メキシコのバヒオ地区には多くの日系メーカーが工場を構えており、特にグアナファト州はメキシコの中でも特に日本人が多く住む州です。
そのグアナファト州の自動車の町セラヤ市が、2021年版世界で最も危険な街トップ10 (10 most violent cities in the world)の1位となりました。
このランキングのトップ10の内7都市がメキシコの都市ということで、この記事では、メキシコが実際にどのくらい危険なのか、安全確保のためにどのように注意すれべ良いのかをご紹介します。
メキシコのセラヤが世界で一番危険な街に-2021年ランキングトップ10の内7都市がメキシコ
メキシコはもともと治安が悪いと有名な国なのですが、これまで日系企業が集積するグアナファト州は比較的安全な街として知られてきました。
グアナファト州には多くの日系メーカーがあり、サラマンカ市にマツダ、セラヤ市にホンダ、アパセオグランデ市にトヨタの工場があり、シラオ市にはGMとVWが工場を構えています。
また、グアナファト州の隣のアグアスカリエンテス州には日産、サンルイスポトシ州にBMWがあるなど、自動車産業の集積地です。
そんなグアナファト州ですが、昨今治安が急激に悪化しており、ホンダが工場を持つセラヤ市が世界で一番治安の悪い街となってしまったのです。
ランキングの詳細
このランキングは 「the Citizen Council for Public Safety and Criminal Justice」という団体が発表したランキングで、トップ10の内7都市がメキシコの都市です。
1:セラヤ(メキシコ グアナファト州)
2:ティファナ(メキシコ バハカリフォルニア州)
3:シウダー・フアレス(メキシコ チワワ州)
4:シウダー・オレゴン(メキシコ ソノラ州)
5:イラプアト(メキシコ グアナファト州)
6:エンセナーダ(メキシコ バハカリフォルニア州)
7:セント・ルイス(アメリカ ミズーリ州)
8:ウルアパン(メキシコ ミチョアカン州)
9:フェイラ・デ・サンタナ(ブラジル バイーア州)
10:ケープタウン(南アフリカ 西ケープ州)
※参照ホームページ
Seven of the top ten most violent cities in the world are in Mexico
訪問時に注意していること
メキシコはとても危険な国ということがランキングからもよくわかりますが、年間殺人件数を見てもその危険度がよくわかります。
2019年にメキシコは過去ワーストの殺人件数となり、年間3万4582件でした。2020年は上半期までに2019年の件数を超えているという情報もあり、正確な数値は見つけることができなかったのですが、この3万4582件を上回った可能性も高いです。
ちなみに日本の殺人件数は2019年で950件。
つまり、10日で日本の1年分の殺人事件が発生している国がメキシコだと言えます。
ここからはそれぞれの町訪問時に注意している点をご紹介します。
※2019年のメキシコの殺人件数についてはこちらを参照
メキシコ、昨年の殺人件数は3万4582件 過去最多に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
セラヤ
セラヤはグアナファト州にあり、ホンダが工場を構えており、大きな企業もたくさん存在する町。マフィアの抗争が続いており、一般人の被害も多いです。
日本の車が走っていると狙われる可能性が高く、実際に多くの日本人がセラヤで被害にあっています。
冒頭に掲載した写真は実際に私が見た光景。セラヤ市の高速道路でマフィアが警察への報復行為として、一般の車両を襲撃し、火を放ち、路上に放置したもの。これは2019年に撮った写真ですが、この当時は類似の事件の発生現場に2度遭遇しました。特にこの時は消化活動が始まる前ということで、私が通る少し前に起こった事件だと思います。2回目はすでに警察が来ており通行止めによる渋滞で5-6時間(夜10時くらいまで)高速道路上で立ち往生しました。
そんなセラヤについては、基本的には訪問禁止措置をとっており、用がない場合には絶対に近づかないよう、会社でも細心の注意を払っています。
一方でメキシコで仕事をする上では避けることができない町というのも事実です。訪問するときは必ず2人で行動、車は古い車を使用し、訪問先の企業以外の立ち寄りは禁止。コンビニやレストランの利用も禁止。訪問が済んだらすぐに町から離れるようにする、必ず朝に訪問し、昼には帰社する、といったルールを設けています。
基本的には近寄らないことが一番の自衛手段です。どうしても行く必要がある場合は注意して行動するように心がけることが大切です。
ティファナ
アメリカとの国境の町でかなり栄えており、観光都市でもあります。
仕事で訪れることもあります。訪問は禁止はしていませんが、必ず2人で行動、現地では現地に詳しい人が同行して行動することを徹底しています。
日系企業も多いのですが、国境を挟んで向かい側にあるサンディエゴに住み、車で毎日国境を越えてティファナに通勤する方もいらっしゃるそうです。
尚、観光地であるアメリカとの国境沿いに有る通りは基本的にかなり賑わっているので、安全に観光ができます。ただ、身の回りの注意は必要です。
※ティファナの観光記事はこちら
シウダー・フアレス
この町も仕事で行くことがあります。チワワ州第一の都市であるシウダー・フアレスですが、基本的にチワワ州全域で2人行動を義務付けています。
行動は現地に詳しい人と一緒に行動し、夜の外出はもちろんNG。
メキシコでは夜は家にやホテルにいることが基本です。
私は安全だと言われている町に住んでいますが、夕方を過ぎたら家から出ませんし、出張帰りなどで帰りが遅くなると、車を運転しながら、いつ襲われるか分からないと、ものすごく心臓が高鳴ります。それくらい緊張してしまう国なのです。
実際に私の住む町でも日本人が夜出歩いていて誘拐されたり、強盗にあったりする事件が後を絶ちません。
自分の身は自分で守るしかないので、暗くなったら外に出ないようにしましょう。
シウダー・オレゴン
アメリカとの国境にあるソノラ州の町。
行ったことが無く、仕事で行くこともありません。工業都市ではないため、日本人が近づくことはないと思いますが、旅行などは避けるのがベストです。
イラプアト
日本人学校もあり、マツダの工場があるサラマンカのお隣の町なので、日本人が多く住む町です。
日本人が住む地域は安全な地域ですが、夜の外出は厳禁。
仕事で街中に行くことも少ないと思いますが注意が必要です。
基本的には穏やかな街ですが、危険な場所も多いので、むやみに出歩かないことが大切です。
エンセナーダ
漁業の町で日本人が行くことはまずないと思いますが、できるだけ行かないのがベスト。行く場合は夜の外出は避け、極力外を歩かないようにしましょう。
ウルアパン
危ないと有名なミチョアカン州の町。
ミチョアカン州は以前は訪問禁止としていましたが、だんだんと治安が落ち着いてきているので、最近は2人での訪問の場合に限り、必要に応じて訪問するようにしています。
ただし、ウルアパンは訪問禁止です。ミチョアカン州でも安全が確保できる場所のみ訪問をしています。
日系企業はないのですが、観光スポットが多く、日本人が観光で訪れることも多いです。
ミチョアカン州は自然豊かで湖や緑がとても美しいのですが、山あいは視界が悪く、山賊が多く潜んでいます。暗くなったら外出や町から町への移動は避け、くれぐれも気を付けて行動することが大切です。
外務省の安全ホームページ
2021年4月22日現在の外務省の安全ホームページの危険度はこの絵の通り。
この情報ではセラヤ市は黄色のレベル1の危険度となっていますが、今メキシコで最も危険な街と言っても過言ではないくらい危険な街です。
ティファナ市やシウダー・フアレス市のお客さんなどからも「セラヤは危ない」と言われるほど、メキシコ人も危険だと思っています。
仕事でどうしても訪問しなければならない場合を除いては訪問しないようにするのがベストかなと思います。
※メキシコで注意すべきことはこちら
終わりに
この記事では、メキシコの7都市が世界で危険な町としてトップ10にランクインしてしまったこと、また、それぞれの町を訪れる際の対応策をご紹介しました。
メキシコでは今回ご紹介した都市以外の都市でも気を抜いていると犯罪にあってしまう可能性が十分にありますので、メキシコに住む、メキシコを訪れるという場合には、気をつけて過ごすようにすると良いかなと思います。
特に夕方以降は犯罪が増加しますので、暗くなったら家やホテルから出ないということを徹底し、身の安全を確保するのがお勧めです。
※メキシコのバヒオ地区の紹介はこちら