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新撰組と幕末を知るための本と漫画と大河ドラマ-幕末史入門は新選組に触れるのがおすすめ

日本史を学びなおしたいと思ったとき、どの時代から入門すれば良いのか迷ってしまうことが有ります。そんな時におすすめなのが、幕末。

江戸時代から明治時代に変わり行く激動の時代幕末は、エピソードも多くとても面白い時代です。

この記事ではそんな幕末を知るためにおすすめな、新撰組に関する漫画や小説、大河ドラマなどをご紹介します。

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新撰組と幕末を知るための本と漫画と大河ドラマ-幕末史入門は新撰組に触れるのがおすすめ

幕末 

幕末というと、明治維新や新撰組、尊皇攘夷、大政奉還、など聞いたことがあるけどよく分からないことが多い時代です。

ただ、対立構造が割りと分かり易く、登場人物も個性的で有名な人物が多いため、日本史を学び直したいときにはとてもおすすめな時代。

また、戦国時代と違い、登場人物や諸藩の入れ替わりが少ないのもおすすめな理由の一つ。

例えば戦国時代なら、岐阜の土岐家を斎藤道三が飲み込んで斎藤家になったり、浅井家が織田家に滅ぼされたりと、勢力図が年代によってどんどん変わるのですが幕末は一定でとても分かりやすいです。

私も学生時代に幕末で日本史の面白さに触れ、その後戦国時代へと手を伸ばしていきました。

この記事では初めに幕末史をざっと解説しそのあとにおすすめな漫画などを紹介します。

 

明治維新の幕開け

さて、幕末と言うと、200年以上続いた江戸幕府が外国船の来航や尊皇攘夷の動きによって翻弄された時代のこと。1800年代中ごろ(1850年くらい)を指します。

江戸幕府と言うと歴史の授業でも習うとおり、鎖国政策をとり、オランダなどの数カ国を除き海外との関わりを持つことを禁止していた時代。

そんな江戸時代も後半になってくると、技術の進歩と共に海外の船が日本近海に姿を見せるようになりました。

多く押し寄せてくる外国船に対し砲撃したり、政府が異国船打ち払い令を出したり、対抗措置をとっていたのですが、1853年に蒸気船である黒船でペリーが来航。

ペリーが来航して以降、アメリカなどの諸外国は日本に開国を迫り続けました。

朝廷(天皇)は開国を良しとしていなかったのですが、お隣中国がイギリスとのアヘン戦争(1840年)に敗北し、1856年からはイギリスとフランスの連合部隊とアロー戦争を繰り広げる中、日本にも海外勢力に対する危機感が募っていました。

そんな状況下、大老井伊直弼が1858年7月29日(安政5年6月19日)に天皇の許しを得ず(勅許を得ぬまま)、不平等条約である日米修好通商条約をアメリカとの締結したのです。

ちなみに、この日米修好通商条約については長らく井伊直弼の判断で勅許を得ずに条約に調印したといわれてきましたが、最近の研究では、井伊直弼は「勅許が出るまで調印は延期するよう交渉を進めよ」と命令していたのですが、アメリカとの交渉でやむなく締結したことがわかっているそうです。

この井伊直弼は「赤備え」で無敵を誇った徳川家臣井伊直正の直系の子孫、女城主直虎の血筋でもあります。

 

尊王攘夷運動の激化

天皇の許しを得ずに開国をした井伊直弼でしたが、この「天皇を軽んじた」という噂は瞬く間に広がり、水戸藩の水戸斉昭(徳川斉昭)や尾張藩主徳川慶勝(どちらも御三家/水戸、尾張、紀伊の徳川家)の反感を買います。

そこで徳川幕府の大老井伊直弼が幕府に刃向かうものたちに対して行った処罰が安政の大獄です。

この安政の大獄では尊皇攘夷の志士橋本左内や、長州藩の倒幕運動への道筋をつけた吉田松陰などが斬首されており、安政の大獄を契機に尊王攘夷運動が過激になっていったといわれています。

ちなみに水戸藩は御三家(水戸、尾張、紀伊)と言われる徳川幕府の血筋ですが、徳川光圀(水戸黄門)の時代(1600年代中旬)に「大日本史」という歴史書(その後明治に渡るまで200年以上の間作成された)の編纂が開始され、独特の尊王思想が形成されたといわれています。

この大日本史の中で語られる尊王思想は「水戸学」と呼ばれ、長州等の尊皇攘夷の志士たちの思想的な基礎となりました。

 

新撰組と会津藩

安政の大獄を行った井伊直弼でしたが、その後桜田門で水戸藩浪士により殺害(桜田門外の変)されるなど、幕府の権威が失墜。

そこで生み出されたのが朝廷と融和を図る公武合体政策です。14代将軍徳川家茂の夫人として孝明天皇の妹である和宮を迎えることとなりました。

徳川家茂は結婚の為、京都への上洛を考えていたのですが、当時の京都は尊皇攘夷派の浪士たちがテロ活動を繰り返しており、とても危険な状況。

そこで幕府は京都守護職を新設し、幕府の力で京都の安定を図ろうとしました。この京都守護職の役職を担ったのが会津藩主松平容保でした。1862年12月24日、会津藩主松平容保は藩士千人を率いて入京したのです。

 

新撰組の結成

徳川家茂の上洛は1863年の3月ということで、それまでに京都の治安を平定する必要がありました。そこで出羽庄内出身の浪士清河八郎の提言により、関東一帯から浪士を募集し、京都の治安平定部隊としての働きを課すことにしました。

その後、清河八郎は浪士組240名余りを率い、翌年2月には上洛することなったのですが、実は清河八郎は尊皇攘夷の志士で、江戸に到着した途端、「自分たちは尊皇攘夷の志士だ」と宣言。

清河八郎は、壬生新徳寺に浪士たちを集め、攘夷実行のため、江戸に戻ると演説したのです。幕府は怒り、浪士たちを江戸に呼び戻し、大半の浪士は江戸に戻りました。

一方で、本来の目的であった、徳川家茂の上洛に備えた京都の治安を平定を果たそうと、京都に残ったグループがありました。

このグループが後の新撰組となったのです。

 

会津藩の徳川幕府への忠誠

京の治安平定を目的として設立された京都守護職ですが、その役職に就いたのは会津藩の松平容保(まつだいらかたもり)でした。

では何故会津藩に白羽の矢が立ったのか。その理由は、会津藩の始祖保科正之(ほしなまさゆき)に有りました。

保科正之は3代将軍徳川家光の実弟。家光の父である徳川秀忠は乳母の侍女だった女性との間に子どもを授かります。その子どもが保科正之です。

当時の大奥では、正室以外の子は養子に出すのが一般的だったため、保科正之も例に漏れず養子に。その後月日は流れ、兄である家光が保科正之が不遇されている弟だということを知りました。対面も叶い、保科正之の有能さやその才を認め厚遇。

1643年には、会津藩23万石を保科正之に与え、保科正之は会津藩主となったのです。

彼の政治手腕は見事なもので、徳川幕府の家臣として、殉死の禁止、玉川上水の開拓など、様々な改革実行。また、会津藩の産業の発展にも尽力し、会津藩の名君として知られるようになったのです。

そんな保科正之は15の家訓を残しました。その第一条が、

「大君の義、一心大切に忠勤を存すべく、列国の例を以て自ら処るべからず、若し二心を懐かば、則ち我が子孫にあらず、面々決して従うべからず」

というもの。

平たく言えば「徳川幕府に忠義を尽くしなさい、もし幕府を裏切る藩主ができたらそれは我が子孫ではないから家臣は従わなくて良い」というものでした。

この家訓がゆえに、会津藩は幕末のどんな動乱の中においても徳川幕府を支えようと忠義を尽くしたのです。

 

幕末を知るための漫画,本,大河ドラマ

前置きがものすごく長くなったのですが、ここからは、幕末の特に新撰組を知るためにおすすめな本や漫画をご紹介します。

 

風雲児たち-幕末を総合的に学べる漫画

風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

 

幕末に触れる第一歩としておすすめなのが『風雲児たち』という漫画です。

みなもと太郎さん作のこの漫画、幕末の最高傑作といっても過言ではないくらい面白くて詳しいんです。

エピソードは細かいのに、大筋が分かりやすく解説してあって、しかもたまにくすっとわらえるギャクが出てきたり…

歴史マンガの金字塔といっても過言ではない作品です。

お話は関ヶ原から始まります。というのも実は関ヶ原で西軍に属した、つまり関ヶ原で負けた長州(毛利)、薩摩(島津)、土佐(長宗我部)が幕末の主役だから。(幕末時代では土佐は山内家なのですが、活躍した坂本龍馬や武市半平太なども御取り潰しになった長宗我部の家臣の末裔だといわれています。)

幕末の大きな流れを知るならこのシリーズを読破するのがお勧めです。 

 

おーい!竜馬-竜馬の視点で幕末を見る

幕末の英雄である坂本龍馬に焦点を当てた『おーい!竜馬』もおすすめ。

武士の中に上士と郷士(長曾我部ゆかりの武士)という身分の違いがある四国・土佐藩の坂本龍馬を描きます。

上士から虫けらのようにあしらわれる郷士の身分に生まれた竜馬の幼少期から始まり、黒船来航から開国、そして江戸から明治へと変化してゆく日本の激動期を自身の才覚で切り開いていく青年時代を描いています。

 

銀魂-対立関係が良く分かる漫画

銀魂も実はおすすめ。

歴史物の小説などは、大きく歴史小説と時代小説に分けることができます。

歴史小説はその時代を資料にできるだけ忠実に描いた小説や物語のこと。例えば先にご紹介した『風雲児たち』はその分類が当てはまります。

一方で時代小説は所謂時代劇。時代や設定だけ幕末なら幕末と設定し、お話は完全に創作のもの。銀魂は時代小説の分類になるのかなと思います。

お話の内容は地球に天人(あまんど)という宇宙人が攻めてきて、というお話。幕末の欧米列強が天人として描かれ、新撰組や尊皇攘夷の浪士たちが物語を繰り広げるというマンガです。

グループごとの対立構造が良く分かるマンガで、幕末の入門書として、とても良いマンガかなと思います。

 

新選組!-新撰組を描いた大河ドラマ

漫画でなんとなく幕末が分かってきたら、今度はより新撰組にフォーカスした作品と触れてみてください。

おすすめは大河ドラマ『新撰組!』。

この大河ドラマ、本当に面白い。笑い有、涙有り。1話1話に起承転結があって毎回ドラマがあるし、新撰組内の人間関係の微妙な変化や新撰組が大きくなるほどに難しくなっていった舵取りなども上手く表現されています。

特に新撰組の山南敬助のエピソードは涙涙涙。かっこよすぎる山南敬助とその悲しい運命にしばらく山南ロスになってしまうほど。

大河ドラマ『新選組!』、お勧めです。

 

歴史小説-『新撰組血風録』

新選組血風録 新装版 (角川文庫)

新選組血風録 新装版 (角川文庫)

 

新撰組を題材とした小説でお勧めなのが、司馬遼太郎作の『新撰組血風録』。

短編集のような構成になっており、新撰組のひとりひとりのエピソードを堪能することができる作品。

時代の流れも良く分かり、新撰組系の小説なら『新撰組血風録』を読めば人間関係やエピソードをつかむことができます。

この小説でおすすめのエピソードは「沖田総司の恋」。爽やかな沖田総司が恋に悩む姿が可愛らしいのですが、沖田のために奔走する鬼の副長土方歳三や近藤勇の姿が見ていてほほえましい。

もちろん本筋の池田屋騒動なども迫力満点に描かれています。

 

英傑の日本史 新撰組・幕末編-書籍

英傑の日本史 新撰組・幕末編 増補決定版 (角川文庫)
 

実際に残っている当時の書物などを元に幕末を解説してくれる一冊。

私たちがイメージするドラマや小説などの印象が覆されるようなエピソードなどを紹介してくれる本です。

言い回しが過激だったりするのですが、歴史を多面的に見たいと思ったときにはとてもおすすめな本。幕末に活躍した72人もの偉人たちのエピソードに触れることができる点でもおすすめ。

 

終わりに

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この記事では、新撰組と幕末を知るためにおすすめな本や漫画、ドラマをご紹介しました。

日本史をもう一度学んでみたいけど、どこから始めたらよいのか分からない、という時には幕末の新撰組から学ぶのがおすすめ。

私も新撰組に触れて日本史が好きになりました。

また、歴史小説やマンガが難しいという場合には、まずは『銀魂』などの時代マンガで雰囲気や敵味方を知るのもお勧め。

自分が好きなキャラクターのエピソードだけ本で読んでみる、などの方法もおすすめですので、是非試してみてください。

 

※ヨーロッパの歴史を学ぶときにおすすめな本はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

 

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