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古文文法 係助詞と係り結びの法則-結びの省略や結びの流れも紹介

古文の助詞は全部で6つありますが、特によく出てくる助詞が係助詞と係り結びの法則です。

この記事では、古典の係助詞についてご紹介します。

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古文文法 係助詞と係り結びの法則-結びの省略や結びの流れも紹介

古文の勉強を始めて間もないころに出てくる重要な法則に「係り結びの法則」があります。

係り結びの法則とは、係助詞が接続している単語の述語となる語の活用が変化する法則のことで、係り結びの法則はその文を強調する意味合いや反語の意味合いなどを付加する性質を持っています。

係り結びの法則には、「結びの省略」や「結びの流れ」という規則もあり、どの規則もしっかり覚えておくことが大切です。

 

※助動詞と助動詞の接続についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

係助詞とは

係助詞は、「かかりじょし」もしくは「けいじょし」と読む助詞です。

係助詞には、「ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も」の7つがあります。

この中で特に有名で重要なのが、「ぞ・なむ・や・か・こそ」の5つ。何故重要なのかというと、この5つの係助詞の場合に、係り結びの法則で結びの語が連体形や已然形に変化するというルールがあるから。

ちなみに、「は・も」については、この2つの助詞が係助詞だと覚えておくだけでOK。理由は「は・も」の場合、文末は終止形で終るのでとくに難しくないため、係り結びの法則も注意する必要がないからです。

 

係り結びの法則

係り結びの法則は係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ・(は)・(も)」がついている時に、結びの語、つまり係助詞がかかる言葉の述語部分が特定の活用形に変化するという法則です。

これによって、その文章が強調されたり、疑問や反語を表すという特徴があります。

現代日本語でも、「今こそ実行に移すべきだ」のように、「こそ」という助詞を使って文章を強めることがあるので、その使い方と同じようなイメージで良いかなと思います。

係り結びの法則では、それぞれの係助詞で結びの語の形が何形になるのかが決まっています。

・ぞ・なむ・や・か:結びの語は連体形に変化

・こそ:結びの語は已然形に変化

・(は)・(も):結びの語は終止形

このように、ぞ・なむ・や・か・こそがあると、この係助詞の前に出てくる単語の述語である結びの語がそれぞれの形に変化します。

さらに、係り結びの法則を使うと、文章に次の意味が加わります。

・「ぞ・なむ」は強調

・「や・か」は疑問(反語)

・「こそ」は強調

 

係り結びの法則の例

係り結びの法則の例として、例えば竹取物語の冒頭で

「名をば、さぬきの造となむ言ひける。」

「その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。」

のように出てきていたり、

『伊勢物語』で

「風吹けば沖つ白波たつた山夜半に君がひとり越ゆらむ」

のように係り結びの法則が出てきます。

係り結びは係助詞の前の単語が係る部分(述語)を変化させる規則なので、例えば同じく『伊勢物語』の、

「男も女も 恥ぢ交はして ありけれど、男はこの女をこそと思ふ」

の場合は、文末の「思ふ」ではなく、「女を」にかかる「得め」が已然形となります。

 

結びの省略

結びの省略というのは、係り結びの法則の述語の部分、つまり結びの語が省略されている表現のことを言います。

現代でも例えば、「草生える」という言葉を「草」と省略しても誰もが「草生える」という意味だと分かると思います。他にも「わかりみ」だったり、「り」だったりで言いたいことが分かるのですが、古文の時代にも同じように省略していました。

では、古文の中ではどのように省略するのかというと、これにはルールがあります。

に+「ぞ・なむ」で切れていたら、「ある」が省略

に+「や・か」で切れていたら、「あらむ」が省略

に+「こそ」で切れていたら、「あらめ」が省略

と+「係助詞」は、「言ふ(言へ)」か「聞く(聞け)」が省略

となります。

例えば、『源氏物語』では、

「いづれの御時にか、女御(にようご)・更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに」

という文章があり、この場合、「ありけむ」が省略されており、「どの帝の御代(みよ)であっただろうか」という意味となります。

 

結びの流れ(消滅)

結びの流れというのは、本来結びの語となる部分に接続助詞などがついて、その接続の関係で結びが無くなり先にそのまま続いていくことを言います。

例えば、『徒然草』の、

「たとひ耳鼻こそ切れ失すとも、命ばかりはなどか生きざらむ」という文章。

この「たとひ耳鼻こそ切れ失すとも」という部分には、「こそ」という係助詞がついているので、「失す」が、下二段活用の已然形である「失すれ」となり、「たとひ耳鼻こそ切れ失すれ」となるはず。

ですが、その続きに接続助詞である「とも」がついていることで、「とも」の接続が終止形接続になるため、係り結びの法則が流れ(消滅し)、「失す」という終止形となり、「たとひ耳鼻こそ切れ失すとも」という形になってしまうという法則があるのです。

古文では接続は絶対的に優先されるので、このように係り結びの法則と接続が重なってしまった場合には、接続が優先されます。これを「結びの流れ」と呼びます。

 

逆接強調法と危惧の用法

こそ+已然形の用法には、「逆接強調法」という使い方があります。

これは、文中で、「こそ+已然形+」となっている場合には、「、」の前に逆接を入れます。

例えば、『土佐日記』の「中垣こそあれ、一つ家のやうなれば、望みて預かれるなり。」という文章に出てくる「中垣こそあれ、」は、「仕切りはあるけれども」という訳し方となります。

危惧の用法というのは、「もぞ」、「もこそ」というように、「ぞ」、「こそ」の前に「も」が入っていたら、「〇〇したら困る」と訳します。

例えば、百人一首にある「音に聞く高師の浜のあだ波はかけじや袖の濡れもこそすれ」という和歌。

最後の部分は、「有名な浮気者のあなたを心に掛けることはいたしません。涙で袖を濡らすことになるといけないから。」

という意味合いになります。

 

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ここまで、古文の係助詞についてご紹介しました。

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sumikuni.hatenablog.com

  

終わりに

この記事では、古文文法の係助詞と係り結びの法則についてご紹介しました。

係助詞は「ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も」の7つがあり、係り結びの法則では、結びの語が「ぞ・なむ・や・か」は連体形に、「こそ」は已然形になるということしっかりと覚えておくことが大切。

結びの省略や結びの流れ、逆接強調法と危惧の用法も頭に入れておくことで、古文の問題が解きやすくなるかなと思います。

 

※古文の形容詞の覚え方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※古文の敬語の覚え方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※日記文学と覚え方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

 

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