大学生になると論文を書く機会があります。
一方で、いざ論文を書こうと思っても、どのように書けば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では論文の書き方を解説します。
- 大学生 論文の書き方-論文の基礎とは
- テーマ決め
- 先行研究のレビュー
- 論文の構成(章立て)
- 事例研究と統計的研究の違い
- 論文執筆時の注意点
- 論文執筆で参考になる本紹介
- リフレッシュにはオンラインの習い事がおすすめ
- 終わりに
大学生 論文の書き方-論文の基礎とは
大学生になると、論文を執筆する機会が多くあります。卒業論文はもちろんのこと、ゼミの活動や普段の活動で論文を書くということも。
そんなときに知っておきたいのが論文の書き方です。
論文を書く場合に始めに行うことはテーマ決めです。最初はなんとなくでも良いのでテーマを考え、テーマに沿った文献の収集と先行研究(文献を読む)を行います。
書くことが纏まってきたら構成(章立て)を考え、論文の執筆開始となります。
論文を書くときの研究方法として大きく「事例研究」と「統計学的研究」があり、初めの内は事例研究を行うのがおすすめです。
テーマ決め
論文を書くときのはじめの一歩が「テーマ決め」。
先ずは自分が興味のあることやこれまで学んで楽しいと思ったことからテーマを選定します。
テーマを選んだら、そのテーマに沿って先行研究や文献を集めることとなります。
このテーマは始めはあまりしっかりとしたものでなくてもよく、まずはどんな文献を集めるかという視点でテーマを選定するといいです。
先行研究を進めるうちに、自分の中でテーマが具体的なものになっていくので、その時にしっかりとした題名を決めると良いと思います。
例えば最初は「発展途上国の貧困」というテーマを考えて、研究を進めていくうちに「ウルグアイの左派政権による貧困政策とその評価」といった具体的なテーマとなっていくイメージです。
ちなみに、この「ウルグアイの左派政権による貧困政策とその評価」は私の大学の卒論のテーマ。このテーマの雰囲気は下の記事のような感じです。
※卒論のテーマの決め方の詳しい説明はこちら
先行研究のレビュー
テーマが決まったらテーマに沿った文献や論文を集めて先行研究のレビューを行います。
論文と言うのは「巨人の肩の上に立つ」作業だと言われています。
意味合いとしては、先人たちが行ってきた巨人のように膨大な研究と理論をレビューし、その上に少しだけ自分の研究成果を追加する、というものです。
新しい新理論を打ち立てるというのは、一流研究者でも難しく、それこそノーベル賞級の研究を行って初めて実現できるものです。
ですから、論文は「既に膨大に研究されているものに自分の理論を少し上乗せする」という気持ちで先行研究のレビューを行いましょう。
言い換えると、先行研究のレビューの良し悪しが論文の良し悪しを左右するということでもあるので、先行研究のレビューをじっくりと行うのが論文執筆の鍵となります。
先行研究リストを作成する
先行研究を行っている際に意識したいのが、先行研究リストを作成すること。
論文の最後には参考文献を一覧化することが必要なため、先行研究を集めるの時点でリストを作っておくと後で時間をかけて情報を探す必要がなくなるのでおすすめ。
また、本の概要をまとめておくことで、論文執筆時に参照し易くなります。
・本や論文の場合、「本のタイトル、著者、出版社、発行年月日、本の概要」
・ホームページの場合、「HPのタイトル、URL、閲覧年月日、HPの内容」
をExcelやWordを使って一覧化しておきましょう。
※先行研究の集め方についてはこちらをご参照ください
論文の構成(章立て)
テーマを考え、先行研究がある程度進み論文の全体図が見えてきたら、論文の構成(章立て)を考えます。
論文の構成は4部構成(はじめに+3章)で考えると良いと思います。また、章・節・項という構成が基本で、「章」の中に「節」が、「節」の中に「項」という更に小さな見出しをつけていくイメージです。
この記事では、一番大きな「章」の編成方法を詳しく説明していきます。
題名
①はじめに(序論・問題提起など)
②第一章( 先行研究と分析視座)
③第二章(本論・自分の研究のメイン)
④第三章(結論)
という4部の構成を土台として、分量が多ければ第二章の本論を2つに割って四章(5部)編成とするなど、工夫することも可能です。
各章には必要に応じて「節」を、各節には「項」という更に小さな見出しをつけます。
題名
私の場合、題名は最後に最終的な題名をつけていましたが、仮の題名は最初からつけて取り組んでいました。
はじめの段階で仮題名をつけることで、論点がぼやけるのを避けることができます。
また、「一考察」のようなタイトルは避け、題名は一目で何を書いているのかが分かる題名とするのが望ましいです。
はじめに-序論・問題提起・研究方法
題名の次に来るのが「はじめに」。問題提起をする章です。問題提起は自分がテーマとした内容について、どういう問題意識を持ってそのテーマとしたのかを説明します。
それを踏まえた上でどのような手法を用いて分析するのか、誰の理論を元に分析するのかと言った研究方法を書きます。
第一章-先行研究の分析
続いて第一章では自分の持った問題意識について書かれている先行研究を参照し、先行研究の理論や主張を深めます。
また、先行研究を踏まえてその問題に対して自分はどのようなアプローチを採るのかという分析視座を記述します。
第二章-本論(事実に基づいた自分の分析)
先行研究の主張をサポートする、もしくは反対の見解を提示するために、様々なデータや事例を使って事実に基づいた分析を行います。
この章では、自分の問題意識、先行研究の主張、実際のデータや事例研究、と論理を展開し、客観的な分析を行うことが大切です。
また、その分析を誰が行ったのかを明確に記すことがとても大切です。自分でインタビューやアンケート調査を行った結果なのか、データバンクなどのデータなのか、第三者が著書や論文で展開している主張なのかをしっかりと分けて自分の分析を行います。
第三章-結論・自分の考察・今後への課題
はじめにで問題意識、第一章で先行研究のレビュー、第二章で事実の分析を終えたら、第三章ではこれまでの分析を踏まえて結論を導き出します。
また、結論へは自分の考察を入れ込んでも良いですが、あくまで客観的データを踏まえての考察としてください。
また、最後に今後への課題を記すのもいいかと思います。
参考文献
そして最後に参考文献リストを大学の要綱に沿って作成します。
※見出しと目次の解説と作り方はこちら
事例研究と統計的研究の違い
論文の書き方が分かったところで、論文の主な分析方法である事例研究と統計的研究の違いを簡単にご紹介します。
事例研究とは
事例研究と言うのはその名の通り、実際にある事例を研究して、現在ある理論などが正しいのかどうかを検証する研究方法です。
上記でご紹介した私の研究もこの事例研究です。
事例と言うのはある特定の集団や固体などを指し(全国調査ではなく、○○高校の例など)、その集団で起こることの背景(コンテクスト)を観察することができるのが特徴です。
例えば、統計で「日本では中部地方で赤味噌を良く食べる」という結果が得られたとしても、では何故赤味噌なのかというところを解き明かすのが難しいです。
一方で事例研究だと、赤味噌を食べる地域の歴史や風土などその背景にまで焦点を当てて、分析することができます。
論文では基本的に事例研究を行うのがおすすめ。次で紹介する統計的研究はサンプルを集めるのが難しいですし、お金も必要となります。
事例研究では「○○という理論があるが、Aという事例を調べたら○○´の存在があることがわかった」などといった具合に理論を展開することができます。
※事例研究の詳しいやり方はこちら
統計的研究とは
統計的研究と言うのは、無作為に隔たりの無いサンプルを集めて統計的な手法を用いて分析する研究方法です。
広く当てはまる傾向などを調べるときに使われる手法で、ある事象がどの程度一般的なのかを考えるときなどに役に立ちます。
一方で、その事象が発生する因果関係(原因や理由)までを解き明かすことができないという欠点があると共に調査に膨大な費用が発生したり、隔たりの無いサンプルを集めるのが難しいと言う欠点があります。
論文執筆時の注意点
論文を執筆する際には気をつけなければならない点がいくつかあります。
・剽窃(コピペ)は厳禁
まず、コピペは厳禁です。例え審査に通ったとしても、剽窃だと判明した時点でその論文は無効となります。自分の文章と他者の文章を明確に区別して執筆しましょう。
・引用・参考文献
剽窃は禁止なのですが、引用と言う形で紹介することはOKです。また、「○○さんはこういう意見です」という形で参照することも可。
引用や参照を行った場合には引用元や参照元をしっかりと明記することが必要です。
・である調で執筆する
論文はである調で執筆します。
・ルールに則る
論文の細かなルールは論文の提出先が設定しているルールに則ることが大切。
文字数やフォントなども厳しく指定されますし、引用・参考文献の書き方も大学が定めているので必ず確認しましょう。
・提出期限前に余裕を持って提出する
論文は提出期限が大切。時間に余裕を持った提出を行うようにしましょう。
論文執筆で参考になる本紹介
最後に、大学で研究する際に参考となる本『原因を推論する』をご紹介。
この本は私が大学院に入学して所属したゼミで読んだ本で、直接論文の書き方などが書いてある本ではないのですが、「研究・分析するとはどういうことか」 が書かれている本。
論文を書くときの考え方やロジックの作り方の参考になるのでとてもおすすめ。
難しい本なので簡単にすいすい読める感じではないのですが、大学の研究とはどんなものなのかを学ぶことができる本です。
リフレッシュにはオンラインの習い事がおすすめ
論文を執筆していると、思うように進まなかったり、考えがまとまらないという場合があります。
そんなときのリフレッシュ方法として、オンラインの習い事がおすすめ。
コロナ禍で外に出にくかったり、ジムや教室に通うのが難しい状況ではありますが、現在はオンラインでもヨガやフィットネス、英会話、プログラミング、ボイトレ、楽器など、様々なことをなることができ、家に居ながら趣味の幅を増やしていくことが可能です。
論文を書いているとストレスが溜まってしまうこともありますが、今あるツールを使いながら上手に発散して、執筆に取り組んでいけると良いなと思います。
※オンライン教室の情報サイトはこちら
「くらする」-やってみたいが見つかるオンライン教室の情報サイト
終わりに
この記事では、論文の書き方について、テーマ決めから構成、執筆方法などについて例を用いて紹介しました。
論文の執筆は、テーマ決め、先行研究(文献を読む)、構成(章立て)、執筆開始と進めるとスムーズに始めることができます。
また、論文の構成は、題名、はじめに(序論・問題提起など)、第一章( 先行研究の分析)、第二章(論文のメイン)、第三章(結論)とすると過不足なく執筆できます。
論文執筆は、膨大な量の文献を調べたり、調べた文献を整理して分析したりと、とても大変な作業ですが、やりきった後は「論文を書いた」という充実感や自信を感じることができると思いますので、是非興味がある分野に打ち込んでみてください。
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