すみくにぼちぼち日記

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貴志祐介のおすすめSF系・青春系小説5選-青の炎,新世界より,ダークゾーン,クリムゾンの迷宮,罪人の選択を紹介

大野智さん、戸田恵梨香さん、佐藤浩市さん出演で話題だったフジテレビのドラマ『鍵のかかった部屋』。

原作者の貴志祐介さんは、人間の内面にある恐ろしさに注目したホラー、ミステリー、そしてSF小説を執筆する作家です。2020年3月には『罪人の選択』を2年半ぶりに発表し話題となりました。

貴志祐介ワールドとも言える独特な世界観を世に届け続ける彼の作品は、美しい中に背筋が凍る恐怖があり、時に人間の内面について深く考えさせてくれる物語です。

今回はそんな貴志祐介さんの本の中から特にSF要素が強い作品を4選と青春小説を1作、ご紹介します。

 

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貴志祐介のおすすめのSF系小説5選

貴志祐介はSF系、サイコホラー系(幽霊が出てこない、人間が怖いホラー)、ミステリー系、エッセイなど、様々なジャンルの本を書いている作家です。

この記事では、貴志祐介の作品の中からSF系の小説である『新世界より』、『ダークゾーン』、『クリムゾンの迷宮』、『罪人の選択』の4作と、SFではないですがとてもおすすめな『青の炎』をご紹介します。

  

『青の炎』-ハムレットのような青春小説

貴志祐介作品で一番爽やかな作品で、青春小説と表すことができる小説が『青の炎』です。

主人公の秀一は母と妹の3人で慎ましくも幸せに暮らす高校生。そんな幸せな日々をぶち壊したのが母の離婚相手でした。家族の幸せを守るため、秀一は「強制終了」に向けた完全犯罪を計画します。

明るく爽やかに描かれる高校生活の中に、淡々と事を進める秀一がいて、「家族を守りたい」、「アイツを殺さなきゃ」、「家族の為に僕がやらなきゃ」、「本当に殺してしまった…」と、彼の心の中では様々な思いと葛藤が交錯します。 

「誰かを守りたい」という純粋な気持ちが、何故こんなにも悲しい結末に人を導いていくのか。本当は幸せになるべきなのに、少しのボタンの掛け違いで人生が狂ってしまう…誰かのために勇気を振り絞ってとった行動なのにそれが報われない… 

兎に角切ない、やるせない、それでいて颯爽とした青春物語です。

青の炎 (角川文庫)

青の炎 (角川文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 2002/10/23
  • メディア: 文庫
 

 

 

新世界より』-人間の業を見るダークファンタジー

1000年後の日本には呪力という特別な力が備わった人間が住んでいます。そんな日本で育った主人公早希が、幼少期は冒険を繰り広げ、大人になってからは「バケネズミ」と呼ばれる異形のものとの争いに巻き込まれていきます。

新世界より』は、歴史、生態系、教育、社会などの新しい世界観が緻密に構築されている、別世界を体感できる小説。美しい世界と面白い生き物が目の前に実在するかのように鮮やかに描かれています。一方で、幼少期の冒険、大人になってからの戦争、どちらも暗くて恐ろしい。

ファンタジックな世界観の裏側には「呪力を持つ人間」と「バケネズミ」という2つの種族の対立、呪術がもたらした文明の崩壊、封印された過去の歴史、人間が人間で無くなっていく様など、「ああ、人間ってそういうものだな」と、人間の業のようなものを感じる作品でもあります。

とても長い作品で、上巻は世界観や生き物の説明描写が多いので、読むのが大変ですが、ここの部分は後半に分からないことが出てきた際に使用する辞書のような役割と割り切ってさくさく読み進めるのがおすすめ。

中巻、下巻と進んでいくと、フィクションなのにリアルに、現実とは別の世界に入り込めるようになります。私の場合、先が気になって気になって仕方が無くて、電車から降りて家に帰る帰り道も歩きながら読んでいたほど熱中することができた小説です。

新世界より 文庫 全3巻完結セット (講談社文庫)

新世界より 文庫 全3巻完結セット (講談社文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 2011/01/14
  • メディア: 文庫
 

 

『ダークゾーン』 -ゲームのような世界の本

奨励会員の主人公が目覚めると、軍艦島そっくりの島で異形の駒になっており、リアル人間将棋バトルロワイアルに巻き込まれる話。

ゲーム好き、将棋好きにおすすめの本です。この不思議な世界と現実世界を行ったりきたりしながら物語は進んでいきます。

主人公キングとして、友人や恋人を駒に、頭脳戦を繰り広げていきます。駒となった友人たちとの人間関係や主人公の人柄などが段々と明らかにされていく様も意外性が合ってとても面白い作品。

貴志祐介作品の中では一番直感的に読めて迫力が有る作品で、是非映像コンテンツでも見てみたいなと思いました。

ダークゾーン【上下 合本版】 (角川文庫)

ダークゾーン【上下 合本版】 (角川文庫)

 

  

『クリムゾンの迷宮』-不思議な世界でのサバイバルゲーム

目が覚めた主人公の目の前には見知らぬ異様な光景が広がっており、突如男女9人によるサバイバルゲームに参加させられる、と言う物語です。

食料、武器、情報など、最初に選択できるお助けアイテムの選び方によって、9人の運命は大きく変わっていきます。途中、主人公が屍鬼に追われるシーンでは、心臓のバクバクが止まりませんでした。

臨場感とスピード感があり、自分もこのサバイバルゲームに参加しているような感覚に。一気に読むことができる作品です。

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 1999/04/09
  • メディア: 文庫
 

  

『罪人の選択』 -貴志祐介最新作のSF短編集

SF短編集と言えるのが『罪人の選択』。「夜の記憶」「呪文」「罪人の選択」「赤い雨」の4篇が収録されています。

「夜の記憶」-記憶として地球を脱出

難しくて2回読みました。主人公夫婦が「記憶」として地球を脱出する前日に1日にを過ごすのですが…

「呪文」-殖民惑星に存在する危険信仰と念動力

新世界より』に少し似ています。主人公の金城が「まほろば」という殖民惑星の調査に訪れるのですが、その世界では危険な信仰と不思議な現象が存在。金城はこの星の調査を進めようとするのですが…

「罪人の選択」-生か死かの心理戦

ある男が戦後友人の妻を寝取ったことで、友人に一升瓶の酒と缶詰のどちらかを食べるように強要されるのですが、その一方には猛毒が入っているというお話。心理描写が見事で、ミステリーの雰囲気です。そして更に子供達も同じ状況に陥ってしまうのです。

「赤い雨」-ウィルスに侵された世界

コロナ禍の世界を予言したような作品。チミドロという現象により赤く染まった世界が舞台。主人公は成績優秀がゆえに外の世界(貧困と汚染の地域)からドームの中で生きることが許され、ワクチン開発に生涯を捧げます。しかしある事件をきっかけに彼女の運命は大きく変わっていくのです。

罪人の選択

罪人の選択

 

 

 終わりに

この記事では貴志祐介の作品の中でもSF系、青春系のジャンルである小説を5作後紹介しました。

貴志祐介さんの小説は作品も独自の世界観をもっており、別世界の不思議に浸ることができる本ばかりです。

今回ご紹介した『青の炎』、『新世界より』、『ダークゾーン』、『クリムゾンの迷宮』、『罪人の選択』の5冊はどれも本当に面白いので、是非一度貴志祐介さんの作品を手にとってみてください。

 

 原田マハさんのおすすめ小説はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

 

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