けを求めてみてください。
今思い出してみても、人生最大の危機だったように思います。助けてくださった皆様には、今改めて御礼申し上げたいと思います。
※尚、アルゼンチン滞在一日目に宿泊予定だったお宿には突然のキャンセルでご迷惑をおかけしましたので、しっかりとキャンセル料及び宿泊料を領事館へ手続きに行った日に支払いに行きました。
また、植松総領事にお借りしたお金は帰国のための渡航証明書手続き時に、上野山荘の宿泊代はお金が送金されてすぐ、先輩にお借りした日本国内の新幹線代2万円は先輩の卒業式でしっかりお返ししました。