すみくにぼちぼち日記

メキシコ生活や欧米旅行記、語学、大学、美術館について

コンテンポラリーアート美術館(Museo de arte contemporaneo)-メキシコ サンルイスポトシのおすすめ美術館

メキシコのサンルイスポトシには、Museo de arte contemporaneoという、コンテンポラリーアート美術館があります。

展示されているのは大迫力のストリートアート。

表現の方法としてストリートアートを捉える面白い美術館です。

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コンテンポラリーアート美術館(Museo de arte contemporaneo)-メキシコ サンルイスポトシのおすすめ美術館

メキシコのサンルイスポトシのセントロには、ストリートアートを展示するコンテンポラリーアート美術館があります。

ストリートアートというと、街中の壁に描かれる絵画で、一般的に違法行為であったり、海外ではこのアート(落書き)がある地域は治安が悪いことが多く、このアートがあるかどうかがその場所の安全性の指標ともなります。

そのような、少しネガティブなイマージを持つアートがストリートアートなのですが、この美術館ではそのストリートアートを一つの表現方法として捉えなおし、その無限の可能性を提示してくれる、素晴らしい展示を楽しむことができます。

 

作品紹介

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それでは早速作品を紹介していきたいと思います。


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メキシコでは、ストリートアートを表現として捉えなおす活動が行われているようで、各地のアートの様子を紹介した展示からスタートしていました。


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ストリートアートもほ他の絵画と同じように、作品に作者の思いが込められていて、それを考えながら見るのがとても面白い美術館でした。


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一面がストリートアートで覆われていて、大迫力の展示。


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こちらの絵画、すごく過激な言葉で埋め尽くされているのですが、反面、絵自体はすごく静かな、動的ではなく静的な絵画だなと感じました。

気になってしまったので、解説を読んでみました。


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「何か伝えることがあるなら、皆に伝えなければならない(中略)、アートは、捕まることがないことで表現される。描いてはいけない場所で描く。警備員に捕まらないように逃げる。 家に着く。 やってやった! これまでで最高の作品。 ドラッグやセックスなんかよりも全然すごい! グラフィティは多くの物から私たちを救ってくれる。」


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先ほどのメッセージを見て、グラフィティと呼ばれるこのアートが、すごく意味のあるものなんだなと感じました。ただただ綺麗で壮大。でもそれだけじゃないグラフィティ。


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内包された激しさを表現できない感情を、グラフィティは表現しているのでしょうか。


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さて、そんなことを考えるのもつかの間、ただただ美しい別世界に連れて行ってくれるのもこのストリートアート。


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想像力、創造力。


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一つ一つの作品が力強くカッコいい。


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そして可愛い。


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これまでこんなにじっくりとストリートアートを見たことが無かったのですが、とても不思議な時間を過ごすことができました。

 

雰囲気

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この美術館は、ストリートアートのみの展示ですが、とても楽しむことができました。

小休憩スペースにもちょっとしたアートが。


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旧市街の真ん中にあるので、テラスも公開されていました。


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テラスにもこんな感じのアートが。


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旧市街をテラスから見渡せるのも素敵だなと思いました。


f:id:k-heki:20210403140144j:imageこのように、製作風景の映像も流れていました。

 

アクセス

コンテンポラリーアート美術館は、サンルイスポトシの旧市街にあります。大聖堂から徒歩で5分ほどの位置にあります。

入場料は20ペソ(100円)、写真撮影も可能です。

 

住所:Calle Morelos 235, Centro Historico, 78000 San Luis, S.L.P.

 

 

 

終わりに

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この記事では、メキシコのサンルイスポトシにあるMuseo de arte contemporaneoをご紹介しました。

ストリートアートをじっくりと堪能することができる美術館で、とてもおすすめ。

サンルイスポトシ観光の際は是非コンテンポラリーアート美術館に足を運んでみてください。

 

※サンルイスポトシ日本食屋さんはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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平山郁夫が描く世界遺産展の感想-松坂屋美術館 2020年12月12日から21年1月24日

名古屋市の栄にある松坂屋美術館で開催されている「平山郁夫が描く世界遺産展」を見に行きました。

この記事では、「平山郁夫が描く世界遺産展」の感想をご紹介します。

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平山郁夫が描く世界遺産展の感想-松坂屋美術館 2020年12月12日から21年1月24日

今回松坂屋美術館で開催された「平山郁夫が描く世界遺産展」は、平山郁夫生誕90周年を記念して、滋賀県守山市の佐川美術館が所蔵している平山郁夫の作品を展示した美術展です。

平山郁夫は1930年に広島で生まれ、1947年に東京美術学校(現東京藝術大学)に入学し日本画家を志し、1953年に第38回院展に初入選し、画家としての第一歩を歩み始めます。

平山郁夫は自身の被爆体験などから、日本国内外の文化財保護にも取り組み、文化遺産が民族紛争や自然崩壊などで失われている状況に心を痛め、「文化財赤十字構想」を提唱し、生涯にわたり活動を続けました。

この展示会はそんな平山郁夫の作品の中でも特に仏教伝来をテーマに描かれた絵画が多く展示されていました。

 

展示会の作品紹介と感想

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この展覧会では、とくにアンコールワット遺跡で平山郁夫が描いた素描と本画、イランなどの中東の遺跡を描いた素描と本画が多く展示されていました。

素描は水彩が多く、構図や色合いなどを絵画として記録していたというところに驚き、本画との比較をも楽しむことができた展示でした。

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特に印象に残ったのがこのシルクロードの絵。

青一色描かれ、左から右へ流れていくときの流れが静謐さを生み出しています。月明かりと夜の静けさの中に自分がいるような、そんな気持ちになる作品です。

 

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展示の後半は日本の寺社仏閣を描いた絵も多く展示されていました。

こちらは法隆寺。木々の間から五重塔を望む構図が斬新で、面白い作品だなと思います。


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そして宮島です。

優しい色合いと心地よい穏やかさがとても印象的な作品でした。

今回の展覧会では、多くの遺跡の絵や文化財の絵が展示されており、平山郁夫の心の中に秘めていた平和への強い願いを感じられた展示会だったなと思います。

 

終わりに

この記事では、名古屋市の栄の松坂屋美術館で12月12日か1月24日まで開催されている、「平山郁夫が描く世界遺産展」をご紹介しました。

平山郁夫の作品を堪能することができる美術展ですので、名古屋の栄を訪れたときには是非足を運んでみてください。

 

※世界三大美術館についての記事はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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世界三大美術館ってどこ?-ルーブル, プラド, エルミタージュ, メトロポリタン美術館を紹介

美術館について調べているときなどに耳にする「世界三大美術館」という言葉。世界中の美術館の中でも特に規模が大きかったり、来関数が多い美術館につけられる名前です。

くくり方によって選ばれる美術館には様々なバリエーションがあるのですが、この記事ではそんな世界三大美術館として、ルーブル、プラド、エルミタージュ、メトロポリタンをご紹介します。

ルーブル美術館 パリ

 

世界三大美術館ってどこ?-ルーブル, プラド, エルミタージュ, メトロポリタン美術館を紹介

メトロポリタン美術館 ニューヨーク

フランスのルーブル美術館、スペインのプラド美術館、ロシアのエルミタージュ美術館アメリカのメトロポリタン美術館を組み合わせて世界三大美術館と呼ぶことがあります。

規模や来場者数を指標として名づけられた「世界三大美術館」というい言葉ですが、これらの美術館が所有するコレクションの数々はどの作品も心に響く名作ばかり。

この記事ではルーブル、プラド、エルミタージュ、メトロポリタンの概要やそれぞれの美術館が所有する作品を紹介します。 

 

ルーブル美術館(フランス パリ)

ルーブル美術館 パリ

世界で最も有名な美術館と言っても過言ではないルーブル美術館。入り口のガラスのピラミッドが印象的で、広大な敷地に38万点以上の作品を所蔵しているのだとか。美術館見学で充実した1日を過ごせるほどの展示内容となっています。

ルーブル美術館の建築のおおもとは、フランス王フィリップ2世が12世紀要塞として建設したルーヴル城。現在の建物にも要塞として使用されていた当時の面影が一部残っているそうですが、基本的には増改築が繰り返された形で、現在のルーヴル宮殿の建物となっています。

 

ルーブル美術館 パリ

ルーブル美術館の鑑賞で真っ先に見に行きたいのがこちらの『モナリザ』。フランス語ではLa Joconde(ラ・ジョコンド)と呼びます。モナリザの作者はあの天才レオナルド・ダ・ヴィンチです。

 

ルーブル美術館 パリ

もう一つの絶対に外すことができない作品が『ミロのヴィーナス』。古代ギリシャで製作された彫刻の女性像です。

 

ルーブル美術館 パリ

他にもドラクロワの『民衆を導く自由の女神』やダヴィッドの『ナポレオンの戴冠式』など超有名作品が揃っています。

また、ルノワールドガなどの印象派フェルメールやベラスケスなどの有名画家の作品も多く展示されています。

 

ルーブル美術館の詳しい解説はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

ルーブル美術館の所在地:フランス パリ

ルーブル美術館はフランスの首都パリの中心部に位置しています。シャンゼリゼ通りから歩いていくことができる美術館です。

 

 

 

プラド美術館(スペイン マドリード

プラド美術館 マドリッド

スペインの首都マドリードプラド美術館。スペイン芸術を中心としたコレクションが有名で、2万点を越える芸術作品が所蔵される美術館です。

コレクションの基礎はスペイン黄金期を築いたフェリペ2世と、芸術を深く愛したフェリペ4世が築たもの。1819年11月19日に「王立美術館」と称して開館したのが始まりです。

プラド美術館のおすすめ画家はティツィアーノエル・グレコ、ベラスケス、ムリーリョ、ゴヤなどのスペインゆかりの巨匠たち。

プラド美術館 マドリッド

特に、スペイン王フェリペ4世の家族を描いた『ラス・メニーナス』は最大の見所。

この絵画の面白いところはその視点。この絵の左側に画家ベラスケスが描かれているため、『ラス・メニーナス』は誰がどこから見ているなのか分からない構図となっています。しかし、奥にある鏡に注目すると、そこにはなんとフェリペ4世夫妻の姿が。

そう、実はこの絵画は、フェリペ4世夫妻がベラスケスが娘マルガリータの絵を描いているところに訪れ、それに気づいた女官たち(ラス・メニーナス)が挨拶しているところを描いた絵なのです。

他にもゴヤの『我が子を食らうサトゥルヌス』や『マドリード、1808年5月3日』、エル・グレコの『受胎告知』なども絶対鑑賞したい作品です。

 

プラド美術館の詳しい解説はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

プラド美術館の所在地:スペイン マドリード

プラド美術館はスペインの首都マドリードにある美術館です。

マドリードの総合駅であるアトーチャ駅から徒歩10分ほどのところにあります。

 

 

 

エルミタージュ美術館(ロシア)

エルミタージュ美術館 モスクワ

エルミタージュ美術館はロシアのサンクトペテルブルクにある美術館。

1764年にエカチェリーナ2世がドイツの画商ゴツコフスキーが売り出した美術品を買い取ったのが、エルミタージュ・コレクションのはじまりだそう。

所有作品数は300万点に上り、大規模なコレクションを楽しむことができます。

エルミタージュ美術館の作品の中でも特におすすめなのが、上の絵、『ダナエ』。レンブラント作のギリシャ神話を題材とした作品です。

 

エルミタージュ美術館 サンクトペテルブルク

また、印象派の作品も見所の一つ。こちらは、モネ作の『タンドレスの庭』。モネが描く風景は本当に美しく、癒されます。

他にもルノワールゴッホセザンヌ、ルソーなどの印象派作品も楽しむことができます。

 

エルミタージュ美術館の詳しい解説はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

エルミタージュ美術館の所在地:ロシア サンクトペテルブルク

エルミタージュ美術館はロシアのサンクトペテルブルクにある美術館です。

美術館に沿うようにネヴァ川が流れており、ネヴァ川の遊覧船から川の畔に佇む美しい美術館の姿を鑑賞することもできます。

美術館は本館と新館に分かれており、本館がメインの展示、新館は近現代美術の展示となっています。

 

 

 

メトロポリタン美術館アメリカ)

メトロポリタン美術館 ニューヨーク

ニューヨークにあるメトロポリタン美術館も世界三大美術館の一つに数えられることが多いです。

200万点もの作品を所蔵している美術館で、1870年に開館しました。古今東西問わずあらゆる時代、地域、文明、技法による作品を収集している大規模なコレクションが特色で、この規模の美術館にしてはとても珍しい私立の美術館です。

 

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ゴーギャンゴッホクリムトピカソフェルメールなどの名立たる画家たちの作品を鑑賞することができるメトロポリタン美術館ですが、調度品や宝石などの展示も素晴らしいです。

こちらは赤い水差しですが、水差しの上の方に桐の紋が入っており、日本と関係がある品物だということが分かります。

日本とのつながりを感じられる展示品もありますので、是非探してみてください。

 

sumikuni.hatenablog.com

 

メトロポリタン美術館所在地:アメリカ ニューヨーク

メトロポリタン美術館アメリカのニューヨークの中心である五番街沿い、セントラルパークの東側にあります。

ニューヨーク観光では外すことのできない有名スポットですので是非足を運んでみてください。

 

 

終わりに

ルーブル美術館 パリ

この記事では世界三大美術館と称される4つの美術館、ルーブル美術館プラド美術館エルミタージュ美術館メトロポリタン美術館をご紹介しました。

どの美術館も素晴らしい作品と歴史的な建築物に感動すること間違いなしですので、是非一度足を運んでみてください。

 

※美術館で宗教画を楽しむ方法はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※美術館で印象派をより楽しむ絵画の見方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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世界最高峰のコレクションを持つメトロポリタン美術館の作品を紹介-メトロポリタン美術館 アメリカ ニューヨーク

世界3大美術館にも数えられるニューヨークのメトロポリタン美術館は、印象派などの近代絵画を中心に素晴らしい絵画を楽しむことができる美術館です。

この記事ではそんなメトロポリタン美術館をご紹介します。

メトロポリタン美術館 ニューヨーク

 

世界最高峰のコレクションを持つメトロポリタン美術館を紹介

メトロポリタン美術館 ニューヨーク

メトロポリタン美術館アメリカのニューヨーク市マンハッタンにある世界最大級の美術館です。ニューヨーク位置の繁華街5番街に面するセントラル・パークの東端に位置しています。

古今東西あらゆる芸術を鑑賞することができる美術館です。

 

メトロポリタン美術館の芸術作品紹介

メトロポリタン美術館 ニューヨーク

メトロポリタン美術館では絵画のみならず食器や宝石なども楽しむことができます。

 

メトロポリタン美術館 ニューヨーク

美しい水差し。赤い色で染まっているのですが、海老の上のほうにある紋は桐の紋に見えます。皇室もしくは日本と関係がある水差しなのでしょうか。

 

メトロポリタン美術館 ニューヨーク

こちらはアメリカ大陸の絵が描かれたテーブルです。

 

メトロポリタン美術館の絵画

メトロポリタン美術館 ニューヨーク

メトロポリタン美術館には、モネ、ゴッホドガルノワールなどの印象派ブリューゲルフェルメールなどのオランダ絵画、アンリ・ルソーピカソセザンヌなどのポスト印象派、カラヴァッジョ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラントと言った巨匠たちまで、幅広いジャンル、時代の絵画を楽しむことができます。

数ある素晴らしい作品の中で、今回ご紹介するのはロバート・フレデリック・ブルームの『飴屋』。

ブルームは1857年に生まれた画家で、1876年のフィラデルフィア万博で日本に興味を持ち、多くの日本を題材とした絵画を描きました。

この『飴屋』は1893年に描かれた絵画で、群馬県伊香保温泉でのひとコマを描いた作品ではないかといわれています。

明治時代の人々の暮らしを生き生きと描いた作品です。

 

印象派をより楽しむための見方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

 メトロポリタン美術館へのアクセス

ニューヨーク

メトロポリタン美術館は、ニューヨークの五番街から徒歩で行くことができる、セントラル・パークの東端に位置しています。

 

 

 

メトロポリタン美術館の入場料

入場料は25USD。2018年までは寄付という形で希望額を支払う制度でしたが、2018年3月から大人25ドル、65歳以上17ドル、学生12ドル、12歳未満は無料となりました。

Tickets | The Metropolitan Museum of Art

 

メトロポリタン美術館で世界中の作品を鑑賞

ニューヨーク

この記事ではニューヨークのメトロポリタン美術館をご紹介しました。

世界各国の作品を、様々な年代ごとに鑑賞することができるメトロポリタン美術館。素晴らしい作品、自分好みの作品とであることができる美術館ですの、アメリカ旅行の際は是非メトロポリタン美術館へ足を運んでみてください。

 

※フランスのルーブル美術館はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

※スペインのプラド美術館はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

 

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ヴェルサイユ宮殿の庭園紹介-泉や風景など世界遺産を余すことなく楽しむための豆知識

ヴェルサイユ宮殿では煌びやかな内装や美しい美術品、目も眩むほど豪華な部屋の数々を堪能することができるのですが、広大な庭園も見所の一つです。

この記事ではヴェルサイユ宮殿の庭園をご紹介します。

ラトナの泉水

 

ヴェルサイユ宮殿の庭園紹介-泉や風景など世界遺産を余すことなく楽しむ

ヴェルサイユの庭園は、ルイ14世の統治下でヴェルサイユ宮殿建設と同時期に作られました。設計は造園家アンドレ・ル・ノートル。彫刻や噴水の図案には、宮廷画家でヴェルサイユ宮殿の内装も手掛けたル・ブランも携わりました。

ヴェルサイユ宮殿の庭園では、美しい泉水や素晴らしい風景、心地よい並木道に出会うことができます。

 

ラトナの泉水-ヴェルサイユ庭園一番の見所

ラトナの泉水

ヴェルサイユの庭園で一番の見所といえるのが、ラトナの泉水です。

ラトナというのはギリシャ神話の女神レトのこと。ローマ神話ではラトナと呼ばれます。ラトナは太陽神アポロンと月の女神アルテミスの母です。

太陽王と呼ばれたルイ14世の公式の肖像画アポロンの間に飾られているところを考えても、ルイ14世がラトナの泉を作らせたということは当然だったのかもしれません。

ラトナの泉水は、先代の国王ルイ13世統治下で、国王が狩猟の館の庭に掘らせた楕円形の池が起源だそう。

太陽王ルイ14世は自分の治世に狩猟の館をヴェルサイユ宮殿へと改修し、楕円形の池をラトナの泉水に作り変えたのです。

ヴェルサイユ宮殿肖像画はこちら

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アポロンの泉水-太陽神の泉

アポロンの泉水

アポロンは本来は芸術の神でしたが、のちに太陽神としての神格化されました。詩歌や音楽などの芸能・芸術の神として名高いアポロンですが、羊飼いの守護神でもあります。アポロンの泉水

アポロンのエピソードで有名なのは、トロイア戦争での出来事。

トロイアの王女であるカッサンドラ(パリスの姉)に一目惚れしたアポロンは、予言の能力を与える代わりに自分を受け入れることを求めます。

カッサンドラはそれを受け入れるのですが、予言の能力を得た瞬間、アポロンから弄ばれたあと捨てられることを予言。そのまま逃げてしまいました。アポロンは怒り、カッサンドラの予言を誰も信じなくなる呪いをかけたのです。

その後パリスの審判を経てトロイアギリシャ兵が攻め込み、トロイア戦争が始まります。戦争が長引く中、ある日トロイアの城の前からギリシャ兵が一人も居なくなっており、代わりに大きな木馬が置いてありました。

トロイア軍は戦利品だと浮き足立ち、木馬を城に引き入れたのですが、そこでカッサンドラが「木馬の中にギリシャ兵が潜んでいる、木馬を引き入れたらトロイアは滅亡する」と予言。しかし、アポロンの呪いにより誰もカッサンドラの言うことを信じません。

トロイア軍は木馬を引き入れ、その晩、木馬の中に潜んでいたギリシャ兵に門を開けられ、そこに攻め込んだギリシャ兵の大群によってトロイアは滅亡してしまったのです。

 

※パリスの審判はこちら

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バッカスの泉水-酒の神の泉

バッカスの泉水

バッカスギリシャ神話の酒の神ディオニュソスのローマ名。ディオニュソスはゼウスの愛人である人間の女性セメレーの子。

ゼウスには本妻のヘラが居るのですが、ゼウスが浮気ばかりするのでヘラはいつもご立腹なのです(当たり前ですが)。

セメレーにも腹を立てたヘラは彼女を唆してゼウスが神の姿でセメレーの前に現れるようにセメレーからゼウスに懇願させます。ゼウスはそれに応じて降り立つのですが、雷の杖を見た瞬間焼け死んでしまいます。

哀れに思ったゼウスはヘルメスにセメレーのお腹から子どもを取り上げさせ、臨月まで自分の太ももで育て、生まれたのがディオニュソスです。

 

ギリシャ神話に出てくるの神様の一覧はこちら

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サトゥルヌスの泉水-農耕の神

ヴェルサイユ庭園 泉水

サトゥルヌス(サタン)は農耕の神でギリシャ神話ではクロノスといいます。

ゴヤ作の『我が子を食らうサトゥルヌス』で有名な神様。ハデス、ポセイドン、ゼウスおよびヘラ、ヘスティアデメテルの父です。

クロノスはウラノスとガイアという原始の神の子どもで父王ウラノスを追放して王になります。しかしクロノスは、父同様自分の子にその権力を奪われるという予言を受けたため、子どもが生まれると飲み込んでしまいました(ヘスティアデメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンの順)。

しかし、最後に生まれたゼウスは、クロノスの妻(ゼウスの母)レアによって匿われ、クロノスは代わりに石を飲み込まされてしまいます。

クレタ島で育ったゼウスは、クロノスの前に現れます。

ある日、ゼウスはクロノスに神酒ネクタルを飲ませます。すると、ゼウスの兄弟が飲み込んだときとは逆の順にクロノスに吐き出されました。

その後、兄弟は力を合わせて、クロノスを倒したのです。

ちなみに吐き出される時に、飲み込まれた順(生まれた順)の逆に吐かれたので、兄弟の順序が逆になり、ゼウスが最高神になりました。

 

 ギリシャ神話のあらすじはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

名前が分からない泉水たち

ヴェルサイユ 泉水

ヴェルサイユの庭園には他にも沢山泉があるのですが、残念ながら名前が分かりません。ただ、どの泉もとても美しかったのを良く覚えています。

 

 

水の庭園

大運河 ヴェルサイユ

水の庭園もヴェルサイユ庭園では絶対見たいところ。宮殿から近く宮殿の上から見ることもできるので、時間が無い場合でも是非こちらを見て帰ってくださいね。

幾何学模様と水の美しい光景に感動すること間違い無しです。

 

ヴェルサイユ宮殿とゼウス像

ヴェルサイユ宮殿庭園 ゼウス像

ギリシャ神話の全知全能の神ゼウスとヴェルサイユ宮殿

ヴェルサイユの美しい姿に感動してしまいました。

ちなみにゼウスには沢山のエピソードがあるのですが、主に浮気していつも妻ヘラに怒られている、若しくは浮気相手がヘラに攻撃されているイメージです。

全知全能なのにとても人間味がある神様で、彼の奔放さが西洋人の芸術家魂に火をつけ、様々な芸術品が誕生しました。

 

ギリシャ神話のあらすじを知るためにおすすめな本はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

ヴェルサイユ庭園の景色

ヴェルサイユ宮殿 庭園

ヴェルサイユ庭園といえばこの景色。美しすぎて言葉がありません。こちらは宮殿付近からラトナの泉水を眺めた景色です。

ヴェルサイユ宮殿 庭園

庭園の一番奥から宮殿を見た風景。ヴェルサイユは広くて、ここまで来るのに1-2時間歩きました。

ヴェルサイユ庭園

ヴェルサイユ宮殿前の花壇ではこんな写真を撮ることができました。

ヴェルサイユ庭園の並木道

ヴェルサイユ庭園 並木道

並木道も美しいのです。

 

ヴェルサイユ庭園 並木道

こんな道を馬で駆けたら気持ち良いだろうなと馬に乗れませんが思いました。昔の貴族たちはこんなところを乗馬で散策していたのかな。

 

ヴェルサイユ庭園 列柱廊

ヴェルサイユ庭園 アーチ

こちらは列柱廊。直径32m、32本の柱、32本の付け柱と連結し、上には32の壺が乗っているそうです。

真ん中の像は「プルトンに連れ去られるプロセルピナ」。プルトンはギリシャ名はハデス、プロセピナはペルセポネといいます。

ペルセポネはゼウスと豊穣の神デメテルの娘。ある日ペルセポネが花を摘んでいると、冥界の王ハデスが彼女を冥界へ連れ去ってしまいます。

怒った母デメテルは大地に実りを与えるのを止め、世界は混沌の中へ。困ったゼウスがヘルメスを冥界に送り、ハデスを説得。ペルセポネは天上界に帰ってきます。

一方で、ペルセポネは冥界で空腹に耐え切れずザクロを1/3だけ食べてしまいます。冥界のものを食べたものは冥界に属するのが掟であり、それ以降、ペルセポネは1年の1/3を冥界で過ごすことになりました。

ペルセポネが冥界にいる間、母デメテルは地上に実りを与えるのをやめ、この時から地上に四季ができたのです。

 

ギリシャ神話をもっと知りたいときはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

ヴェルサイユ庭園ではこまめに休憩を

ヴェルサイユ 売店

ヴェルサイユ庭園は広いので、こまめに休憩をとりながら散策するのがおすすめ。道には売店もあったり、レストランもあるのですが、できればお水を持参してください。

ヴェルサイユ庭園 列車

歩くのが大変かなと思うときには電車を使うのも良いかなと思います。

 

終わりに

今回はヴェルサイユ宮殿の庭園をご紹介しました。

美しい泉水や景色をヴェルサイユ庭園では堪能することができます。そして、とても広い庭園ですので、庭園をゆっくり見たいというときには、2-3時間はとっておくといいと思います。宮殿も広いので、是非1日観光の予定でヴェルサイユまで足を運んでみてください。

 

ヴェルサイユ宮殿の各部屋の説明はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

ヴェルサイユ宮殿の天井画と調度品はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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ヴェルサイユ宮殿の天井画と調度品についての豆知識-ヴェルサイユには豪華な美術品が沢山

フランス観光では絶対訪れたいヴェルサイユ宮殿。豪華な部屋の数々が美しく、多くの肖像画や有名な絵画が展示されている宮殿です。そんなヴェルサイユ宮殿で、もう一つ欠かすことができないのが天井画です。

今回はヴェルサイユ宮殿の天井画と調度品をご紹介したいと思います。

ヴェルサイユ宮殿

 

ヴェルサイユ宮殿の天井画と調度品

ヴェルサイユを彩る美しい調度品と天井画。特に有名なものは王室礼拝堂の『三位一体』、ヘラクレスの間の『ヘラクレスの神格化』などの天井画と、ナポレオンが使用したといわれている玉座

本記事では豪華絢爛なヴェルサイユ宮殿を彩る天井画と調度品をご紹介します。

 

ヴェルサイユ宮殿の天井画紹介

ヴェルサイユ宮殿は豪華な内装やシャンデリアと並んで、天井画が素晴らしい宮殿です。聖書や神話が主題の天井画が多く、その迫力と美しさに息を呑みます。

『三位一体』-王室礼拝堂

始めにご紹介する天井画は王室礼拝堂の天井画『三位一体』。三位一体はキリスト教の概念で、多くの宗派でも共有されている考え方です。

この三位一体とは、父なる神、子なるイエス(キリスト)、そして精霊が一体(一つのもの)であるという考え方のことを言います。

ちなみにこの三位一体の考え方は旧約聖書新約聖書にも明記されていないそう。同じく唯一神を信仰するユダヤ教イスラム教はこの三位一体考え方は有していません。

三位一体 ヴェルサイユ 王室礼拝堂

 

ヘラクレスの神格化』-ヘラクレスの間 

ヘラクレスの間では、ルモンヌによる『ヘラクレスの神格化』の天井画を鑑賞することができます。

ヘラクレスは、ゼウス(神)とアンフィトリュオンの妻アルクメネ(人間)との子どもで、神と人間の血を引く人物です。

 

ヘラクレスの神格化 ヴェルサイユ ヘラクレスの間

ゼウスは、ある日アルクメネに一目ぼれしてしまいアンフィトリュオンが戦争で居ない間に彼に扮してアルクメネの前に現れ一夜を共にします。そしてアルクメネが身ごもったのがヘラクレスでした。

夫ゼウスに浮気されたゼウスの妻ヘラはその怒りの矛先をヘラクレスへと向けます。そしてある日、ヘラクレスの正気を失わせ、彼の子ども2人を火の中に投げ込ませてしまったのです。

深く後悔したヘラクレスが神の神託を仰ぐと、神から3つの神託を得ます。

①ミケーネ王エウリュステウスに使える

②彼に課される12の難行を果たす

③すると神々の仲間入りをする

その後ヘラクレスは①、②を成し遂げ、死する時、神々の仲間入り(ヘラクレスの神格化)することとなりました。

ギリシャ神話を知るならこちら  

 

ギリシャ神話のあらすじはこちら

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『神々と強大国を従わせるヴィーナス』-ヴィーナスの間

ヴィーナスの間にはウァッス作の『神々と強大国を従わせるヴィーナス』があります。ヴィーナスは愛欲と美の女神。キューピットの母でもあります。

神々と強大国を従わせるヴィーナス ヴィーナスの間 ヴェルサイユ

※ヴィーナスのお話はこちら

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『太陽神アポロンの太陽の戦車』-アポロンの間

ラフォッス作の天井画『太陽神アポロンの太陽の戦車』をアポロンの間では鑑賞することができます。

アポロンは原初の世界を支配していた大地母神ガイアの子どもたちティタン神族を滅ぼした、オリュンポス12神の中の1人。オリュンポス神族の中で最も美しい神といわれています。芸術、医学、予言などを司り、父ゼウスから与えられた弓矢と竪琴がアトリビュート(標準装備)です。

黄金の馬車に乗って空を駆け巡りるとされており、こちらの絵も馬車に乗っています。アポロンはゼウスとレトの子で、双子の妹(姉?)アルテミスや、腹違いの兄弟ヘラクレスやヘルメス、ディオニュソスなどと親類であり、その中で最も強く父ゼウスの栄光を受け継いでいます。

太陽神アポロンの太陽の戦車 アポロンの間 ヴェルサイユ

アポロンの物語はこちら

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太陽王の栄光と歴史』-鏡の間

シャルル・ル・ブラン作『太陽王の栄光と歴史』。太陽王と呼ばれた類14世の栄華を描いた作品です。

太陽王の栄光と歴史 鏡の間 ヴェルサイユ

 

ギリシャ神話の神様一覧はこちら 

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ヴェルサイユ宮殿の調度品

ヴェルサイユ宮殿には素晴らしい調度品も沢山展示されています。ここでは椅子とアジアンテイストの調度品に焦点を当ててご紹介します。

ヴェルサイユ宮殿の至る所に椅子の展示が

ヴェルサイユ宮殿では沢山の椅子を見ることができます。

こちらはヴィーナスの間の椅子。

ヴェルサイユ ヴィーナスの間

 

続いてマルスの間の椅子。

ヴェルサイユ マルスの間

 

鏡の間の椅子。こちらは御輿ののようなものでしょうか。

鏡の間 ヴェルサイユ

 

そして戴冠の間の椅子。こちらはナポレオンの玉座です。

戴冠の間 ヴェルサイユ

 

ヴェルサイユ宮殿の東洋風調度品

続いて、ヴェルサイユ宮殿の東洋風の調度品をご紹介。

こちらは王の寝室にある東洋風の屏風。 煌びやかな感じではないですが、とても美しい屏風でした。

ヴェルサイユ 屏風

 

そして東洋風の置物。確か、マルスの間にあったものだと思います。このような展示を見ると、東洋も西洋も昔から互いに関わりあっていたのだなと感慨深くなります。マルスの間 ヴェルサイユ

 

終わりに

今回はヴェルサイユ宮殿の美しい天井画そして調度品のご紹介を行いました。いかがだったでしょうか。ヴェルサイユ宮殿は豪華な内装も、美しい絵画も、調度品も全てを楽しむことができる宮殿ですので、是非ヴェルサイユ宮殿で贅沢な時間を堪能してみてください。

 

ヴェルサイユ宮殿の各部屋の紹介はこちら

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ヴェルサイユ宮殿肖像画、絵画紹介はこちら

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ヴェルサイユ宮殿で鑑賞できる絵画と彫像についての豆知識-マリー・アントワネット、ルイ14世、ナポレオンなど豪華な美術品をご紹介

フランスのヴェルサイユ宮殿は豪華絢爛な内装、美しい調度品が数多ある宮殿。ヴェルサイユ宮殿では、美術品の数々に囲まれ、至福の時を過ごすことができます。今回はヴェルサイユ宮殿で鑑賞できる肖像画、彫像、絵画を中心に美術品をご紹介します。 

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ヴェルサイユ宮殿とは

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ヴェルサイユ宮殿は1682年にフランス王ルイ14世が建てたフランスの宮殿。パリの南西のイヴリーヌ県ヴェルサイユにあります。マンサールとル・ブランによって設計されました。バロック建築の代表作で、豪華な内装、装飾品、美術品や広大な庭園が見所です。

 

ヴェルサイユの各部屋の紹介はこちら

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ヴェルサイユ宮殿肖像画と彫像-各作品がある部屋もご紹介

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ヴェルサイユ宮殿の美術品で特に印象に残るものが王侯貴族の肖像画や彫像、胸像の数々。今回は特に有名なマリー・アントワネットルイ14世ルイ16世、ナポレオンを中心に、作品とその作品が展示されている部屋をご紹介します。

 

マリー・アントワネットの胸像』-王妃の大居室

マリー・アントワネット胸像 王妃の大居室 

ヴェルサイユ宮殿といえば、ギロチンの露と消えた悲劇の王妃として知られているマリー・アントワネット。彼女の胸像は「王妃の大居室」に展示されています。

「パンが無ければケーキを食べればいい」と言ったといわれるマリー・アントワネットですが、実は慈善活動などにも積極的な王妃だったとも言われています。

とはいえ、当時のフランス国民から最終的には攻撃の的となりました。

 

マリー・アントワネットと子どもたち』-グラン・クヴェールの控えの間

マリー・アントワネットと子どもたち グラン・クヴェールの控えの間

こちらはヴィジェ・ルブラン作の『マリー・アントワネットと子どもたち』という作品。マリー・アントワネットはヴィジェ・ルブランの絵が好きで、彼女に自信の肖像画を多く描かせていました。

こちらの作品は自身が生んで早くに亡くなった末の子どもを偲ぶために描かれたとも言われており、ゆりかごの中に赤ちゃんの姿が描かれていないのを見て取れます。

「国民の聖母」というイメージを演出するために描かれた、自身の評判が落ちていく中で「子どもを失った悲劇の母」というイメージで評判回復を狙った、など様々な説があるのですが、個人的には一人の母としてなくなった子どもに思いを馳せていたのではないかなと思います。


※マリーアントワネットとフランス革命を知るならこちら 

 

ルイ14世彫像』-ヴィーナスの間

ルイ14世像 ヴェルサイユ

続いて、ヴェルサイユ宮殿を作り上げた人物、太陽王類14世の彫像。こちらの彫像はヴィーナスの間で鑑賞することができます。

 

ルイ14世胸像』-ディアーヌの間

ルイ14世胸像 ディアーヌの間

ルイ14世72年もの間フランス国王として君臨した王で、その在位期間はフランス史上最長だそう。

 

ルイ14世肖像画』-アポロンの間

 ルイ14世肖像画 ヴェルサイユ

ルイ14世肖像画といえばこちら。公式の肖像画とされており、イアサント・リゴーによって描かれました。

この肖像画を良く見ると、ルイ14世はハイヒールを履いています。この時代、ハイヒールは男性も履く靴で、美客は足を見せることができた男性の美しさの象徴だったそう。

 

※男性ファッションについてはこちら 

名画に見る男のファッション (角川文庫)

名画に見る男のファッション (角川文庫)

 

 

ルイ14世レリーフ』-戦争の間

ルイ14世 レリーフ ヴェルサイユ 戦争の間

こちらは戦争の間にあるルイ14世レリーフルイ14世が戦争に出ているところがモチーフとなっています。とても凛々しくてかっこいい姿です。

 

ルイ14世の胸像』-王の寝室

ルイ14世の胸像 ヴェルサイユ 王の寝室

ルイ14世が亡くなった場所とされる王の寝室にも胸像があります。こちらは少し年を重ねたあとの雰囲気ですが、威厳があります。

 

※フランス王家を知るならこちら 

名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書)
 

 

ルイ16世肖像画』-アポロンの間

ルイ16世肖像画 ヴェルサイユ宮殿 アポロンの間

こちらはルイ16世肖像画アポロンの間で鑑賞することができます。フランス革命の火付け役となってしまった王ですが、性格は温厚で錠前作りが趣味だったそう。顔の雰囲気も優しそうで、『ベルサイユのばら』に出てくる雰囲気そのままでした。

 

ヴェルサイユを知るなら是非『ベルサイユのばら』を読んでみて下さい

 

『ナポレオンの肖像画』-戴冠式の間

ナポレオン肖像画 ヴェルサイユ

こちらはナポレンの肖像画

ナポレオンはコルシカ島生まれで父は判事だったそう。その後、フランス国王の座まで上り詰めたのですから、すごいサクセスストーリーです。フランス版の豊臣秀吉という感じでしょうか。

 

『ナポレオンの戴冠式(ヴェルサイユ版)』-戴冠式の間

ナポレンの戴冠式 ヴェルサイユ

ヴェルサイユ戴冠式の間にあるのがこちらの『ナポレオンの戴冠式』。

実はルーブル美術館にも同じ主題の作品があり、オリジナルはルーブルだそうです。こちらの絵は作者ダヴィッド自身による複製。

 

『ナポレオンの戴冠式(ルーブル版)』-ルーブル美術館

ナポレオンの戴冠式 ヴェルサイユ

こちらがオリジナルの『ナポレオンの戴冠式』。

こんなにそっくりに描けるなんて、本当にすごいです。是非上のヴェルサイユ版と見比べてみてください。

 

 ルーブル美術館の記事はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

『ヴィクトワール・ド・フランスの肖像画

ヴィクトワール・ド・フランス ヴェルサイユ 

ヴィクトワール・ド・フランスはフランス王ルイ15世と王妃マリー・レクザンスカの五女。

ヴェルサイユで育った他の年上の兄弟とは異なり、1歳年上の姉アデライードとともに、フォントヴロー修道院で育てられたそうです。ルイ16世のおばに当たります。

 

『ルイーズ・エリザベート・ド・フランスの肖像画

ルイーズ・エリザベート・ド・フランス ヴェルサイユ 

フランス王ルイ15世と王妃マリー・レクザンスカの長女として、ヴェルサイユで生まれました。ヴィクトワールの姉です。双子の妹アンリエットがいます。

彼女は、オーストリアの女帝マリア・テレジアの子であるヨーゼフ大公(のちのヨーゼフ2世)に、長女マリア・イザベラをへ嫁がせました。

 

ヴェルサイユ肖像画

ヴェルサイユ貴人の間肖像画

ヴェルサイユ宮殿には他にも沢山の肖像画があります。

 

ヴェルサイユ 肖像画群

部屋に拠っては肖像画が沢山飾ってあり、豪華な雰囲気でした。

 

ヴェルサイユ 肖像画群

ヴェルサイユ宮殿の内装や豪華な部屋も素晴らしかったですが、肖像画を楽しむというのも面白いかもしれません。

 

肖像画の楽しみ方はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

ヴェルサイユ宮殿の有名な絵画

肖像画が素晴らしいヴェルサイユですが、他にも有名な絵画があります。

 

『パリサイ人シモン家の食事』-ヘラクレスの間

パリサイ人シモン家の食事 ヴェルサイユ ヘラクレスの間

ヴェロネーゼ作の『パリサイ人シモン家の食事』は聖書を題材としている作品。

エスがパリサイ人の家の食事に招かれ、パリサイ人の家に居る時に、その町で一番罪深い女性が現れ、高価な香油が入れてある石膏のつぼの持ってきて、イエスに近寄り、食事の席についていたイエスの頭に香油を注ぎかけた、というお話です。

 

※宗教画の見方についてはこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

『アブキールの戦い』-戴冠の間

アブキールの戦い 戴冠式の間 ヴェルサイユ

『アブキールの戦い』は、ナポレオンが率いるフランス軍が、サイード・ムスタファ・パシャ率いるオスマン帝国軍に勝利を収めた戦いです。

ナポレオンの栄誉を讃えるのに相応しい主題であるといえます。

 

『シャン・ド・マルスにおける鷲章旗の授与』‐戴冠の間

シャン・ド・マルスにおける鷲章旗の授与 戴冠式の間 ヴェルサイユ

『シャン・ド・マルスにおける鷲章旗の授与』もダヴィッドが描いた作品。

ナポレオンの戴冠式の3日後、1804年12月5日に、ナポレオンが幼い頃に通っていた士官学校のあった地、パリ市内シャン・ド・マルスの広場で、フランス軍108の連隊及び国家警備隊へ、勝利と皇帝ナポレオン自身を象徴する鷲の旗章が入った軍旗を授与した場面を描いた作品です。

 

終わりに

ヴェルサイユ宮殿ヴェルサイユ宮殿で鑑賞できる絵画と彫像、如何だったでしょうか。

ヴェルサイユ宮殿自体もとても美しく、豪華絢爛で、見ごたえたっぷりなのですが、是非、飾られている絵画や彫像も楽しんでみてください。

 

 ヴェルサイユ天井画紹介はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

ヴェルサイユ宮殿の庭園紹介はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

 ※パリの旅行記はこちら

sumikuni.hatenablog.com

 

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