すみくにぼちぼち日記

メキシコ生活や欧米旅行記、語学、大学、美術館について

海外で下手になる日本語-原因と対策を検討する

海外に住み始めて、日本語と関わる機会が劇的に減り、日本語が急激に下手になってしまいました。今回はそんな海外に来て感じた日本語の衰えについて書いていきたいと思います。

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どんどん漢字が書けなくなる

こないだお客さんを訪問した際、メモを取ろうと思ったのですが、顧客の顧や、既存の既が出てこなくて戸惑いました。

日本にいた頃から学校のレポートや仕事のメールなどはほぼ全てパソコンで書くという環境にあり、高校卒業後、自分の漢字能力がだんだんと落ちていっているという実感はあったのです。ですが、ここまで漢字が書けなくなっているということは想像もしていませんでした。

以前は漢字なんて書けなくても変換できるから大丈夫だと思っていたのですが、いざ本当に漢字が書けなくなるとものすごく不便です。例えば、年賀状に一言添えるとき、自分の書いた日本語が間違っていないか不安になり、漢字が出てくるごとに携帯で調べるというのが普通になっていますし、会社で上司や同僚に置き手紙を残すときも漢字ミスが気になります。

そして今回私が経験したのが、お客さんを訪問し、メモを取ろうとしたときに、頭で考えたことが手で表現できず、悩んでいるうちに次の話題になっているという事態。お客さんとスペイン語で話しているとき、日本語は出てくるのですが、漢字が思い出せず、大変でした。

こんなに日本語の書く能力が低下するとは思っていなかったので、軽くショックを受けました。

日本語が出てこなくなる

書けなくなことも深刻ですが、言葉が出てこなくなることも困りものです。

最近、あれ、これ、なんか、などの抽象的な単語を発することが多くなりました。

また、話してると日本語が出てこず、「なんていうんだったっけ?」と頭をひねってしまいます。

見ない日本語-原因1

何故、海外に住むと日本語ネイティブなのに日本語が下手になるのでしょうか。ここからはその原因を考えたいと思います。

海外では日本語を見る機会がありません。看板も外国語、レストランや喫茶店のメニューも外国語です。そのため、自分の中に日本語がインプットされる機会が極端に減ってしまいます。

日本語を見る機会は仕事では本社とメールをする時、報告書作成の時、または資料を読むときくらい。日常生活では本を読む時やインターネットを見る時です。

これで十分だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、上で挙げた機会はどれも能動的に行動する必要がある行為で、つまり、日常生活で自然と、気がつかないうちに日本語が目に入っているという非常に重要な機会は全くないという問題があるのです。

人間が言語を獲得する時には確かに読み書きを練習したりもするのですが、何よりも周りから聞こえる言葉、知らず知らずの内に目に入ってくる文字がとても重要で、その点において海外で日本語を目にする機会が減る事は日本語能力低下に大きな影響を及ぼしているのだなと実感する毎日です。

書かない漢字-原因2

日本語を書く機会は日本にいても大きく減っているのが現状。事務仕事や学校のレポートもパソコンで書くのが当たり前の時代です。

書く機会が減るというのは、私達の書く能力低下に大きな影響を及ぼします。それは日本に住んでいた時にも自分自身感じていました。

ただ、メキシコにて、これまでよりもさらに日本語を書く機会が減りました。日本にいた頃は履歴書、メモや置き手紙、年賀状、ファックス、送り状など、日本語で書く機会もあったのですが、メキシコでは日本語を書くということを全くしなくなりました。1ヶ月間1文字も日本語を書かないこともしょっちゅうです。代わりにスペイン語を書く機会は増えたのですが…

メモは現地語と日本語のミックス

仕事中にとるメモについても変化がありました。日本にいた頃は事務所でメモを取るときはもちろんのこと、中南米のお客さん回りの時も外国語で聞いたことを頭で日本語に変換してからメモを取っていました。しかし、メキシコに住むようになってから、スペイン語で聞いたことはスペイン語でメモするようになりました。これは、頭で日本語に訳すると頭が疲れるというのが理由なのですが、そのため、自分のメモにも日本語はほとんど出てこなくなってしまいました。

このように、海外に住んでいると、長く住めば住むほど、日本語を書くという機会が減っていくのです。

 

会話は基本スペイン語-原因3

海外に住むと、日本語を話す機会も減っていきます。留学では海外の友達が増え、次第に外国語を使う機会が多くなっていきますし、仕事でも、日常会話は外国語、職種によっては仕事でも外国語を使用します。

私の場合、オフィスには日本人が一人いるためたまに日本語を話しますが、従業員とはスペイン語で会話します。会議なども全てスペイン語で実施するため、一日中スペイン語で会話します。また、お客さんも現地企業への営業が9割を占めているので、お客さんとの会話もスペイン語です。そのため、単身赴任の時は、1ヶ月間一度も日本語で話さないということがよくありました。家族が来てからは家で日本語を話せるので、そんな事はなくなりましたが…

ちなみに、1ヶ月間一言も日本語で会話しない生活になると、次第にテレビと会話し始めます。また、本や漫画、ゲームをする時にも勝手に日本語が口から出てきてしまうという、独り言をずっと呟いている変な人間になってしまいました。

また、日本語を話さなくなると、語彙が減ります。感覚でいうと、「ここまででてきてるんだけど」ということが非常に増えました。

海外では日本語を話す機会が減り、そのことも、日本語が下手になる要因の1つだったのです。

 

日本語を忘れないためには

ここまで、海外で日本語を忘れる原因を見てきました。そこで、海外でも日本語を忘れないために何をすべきかを考えたいと思います。

1.本やニュースを読む時に漢字に注目する

これまで、なんとなく読んでいた本やニュース。ですが、インプットの機会が圧倒的に不足する海外では、日本語を読む時に、漢字1つ1つに注目する事で、意識的に漢字を頭にインプットするといいかなと思います。

子どもの場合には、小・中学生なら日本の教科書を読んだり、もっと幼ければ絵本を読み聞かせたりすることで日本語と触れ合う機会を作るといいでしょう。

2.できる限り日本語でメモを取る

日本語で文書を書くのはなかなか機会がないのですが、メモを取る機会はあります。そんな時に、できる限り日本語でメモを取る事で、日本語を書く機会を増やしていくことが大切かなと思います。

子どもの場合、通信教育を受けたり、漢字ドリルを使う、補習校に通うなどして、できる限り書く機会を増やせるよう、親として注意したいです。

3.日本語で話す相手を見つける

日本語で話す機会がない場合には、話し相手を見つけるというのも大切です。現地に友達を作ったり、日本にいる家族に電話したりすることで、日本語を話す機会を作るのも、是非試してみたい方法です。

子どもの場合も、日本語を話す友達と遊んだり、大人の会話が聞こえるように会話したり、テレビで日本語を聞かせたり、できる限り日本語と触れ合う機会を増やしていくことが大切かなと思います。

終わりに

今回は海外で日本語が下手になってしまうことの原因と対策を考えてみました。自分を例に考えてみて、大人でも忘れてしまう日本語なのですから、子どもたちが海外に来て日本語を忘れるというのも必然なのかなと思いました。

大人も子どもも、母語を忘れないためにも、日々意識しながら日本語と触れ合う機会を大切に、毎日を過ごしていければ良いなと思います。

 

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