海外駐在員として海外に赴任する場合、日本で貰う給与と海外で貰う給与が別に支払われることが多いです。これは、1年間にもらえる給与のうち、○○円(円価/現地通貨)分を日本で受け取り、残りを海外の生活費として受け取るというような形となるためです。そこで気になるのが、為替が変わったら受け取れる総額が変わるのかどうかということ。今回はそんな為替によって損得がでる海外駐在員の給与についてご紹介します。
海外駐在では給与が為替で左右される-為替差益と為替差損
始めに、気になる為替差損・為替差益が発生するのか、というところですが、結論からいうと発生することが多いです。これはお給料の受け取り額を定額で定めている会社が多いから。
つまり、指定した一定金額をその月の為替レートで外貨もしくは円価に変換してお給料が払われるため、毎月一定の額を海外で受け取る場合にはそのレートによる影響を受けてしまいます。
※尚、今回のケースに当てはまらないお給料の決め方がされている会社もありますので、参考程度ということで読んでいただけるとありがたいです。
給与総額が円で定額なら円高が得
為替による影響を受けるということは、得になったり損になったりするということ。それでは、どちらのほうが駐在では得なのかというと、お給料の合計が決まっていて、その内訳を円で受け取るか外貨で受け取るかを決めているのであれば、円高のほうが得です。
外貨で給与を指定する場合-円高が得
海外で受け取る給与を外貨で指定する場合は、ずばり、円高が得。
例えば、1000USDを海外で受け取るとします。1000USDは毎月一定で海外の給与講座に振り込まれる時、円に直すと下記のような計算になります。
1USD=100JPYの時-1000x100=10万円
1USD=200JPYの時-1000x200=20万円
一見、1USD=200JPYの時のほうが20万円支給されるのだから得なように思えますが、実は逆で、定額支給される場合、1000USD分のお給料が全額から引かれて日本での支給額が決まるため、1USD=200JPYの時は20万円を日本のお給料から引かれることになるのです。
例えば、全体で20万円支給されるとして、内1000USD分が海外で受け取る金額となります。その場合、計算すると、日本で支給される金額は下記の通りとなります。
1USD=100JPYの時は20万円-10万円=10万円(1000USD海外で貰い、10万円日本で貰う)
1USD=200JPYの時は20万円-20万円=0円(1000USD海外で貰い、0円日本で貰う)
この通り、円高に為替レートが振れた場合のほうが、合計で受け取ることができる給与の金額が多くなるのです。
円価で給与を指定する場合-円高が得
では逆に、円価で外国でのお給料を指定する場合を見ていきます。
為替レートは同じ1USD=100JPY/1USD=200JPYを使います。
10万円分、毎月海外で受け取る場合、お給料の計算は下記の通り。
1USD=100JPYの時-100,000/100=1000USD
1USD=200JPYの時-100,000/200=500USD
今度は、海外で受け取るお給料の総額が大きく変わってしまいました。この場合、円安の時は500USDしかもらえないのに、円高のときは1000USDもらえるのです。
海外と日本でそれぞれ固定なら円安が得
合計金額が決まっていて、そこから海外給与を差し引かれる場合は、上記のように円高の場合が得なのですが、例えば、海外・日本どちらも固定給の場合は円安の方が得です。
というのも、海外で○○USD、日本で○○万円と決まっている場合は、円安のほうが、合計金額が増えるからです。
例えば、海外で1000USD、日本で10万円と決まっている場合、為替が変わっても日本円の10万円は変わりません。一方で海外の1000USDは円安の場合20万円、円高の場合は10万円なので、総額は
1USD=100JPYの時-1000x100=10万円、日本でも10万円
1USD=200JPYの時-1000x200=20万円、日本では10万円
の給付になるので、合計金額は1USD=200JPYの時のほうが多くなります。
海外給与が固定の場合は円安が得
海外給与が固定の場合は円安がお得です。例えば、全額USDで貰いそのうちいくらかを日本円で受け取る場合、海外給与を円換算すると円安時のほうが合計金額が大きくなります。
例えば、海外で1000USDを貰うとすると、
1USD=100円の場合-1000x100=10万円
1USD=200円の場合-1000x200=20万円
となるため、給与は円安の時のほうが高くなります。
そこから日本の給与を差し引く場合でも、上記の海外の固定給は円安のほうが円換算が多くなるので、差し引いたあとの金額も円安時のほうが高くなるのです。
終わりに
今回は海外駐在で受け取るお給料が為替に拠って左右されるのかということをご紹介しました。結論として、為替で左右されるというのが大半だと思います。
給料の合計が決まっていて、その中から円で受け取るのか外貨で受け取るのかを計算する場合は円高がお得。
一方で、海外で受け取る金額、日本で受け取る金額がそれぞれ決まっている場合は、円安のほうがお得になります。
また、海外給与をメインで受け取っている場合も円安のほうがお給料総額は大きくなります。
為替レートで左右される損得は、駐在したタイミングと給与の決定方式の違いで大きく異なりますので、こればかりは運任せであまり考えすぎないのが良いのかもしれません。
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