結婚式や壮行会、学校、仕事の集まりなど、人生においてスピーチをする機会が少なからずあります。そんなスピーチの機会で意識をしたいことが、共感とインパクトです。今回はそんな共感を呼び尚且つインパクトがあるスピーチの作り方のコツをご紹介します。
- スピーチ・演説のコツ-共感を呼ぶテーマ選定・インパクトのある構成が鍵!スピーチの技術を例文を用いて解説
- 共感呼ぶテーマの選定-スピーチで周りを巻き込む
- スピーチは頭にインパクトを
- 聞き手全員と気持ちを共有できるスピーチに
- 文の終わりは「。」で区切る。
- 実際のスピーチ例-全社朝礼での駐在に向けて
- スピーチ技術-第一声と間
- 全文は暗記しない-話の流れを暗記
- スピーチでは強弱で感情を込める
- 練習で淀みなく話せるように
- スピーチを極めるなら必読『本日は、お日柄もよく』
- 終わりに
スピーチ・演説のコツ-共感を呼ぶテーマ選定・インパクトのある構成が鍵!スピーチの技術を例文を用いて解説
高校、大学、社会人と、人生の階段を上るごとにスピーチを行う機会は増えていきますが、スピーチが苦手だと考えているかたも多く居るのではないでしょうか。
この記事では、高校の授業での発表会、大学のスピーチコンテスト、論文の発表、社会人では営業時のプレゼンから結婚式のスピーチまで、人生のあらゆる場面で登場するスピーチに強い気持ちで臨める様になるためのスピーチのコツをご紹介します。
この記事を参考に、是非、スピーチを気持ちよく実践できるように練習してみてください。
共感呼ぶテーマの選定-スピーチで周りを巻き込む
スピーチをすることが決定したとき、はじめに考えることはスピーチのテーマです。どのようなテーマにしようかと悩んでしまう、スピーチの最初にして最大の難関でもあります。テーマが良いと聞き手も飽きずに聞いてくれますが、テーマ選定に誤るとスピーチ自体の印象が薄れてしまうこともあります。
そんなスピーチのテーマ選定で一番意識したいのが共感を呼ぶテーマを選定することです。
例えば、会社の壮行会でスピーチをするのであれば、「これまでの仕事人生とこれからの抱負」、結婚式でのスピーチを考えるのであれば「結婚相手と一緒に乗り越えてきた経験と未来」などなど、誰もが共感できそうなテーマを選びましょう。
テーマに沿った副題を考える
テーマが決まったら副題を考えます。テーマをもっと具体化させたものが副題です。例えば、「結婚相手と一緒に乗り越えてきた経験と未来」をテーマにするなら、副題は、「就職活動、入院生活、公務員試験、全て彼女/彼がいたから頑張れた」などと設定します。
スピーチは頭にインパクトを
テーマが決まったらスピーチの内容を考えるのですが、一番重要なところは出だしです。スピーチの頭は聞き手が「あれ、何か違う」と感じ、「聞いてみたいな」と思うような出だしにすることが大切です。
例えば、「えー、○○株式会社の■■です。弊社はフローリングメーカーとして50年以上の実績がありまして…」と始まるスピーチはいかがでしょうか。インパクトがあまりなく、平坦なスピーチが続くかな?と想像できてしまいます。
一方で「日本人が何故靴を脱いで家に上がるかご存知でしょうか?実は…で、私が働いている○○社は日本人の裸足生活を陰で支えるフローリングメーカーです」
と始まると、「ちょっと聞いてみたいな」と感じてしまいますよね。
この様に、スピーチの出だしは聴き手の聴く姿勢に直結するもので、その後のスピーチの出来栄えに大きな影響を与えるのです。
ですから、スピーチは頭にインパクトを持ってくることを念頭に構成していきます。
聞き手全員と気持ちを共有できるスピーチに
出だしと同様にとても重要なことは、聴き手全員が共感できる内容にすること。聴き手の属する属性(性別、年代、会社、部門、学校etc)を事前に意識して、スピーチで「置いてきぼり」になることが無いように配慮します。
例えば、音楽のスピーチをするとして、会場には色々な年代、種類の音楽が好きだという人が集まっているのにも関わらずレゲトンの話だけをしていたら、共感を呼ぶことはできません。集まる聴き手がどんな種類の音楽が好みなのか、年代、ジャンル、など色々なことを事前に考慮して、場に居る人々全員と気持ちを共有できる内容とします。
文の終わりは「。」で区切る。
スピーチでとても重要なことは、一つ一つの内容ごとに「。」で区切ることです。「、」で区切って話を続けてしまうと、スピーチが間延びしたり、言いたいことがこんがらがったり、話の続きを忘れたりしてしまいます。ですから、1つの話が終わったら、「○○です。」「○○でした。」「○○だと思います」「○○だと感じました。」など、しっかりと「。」で切るようにすると、すっきりとしたスピーチになります。
実際のスピーチ例-全社朝礼での駐在に向けて
では、実際にこの4つを意識して作った例をご紹介したいと思います。
自分の中のこのスピーチのテーマは上述の「これまでの仕事人生とこれからの抱負」です。副題は「世界を支えるものづくりに憧れた自分と会社で知った本当のものづくり」。
このスピーチは実際に私が駐在する前日に全社朝礼で実施し、「涙が出た」と絶賛していただいたスピーチです。2分間のスピーチですが、ここまで紹介したスピーチの鍵が全て詰まっています。
『世界のものづくりを支えているなんてかっこいい。そんな憧れの気持ちで入社しました。
初めて配属された現場で、ミスをしてしまったことがあります。「どうしよう…」という気持ちから、正直に言い出すことができませんでした。幸い上司が見つけてくれたのですが、その時に言われた「この製品がお客さんに届くんだよ。これを見たお客さんはどんな気持ちになるの?」という言葉で、「ああ、ものづくりってこういうことなんだな」、「世界のものづくりに貢献するって、こういうことなんだな…」と感じました。
海外部門に配属されてからは一生懸命作った製品がお客さんに届くまで、包装され、梱包され、そして出荷されるという一連の流れの中で、様々な部署が、そして本当に沢山の人がプロフェッショナルとして働いているんだということを知りました。
中南米に営業に行ったときには、地球の裏側で自社の製品が多く使われていることに感動し、「この製品が世界で一番高品質だ」というお客さんの言葉に、「世界のものづくりを支えることができているんだ」と感動したのを覚えています。
そして、働けば働くほどに、私が安心して、何の心配もなく働くことができているのが、間接部門の皆様のお陰だということを強く感じます。本当にありがとうございます。
これからメキシコと言う新たな国のものづくりを支える仕事に就くこととなります。これまで本社で学んだ「ものづくりとは何か」、「どれだけ沢山の人々の思いが1つの製品に詰まっているのか」を心に、真摯に、全力で取り組んでまいりますので、皆様、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。』
スピーチのポイント
このスピーチのポイントは、まずは冒頭「世界のものづくりを支えているなんてかっこいい。そんな憧れの気持ちで入社しました。」という部分。通常、この挨拶は「○○部、■■課の★★です」と始まるところを、印象的なフレーズに置き換えました。
また、多くの部門の方々が分かりやすい内容にするのを心がけ、聴き手が自分の経験とリンクできるような経験をチョイス。
具体的は、工場勤務者が多いので現場での失敗談とそれを隠してしまったこと、それに対する上司の言葉を前面に押し出しました。また、工場以外の勤務の場合でも失敗を隠そうとした新入社員時代の気持ちに共感してもらえるエピソードとしました。
その後も会社の色々な部門のお陰で製品をお客さんに届けられること、自分の生活が間接部門の方々の仕事に支えられていること(つまり、全員が全員を支えていること)、など、共感しやすいエピソードを並べました。
また、「若い頃の失敗談とそこから学んだこと」、「会社で働いて分かった社内の仕事のこと」、「お客さんを訪問して気づいた会社の素晴らしいところ」と、時系列に成長する過程、そこから学んだ会社の皆さん、そして会社自体の素晴らしさを表現し、聴き手の方々への感謝の気持ちで結びました。
スピーチ技術-第一声と間
聴き手の共感を得られるような内容が完成したら、ここからはスピーチ自体の技術を磨くことになります。
第一声は静寂を切り裂いて
スピーチで一番重要なのはスピーチの頭の内容ですが、その内容を発する第一声もとても重要です。
スピーチが始まる前、壇上に上がると、少しざわついていることが普通です。ここで直ぐにスピーチを始めてはいけません。
まずは壇上で何も言わず背筋を伸ばして全体を見つめます。すると、一瞬、すっとざわつきが消えて静かになり、視線が集まります。これは、聴き手の予測を反して何も言葉を発しない自分に向けられた疑問の視線なのですが、その一瞬の静寂を切り裂くように、言葉を丁寧に発するのです。
間がスピーチの全て
間、それはスピーチの全てです。間を空けるところは話と話の間が基本ですが、単語を発する前、単語を発したあとも効果的に間を持たせます。
上でご紹介した文章なら、段落ごとに持たせる一定間隔の間が1つ目の間。そして、単語を印象的にさせる間が2つ目の間です。この2つ目の間を入れるところは、下記例の間というところです。
『「この製品がお客さんに届くんだよ。これを見たお客さんはどんな気持ちになるの?」間という言葉で、「ああ、ものづくりってこういうことなんだな」間、「世界のものづくりに貢献するって、こういうことなんだな…」間と感じました。』
自分が印象付けたい言葉の前後に間を持たせます。この場合、「ものづくりを真摯に行う姿勢が世界のものづくりに貢献することだ」ということに気づいたエピソードですので、間を多くとりました。
全文は暗記しない-話の流れを暗記
スピーチというと、原稿を丸暗記することが多いですが、お勧めは丸暗記はしないこと。なぜなら丸暗記すると感情がこもらないから。
スピーチは全体の流れと内容だけ覚えておき、細かな言い回しはその場の雰囲気を見ながら変えていきます。
前述のスピーチの例も、実は大まかな流れだけ決めてあって、全文は作っていませんでした(ですから上記のスピーチも当日のままではありません)。
例えば、上の例だと、
①世界のものづくりを支えているなんてかっこいい。そんな憧れの気持ちで入社しました。(これは絶対に言う)
②新入社員の頃現場でミス→ミスを隠す→上司の言葉でものづくりの真髄を知る
③海外部門と流通部門への感謝
④中南米で言われた嬉しい言葉
⑤感謝と抱負
のように大まかに記憶しておき、内容自体は「このエピソードをは②」、「こっちのエピソードを③」のように流れとリンクして覚えて起きます。
スピーチでは強弱で感情を込める
流れごとにエピソードを記憶した後、エピソードの内容を話す練習をするのですが、その時に気をつけたいのが強弱です。自分の感情を強弱で表すのがスピーチの技。
この文章に強弱と間をつけると、
『中南米に営業に行ったときには、地球の裏側で自社の製品が多く間使われていることに感動し、「この製品が世界で間一番高品質だ」というお客さんの言葉に、「世界のものづくりを支えることができているんだ」間と間感動したのを覚えています。』
こんな感じでエピソードを語ることになります。
どこで間をあけるか、どこで強弱をつけるか、それを考えながら、スピーチに間と強弱という色をつけていくことで、より聴き手が「聴きたいな」と思えるスピーチに近づけることができます。
練習で淀みなく話せるように
スピーチ内容を考え、スピーチ技術を散りばめたら、あとは練習あるのみです。私の場合、スピーチ当日の1週間前くらいから準備をはじめ、3日前には練習に入るようにしています。
スピーチの練習量の目安はよどみなくスピーチができるようになってから後10回練習する、というのがお勧めです。
スピーチの間や強弱は、練習しないと中々上手くできません。私も新しいスピーチを考えるごとに毎回1週間程度スピーチの作成と練習に時間をかけるようにしています。
はっきりゆっくり
スピーチの時に気をつけたいのは、はっきりと、そしてゆっくりと話すこと。普段自分が会話する時の1.5倍のゆっくりさでスピーチするように心がけます。というのも、緊張すると自然と言葉が早く、聞き取りにくくなってしまうから。
はっきりゆっくりを意識しながらスピーチの練習を行ってみてください。
スピーチの待ち時間は厳守する
スピーチは基本的に、◯○分でやって下さい、と時間を指定されます。この時間を超えてはいけません。スピーチの持ち時間は厳守することが基本です。
なぜなら、スピーチの後の予定が詰まっていたり、スピーチが長すぎると聴き手が焦ったり、飽きたりしてしまうからです。
スピーチの練習の時にはストップウォッチを持って時間を意識すると良いです。
スピーチを極めるなら必読『本日は、お日柄もよく』
スピーチについて、もう少し詳しく勉強したいという場合は、こちらの本がお勧めです。スピーチや演説のバイブルとも言える、原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』。
この小説は、言葉を通して人に与える感動、そしてスピーチの大切さ、面白さ、力を学ぶことができる小説。スピーチの極意についても詳細に小説という形で学ぶことができます。
是非こちらの本を読んでみて下さい。
終わりに
今回はスピーチや演説をするときのコツについてご紹介しました。共感を呼ぶテーマ、インパクトがある構成、そして冒頭の発声、間、強弱を意識したスピーチを取り入れることで、スピーチが一層ドラマチックなものになり、聴き手の心にも届くものになります。一生懸命スピーチを作って、そのスピーチを沢山練習して、スピーチする舞台に上がるのを楽しんでみてください。