すみくにぼちぼち日記

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適正な利益確保で初めて売上が生きてくる-営業職が大切にしたい利益とコストの概念

営業職として働く場合、会社から求められることは売上を上げること。物を売って会社の売上をあげることは営業の使命であり、その売上高で担当者の評価が変わる場合も多いです。

ですが、売上を上げる中で、忘れてはいけない大切なことがあります。それは「適正な利益を確保すること」です。今回はそんな、営業職で働く場合に意識したい利益の概念についてご紹介します。

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利益とは何か-適正な利益確保で初めて売上が生きてくる

利益と聞いて真っ先に思い浮かべるのが、製品を作った(買った)ときの費用とその製品を売ったときに発生する売上の差です。

実はこの考え方、正しくもあり、正しくなくもあります。経理や経営の視点では、この利益は粗利と呼ばれるもので、その他の諸経費は含まれていません。

 

コストも色々-原価に諸経費が全て含まれているわけではない

仕事をしていると良く聞くコストという言葉。実はコストにも色々あるのです。まずは原価計算で計算する原価。所謂製造原価です。

製造原価は簡単に言うと材料費+直接労務費のこと。材料を買って、それを加工する時に発生するコストのことをさします。

この製造原価ですが、基本的に販売管理費と呼ばれる、製造に関わっていない部門の費用や人々の人件費が含まれていません

例えば、製品を作って、販売する際、製品を梱包したり、輸送したりするだけで費用がかかります。経理や人事部、総務部、営業部などで働いている人々のお給料もカバーする必要があります。この働いている人々や部門の費用も含めた、製造原価(材料費+直接労務費)+販売管理費が、その製品を売ったときに発生するコストとなるのです。

ですから、この製造原価+販売管理費の計算はとても重要で、この販売管理費を無視して利益を計算すると、最終的に十分なお金を稼ぐことができなくなってしまいます。

 

営業職は販売する製品のコストの変化に注意

営業職として仕事をする時、多くの場合、製品の見積もりや値引きなども自分で考えることになります。

製品の販売代金は販売する数量やグレード、客先との関係性などで異なってくる場合が多いのですが、その時に気にしたいのが自分がつけた価格で販売した時に、適正な利益が取れるのかということ。

例えば、ボールペンを販売するときに、1本販売するのか1000本販売するのかでコストが変わってきます。このコストの変化に常に気をつけて価格をつける必要があるのです。

このように、同じ製品を販売する場合であっても、様々な変化を考慮に入れて価格を決定する必要があるのです。

 

営業員が考えたい利益とは

コストが様々に変化する中で営業職が考えなければならない利益は、原価に販売管理費を乗せた全体の費用にどのくらいの利益を乗せるかということ。

例えば、原価が1,000円で、会社の販売管理費の基準が15%であれば、1,000x1.15=1,150で1,150円をコストとして考え、そこに何%の利益をのせるのかというところを検討する必要があります。

 

市場価格を見ながら適正利益を計算

利益をどのように乗せるを決定したところで、今度は市場価格に目を向けます。

例えば、自社製品がものすごく性能が良い場合、市場価格と同じ価格で販売する必要は無く、少し高めの値段設定が可能です。一方で、性能があまりよくない場合は値下げを検討しなければなりません。

市場価格と自社製品の性能を比較した上で、製品の製造コスト・販売管理費を勘案し、適正な値段を付けていくのです。このときに気をつけたいのが、売上につられて安くしすぎないこと、そして、もう一つは客先の足元を見て高くしすぎないことです。

 

Win-Winの実現が良好な関係構築の鍵

取引先との関係を良好なものにするためには常にWin-Winの関係を築く必要があります。Win-Winはどちらもが納得いく形で、利益を得られる関係のこと。

例えば、新規参入のためにものすごく値下げして製品を販売したとします。その価格がコストを無視して設定されてしまった場合には、長期的にみると自社にとって不利益となっています。その場合、いくら大口の取引であったとしても、基本的には「断る」という判断をしなければなりません。

買い叩いてくるお客さんというのは、いくら巨大企業であろうと、良い関係を築くことはできません。自社製品の価値を正しく評価してくれる企業を探すほうが良いといえます。仮にそのお客さんに安く物を販売できたとして、その情報が自分のもともとのお客さんに入ってしまったらどうでしょうか。「信頼していたのに裏切られた」と別のお客さんから思われてしまう可能性も出てきてしまいます。ですから、理由付けできない値下げというのは行うべきではありません。

一方で、お客さんに他にサプライヤーが無く、自社独占状態のとき、価格を吊り上げようとすればいくらでも高く設定できます。ですが、このような足元を見る商売というのはいづれ破綻します。ですから、独占状態であっても、自社の利益、お客さんの利益どちらもが最大になるように考えなければならないのです。

例えば、、コロナウィルスでマスクを高値で販売しているお店が合ったとして、その価格が法外なものであれば、収束後にそのお店で物を買いたいと考える人は減ってしまいます。これは供給不足でユーザーの足元を見た結果、長期的なWin-Winを築けなくなってしまう例だといえます。

 

会社の戦略として利益度外視で販売することも

会社が戦略製品として位置づけている商品に関しては、戦略的に利益が出ない価格で販売することもあります。例えば新製品の期間限定プロモーション、自社の名前を市場に浸透させるための大幅値下げなどがその例です。

他にも、例えば世の中に無かったものを開発した場合などに、市場に急速に浸透させるためにコストを無視した価格で販売することもあります。先に市場へ製品を浸透させ、その後まとまった量の製造を行うことで原価を下げていくような戦略を採ることもあります。この辺に関しては営業の仕事というよりも経営陣の仕事となってくるでしょう。

 

終わりに

今回は営業職として働く時に意識したい利益とコストについてご紹介しました。詳しい計算方法などに関しては経理の専門書などを参照いただきたいのですが、営業職として知っておきたいことは、次の2つです。

①原価=コストではないということ

②市場価格と製品性能を念頭に置いた上で、コストを考えながら販売価格を決定しなければならないということ

営業は物を販売することが仕事といえますが、その販売した製品がもたらす利益が会社を運営するための資金となるということを常に意識しながら営業活動を行うと良いのではないかなと思います。

 

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