すみくにぼちぼち日記

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外国語学部の研究内容とは-外国語学部を選択する意味と意義

国語学部というと語学を勉強するところだと何となく想像がつきますが、いまいちどんな学部なのかが分からないという方も多いはず。外国語は他の学部でも身につくのだから、外国語学部に入っても意味がないのでは?と不安になる受験生も多いのではないでしょうか。

今回はそんなあまりよく知られていない、外国語学部の研究内容についてご紹介します。

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国語学部の研究内容とは-外国語学部を選択する意味と意義

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国語学部ときくと、なんとなく外国語を学ぶ学部なのかなと想像できるのですが、具体的なイメージが中々湧かない学部でもあります。

この記事では、大学で外国語学部に入った場合にどのようなことを勉強するのか、外国語、言語学、地域研究などについてご紹介するとともに、就職についてや外国語学部の大変さなどをご紹介します。

この記事を参考に外国語学部のイメージを膨らませてみてください。

 

筆者の外国語学部入学理由

私は外国語学部卒で、英語、スペイン語ポルトガル語と日本語の4ヶ国語を使いながら海外駐在員として働いています。

私には兄姉が1人ずついます。どちらもアメリカの大学卒で経営やコミニュケーションの学位を修めました。つまり、日本の経営学部や国際学部で研究するようなことを英語で研究していたのです。

大学選びの時、迷いが生じました。日本の大学で経営学部や経済学部に入ったとしても、兄姉が英語で勉強したことを日本語で勉強することになる。かと言ってアメリカの大学に進学しても自分のオリジナリティを生み出すことはできない。

高3の自分は悩み、悩み、悩み、出した結論が外国語学部でした。

アメリカの大学への進学と外国語学部、一見アメリカの大学に進学すれば外国語学部より語学堪能になれる気がします。ですが、私が外国語学部を選んだのは外国語学部の研究内容に大きな魅力を感じたからでした。

 

国語学部は外国語を使う場所であり学ぶ場所ではない

国語学部は実は外国語を使う場所。イメージでは毎日語学の授業があって、プレゼンやディベートをして…という大学生活。ですが、実際はこれらの学びは全体の中の3割ほどを占めるだけで、残り7割は「地域研究」もしくは「言語学」を研究します。

この「地域研究」と「言語学」の内容は後ほど詳しくご説明しますが、これらの研究をするために、外国語学部では語学を学ぶのです。

つまり、外国語学部のゴールは語学を身に着けることではなく、身に着けた語学を使ってその言葉が使用される地域に関する研究とその言葉自体を研究することだということができます。

具体的には、外国語を使って原書購読(スペイン語ならスペインやラテンアメリカで発行されて書物)を行い、内容をディスカッションしたり、プレゼンしたり、レポートを書いたりします。他にも翻訳技術を磨いたり、実際に現地に行って調査するということも外国語学部の研究には含まれています。

国語学部における外国語学習(文法・会話)は主に1年生、2年生で基礎を学び、3年、4年では応用を学びます。そしてその語学の力が上述の様な外国語を読み、考え、まとめ、ディベートし、プレゼンし、レポートし、調査するという活動を行うための道具として使用されるのです。

ちなみに、私が入学して初めての授業がスペイン語会話だったのですが、いきなり外国人の教授が全てスペイン語で授業を始めて、「すごすぎる」と思った記憶があります。今思うと、使えるスペイン語を学ぶための序章に過ぎなかったのですが…

 

国語学部の語学の授業はどれくらいか

大学にもよりますが、例えば愛知県立大学スペイン語圏専攻の場合、外国語を学ぶ科目は、1年生で10単位、2年生で14単位、3(4)年生で20単位「スペイン語ポルトガル語カタルーニャ語」の授業が用意されており、内、必ず履修しなければならないのは言語文化コースで30単位、社会文化コースで24単位です。

外国語の単位は1科目1単位なので、言語文化コースでは年間10科目、つまり1年、2年、3(4)年で毎日1時間語学の授業がある計算となります。

卒業するために必要な単位数は124単位ですので、語学以外に約100単位の授業を地域研究や言語学、その他一般的な学問で取得しなければならないということです。

外国語学部 授業科目・単位一覧|情報公開・提供|愛知県立大学

 

語学を沢山勉強することももちろんできる

ちなみに、最低30単位/24単位ということなので、さらに語学を勉強することはもちろん可能。私は学生時代、上述の愛知県立大学に通っていたので、単位をいくら取得しても年間の学費が変わりませんでした(私立の多くの大学は卒業単位を超えるとお金を払う。教員免許等取得でも追加で授業料を支払う)。

ですから、4年間で230単位ほど取得(大学に8年通ったようなもの)したのですが、そのなかで、スペイン語以外にも英語、ポルトガル語、ロシア語、フランス語、韓国語、中国語の授業を受けた経験があります(物になったのはスペイン語、英語、ポルトガル語だけですが…)。

つまり、特に国公立大学であれば必修科目を超えて語学を学ぶことができるのが外国語学部なのです。ですが、あくまでこれはスキルとしての言語であって、外国語学部の本質ではありません。

 

※外国語学部と文学部の違いとは

sumikuni.hatenablog.com

 

国語学部で研究する地域研究

国語学部での学びが語学ではなく、地域研究や言語学と書きましたが、それらはどんなものなのか。

まず、地域研究ですが、自分が所属している専攻学科の地域を研究する学問です。例えば、政治、経済、歴史、文化(芸術・音楽等)、地理、文学etc。

簡単に言えば、日本の政治学科、歴史学科、地理学科、国文科などで学ぶことと同じようなことを専攻地域ごとに学びます。私は最終的に「ラテンアメリカの政治」を研究しました。

一般的に1年生、2年生、3年生では、歴史学政治学、経済学等の基礎を学びます。マクロ経済がどうこう、新自由主義がどうこう、など、理論を中心に学びます。そして、3年生、4年生では1・2・3年生で学んだ理論を基に専攻地域の地域研究(実際その地域ではどうなのか)を研究していくのです。

この3・4年生で研究する地域研究ですが、当然のように原書購読(外国語文献を読み解く)を行います。また、現地に行って調査を行うフィールドワークも重要な調査方法です。フィールドワークで現地でインタビューしたり、実際に自分も参加したりして研究資料を集めます。つまり、この原書購読やフィールドワークが滞りなくできるように準備するのが、1年生、2年生、3年生の語学の授業なのだと言えます。

 

地域研究の内容を少しだけ紹介

地域研究がどのようなものかが少し分かったところで、具体的な地域研究の内容を、「ラテンアメリカ政治」の分野少しだけご紹介します。

新自由主義という概念があります。この理論を使用した例で有名なのは小泉政権が行った郵政の民営化です。この概念は、「小さな政府を目指すこと」に重きを置いたもの。海外でもサッチャーレーガンなどが新自由主義を念頭に置いた政治政策を実施したということで有名。

この新自由主義、実はラテンアメリカで初めて実用化されたのです。ですから、ラテンアメリカは「新自由主義の実験場」と呼ばれていました。中でも、チリのピノチェトは、1974年から1990年まで独裁的にチリを支配していたのですが、彼が世界で始めて新自由主義を国政に導入したといわれています。

日本が好んで用いるようになった概念「新自由主義」ですが、実はラテンアメリカでは既に実装が進んでおり、このラテンアメリカの事例、新自由主義の功罪を研究することで、今後日本でどのような変化が起こりうるかということを考えたりするのが、地域研究なのです。

 

国語学部て研究する言語学

地域研究と並んで外国語学部のメインテーマとなる学問が言語学です。

言語学とはなんぞや!?というのが疑問なのですが、言語学は語学学習とはまったく異なるもの。大別すると、

①言語の構造や音声など、言葉自体を研究するもの 

②言葉と社会とのつながり(歴史的・現在)を研究するもの

の2つ。

言語学はとても奥が深い分野で、簡単には説明できないのですが、例えば①の文法や言葉の構造を勉強する言語学の例として、私の友人は、前置詞(atとかonとか)を研究しています。この言語学の理論を用いて、日本語の構造なども考えることができます。

※言葉の構造についての学びはこんな感じです

日本語の「は」と「が」の違いって? - すみくにぼちぼち日記

 

②の社会とのつながりを学ぶ社会言語学の例としては、例えば「何故英語はフランス語の影響を受けているのか」などがテーマとなります。

※社会言語学の一例はこちら

英語の語彙は何故多いのか-英語とフランス語の関係から考える - すみくにぼちぼち日記

 

このように、言葉の構造や言葉の変遷、周辺言語との関わりなどを学ぶのが、言語学なのです。

※一度言語学を学んでみたいという場合にはこちらの本がお勧めです。 

言語学が好きになる本

言語学が好きになる本

  • 作者:町田 健
  • 発売日: 1999/01/01
  • メディア: 単行本
 

 

国語学部で学べる色々なこと

以上のような、外国語、地域研究、言語学が外国語学部で学ぶ3大重要なことですが、他にも色々学べるのが外国語学部の良いところ。

例えば、日本語教育や通訳技術を学んだりや英語教員免許取得なども大学によっては可能です。私も高校英語、高校地歴の免許を取得しました。

これらの授業を選択すると、上述の研究に+αで、教育学、日本語学、日本語教授法、英語学、英語教授法、スペイン語教授法などなども大学で学ぶことができます。

 

※外国語学部と国際学部の違いとは

sumikuni.hatenablog.com

 

入学したからには遊ぶ時間はないと思え

よく、「文系の大学生は遊び放題」などの参考意見を聞くことがあると思うのですが、外国語学部に入学したらこの考えは捨ててください。この遊び放題を外国語学部の1年生で実施すると、8割型退学するか留年します(卒業できません)

なぜなら、外国語学部に入学すると、外国語が使えないと授業についていくことができないから。したがって、1年生から毎日毎日外国語のテストやら本読みやら発表やら暗唱やら、兎に角時間がいくら合っても足りないくらいの勉強をします。空きコマは食堂や図書館で勉強、電車の中も勉強。

2年生、3年生も大変。外国語学部は本当にプレゼンや発表が多いので、ものすごく沢山準備します。また、原書購読などは事前準備していないと、普通に授業で「いないもの」の様に扱われます。飛ばされます。教授は待ってくれません。友人たちからも「こいつ予習して無いの?信じられない」というような白い目で見られます(1年生の時に経験済み)。

私は大学入試もそれなりに勉強したのですが、大学に入ってからのほうが圧倒的に沢山勉強しました。また、国語学部は真面目にコツコツと勉強するタイプの学生が多く、一度勉強を疎かにすると、一瞬でついていくことができなくなり、授業に出ることが苦痛になります

国語学部で外国語が分からない状況がどれくらい悲惨かというと、数学1Aが分からない状態で数学科に入学するくらい大変です。

ですから、外国語学部入学後は真摯勉強し、しっかりと予習復習し、卒業できるように頑張ってくださいね。

 

※世界史の勉強でおすすめな本はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

論文提出後も気が抜けない

国語学部卒業に向けて、最終的には論文を書くこととなります。愛知県立大学の場合、

①論文を書くときに用いた参考文献の何割が原書(スペイン語の本)であること

②日本語で論文を書く場合、要約文をスペイン語で書くこと(外国語での論文提出の場合は日本語の要約)

③口頭試問(論文に対する質疑応。答論文提出後に実施)を日本語とスペイン語両方で行うこと 

など、取り決められていました(詳しい取り決めは忘れました)。

参考文献をスペイン語で読むことは言うほど大変ではないのですが(それまでの授業で沢山訓練する為)、論文の要約は、要約といっても結構な分量をスペイン語で書く必要があり、また、口頭試問でスペイン語が話せないと非常にまずいことになります。

愛知県立大学スペイン語圏専攻の場合、毎年この「論文のスペイン語での要約」と「口頭試問でスペイン語を話すこと」ができず、就職が決まっているのに卒業できない学生が3-5人ほど出るくらい厳しいものでした。

教授のコメントは、「外国語学部で外国語ができないのに卒業させるなんて不良品を世の中にばら撒くようなもの」という辛辣なもの。自分が不良品として世の中にばら撒かれたのでないことを切に祈ります。

 

国語学部出身者は通訳か翻訳家かCAかアナウンサーになるのか

国語学部の就職先は通訳、翻訳家、CA、アナウンサーの4つというイメージがありますが、実際はそんなことはありません。一説によると、外国語学部出身でも専門知識を仕事で使用しているのは数パーセントだそうです。

私の学科は全員で50名くらいだったのですが、通訳、翻訳家、CA、アナウンサーは確かにいますが、1人ずつ位でした。

国語学部の出身でも商社やメーカー、銀行に勤める人もいますし、職種も営業、総務から工場管理まで様々です。ですので、就職先はあまり気にせず、興味がある学部を選ぶと良いかなと思います。

ちなみに、愛知県立大学は愛知県にあるので、メーカー就職が多いです。

愛知県立大学 キャリア支援室

 

外国語を使いこなすことが求められ授業も大変だけど外国語学部に入学してよかったと社会人になって強く実感している

ここまで、外国語学部の授業内容についてご紹介しました。如何だったでしょうか。外国語学部は文系学部ですが、覚えることも多く、初めは高校の授業の様に暗記とテストばかりで大変です。2年、3年と学年が上がっても、兎に角沢山勉強し、発表し、読書し、議論し…ものすごく勉学に打ち込める学部だと思います。

そんな外国語学部を卒業して思うのは、「自分の選択は中々良かったんじゃないか」ということ。運良く専門性を発揮できる職場に就職し、駐在員として日々外国語を使用しているという、実質的な利点もありますが、一番は大学時代の勉強で自信がついたことが「選択が良かった」と思う理由です。自分としては学生時代ものすごく努力したという自負があり、社会人になっても「あの頃よりは大変じゃないかな」と思えています。

そして、何よりも大学の勉強が楽しかったことが一番大きいです。興味があることに打ち込み、友人たちと意見を交換し…。そしてついでにスペイン語ポルトガル語も話せるようになって、4ヶ国語話者となりました。今考えると、大学生活を通し、大学選びの時に考えた「兄姉とは異なる自分のオリジナリティ」を身につけられたかなと思います。

 

※留学の魅力についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※留学と語学レベルの関係についてはこちら
sumikuni.hatenablog.com

 

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