すみくにぼちぼち日記

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日本語の「は」と「が」の違いって?-新情報、旧情報の概念を用いて説明する 

突然ですが、日本語の「は」と「が」の違いをご存知でしょうか?日本に住んでいると考えもしないこの「は」と「が」の違いですが、日本語を勉強している日本語学習者にとってはこの違いを理解するのが難しい難問だが一方でとても面白いテーマだそう。

今回はこの面白いテーマである、「は」と「が」の違いを見てみたいと思います。

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「は」と「が」の違いを1行で

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文法書には、「は」は係助詞、「が」は格助詞と書いてありますが、そもそも係助詞と格助詞とは何ぞや?というところが問題です。この何ぞや?を解決するために、まず日本語の基礎文法から振り返っていきましょう。 

と言いたいところですが、実はこの「は」と「が」の違い、1行で説明できるのです。

『「は」は前の情報を知っている時に使い「が」は後の情報を知っている時に使う。』

言い換えると、

『「は」は前が旧情報、後が新情報。「が」は前が新情報、後が旧情報』ということです。

1行で説明できると大言壮語を吐いてしましましたが、分かったような、分からないような。。。ですね…そこで、例文を見ていきましょう。

 

「は」と「が」の使い分けの例

①私は太郎です。

②私が太郎です。

この二つの違いを上の説明に当てはめて考えてみると、①「私は太郎です」の場合、「は」の前の情報を周りが知っている(旧情報)ということです。

想像してみるのは、自己紹介です。自己紹介をするとき、周りの人は、「私」という人物を見ています。つまり私のことは知っているが、私の名前は知らないという状態です。「太郎」という情報が人々が知りたい、新しい情報なのです。ですから、「私は太郎です。」は周りが「私」を認識し、「太郎」という情報(新情報)を知りたい時に使います。

一方で、②の「私が太郎です」は自己紹介では使いません。使うのは病院の受付。病院の受付を想像してみましょう。

看護師さんが「太郎さん、太郎さん」と太郎さんを探しています。そこで、待合にいた太郎さんが「私が太郎です」と名乗りでます。この場合、看護師さんにとって「私が太郎です」という文の「太郎です」の部分が既に知っている情報(旧情報)で、知りたいのは、「誰が太郎さんか」(新情報)ということです。このシチュエーションで使用できるのが、「私が太郎です」という②の文になります。「私が太郎です」というのは、言い換えると、「太郎は私です」ということなのです。

 

もう一つ例を出して考えてみます。

①新元号は令和です。

②新元号が令和です。

2019年の4月1日に、新元号が発表されました。その際に、使うのは①と同じパターンで、「は」を用いる「新元号は令和です」という文章。

国民一人ひとりが新元号を今か今かと待ち望んでいるので、「新元号は」の部分が既知の情報(旧情報)で、「令和です」が新しい情報(新情報)となります。

一方、テレビで菅官房長官が「令和」という文字を掲げている時に、子どもが、「令和ってなに?」と聞いてきます。その時に使うのが、「新元号が令和だよ」という言葉。子どもにとっては「令和」という言葉を初めに認識ししているので、「令和だよ」が旧情報、反対に、令和が新元号だということが分からないので、「新元号」が新情報となります。

次の文章ではどの様に「は」と「が」が使われているのでしょう。

令和は万葉集由来の言葉で梅花の歌三十二首の序文、

時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。加之、曙の嶺に雲移り、松は羅を掛けて蓋を傾け、夕の岫に霧結び、鳥はうすものに封めらえて林に迷ふ。

 の令月の令と風和ぎの和が元号として使用されました。」

この文章を見てみると、すでに国民は新元号である「令和」を知っているので、「令和は」が旧情報。「万葉集由来の言葉で」が新情報です。

そして、その後に続く文では、最期に書いてある「元号として使用されました」という部分が旧情報。なぜなら、もう既に皆元号として使用されたということは知っているからです。

そして、その直前にある「が」から前の「引用文+令月の令と風和ぎの和が」という部分が私たちが知りたい部分、つまり新情報となるのです。

 

結局「は」と「が」はどうやって使う?

ここまで例を見てきましたが、結局のところ、どのように「は」と「が」を使うのか。それは、「は」の時は「○○です。」が大事!、「が」の時は「××が、」が大事!ということです。つまり、「私は太郎です。」は「太郎です」が周りが知りたいこと。「私が太郎です。」は「私が」が皆が知りたいことなのです。

英語で考えるなら、I am Taro. が私は太郎です。Taro is me.が私が太郎です。となります。

 

終わりに

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今回は日本語の文章における「は」と「が」の違いを3つの例を参考に考えてみました。「は」と「が」の違い、いかがでしたか?

私がこの違いを学んだ時は「なるほど!」という感動が頭を閃光のように駆け抜けた感じがして、今でもその時にのことを鮮明に覚えています。日本語も、小さな違いをじっくり考えてみると、意外と面白い発見があったりするというのも同時に感じました。

今回は日本語の「は」と「が」に焦点を当てて紹介してみましたが、皆さんも是非、日常使う日本語の中の小さな面白さを探してみてください。

 

※日本語とポルトガル語の関係についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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